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13 チキとヒヨコと子ヒヨコ
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少し未来の話し…
チキ…番外個体魔王の頭の上にはいつも無色のヒヨコが乗っている、兎に角彼らはいつも一緒だった。
食事の時もおやつの時もお風呂の時も(桶にヒヨコを入れて一緒に入る)最近は蒐集家が作った魔王でも眠れる香(効き目は個体差による)がありイザラの枕もとの籠の中で一緒に寝ている、それ位一緒というかヒヨコがずっとチキの側にいるそんな関係だった。
そう、少し前までは…。
「チキ散歩?」
『そーだぞー』
「気を付けて…晩御飯はシチューとパンとサラダと…あとは父さんたち次第」
『分かったー』
チキがイザラに出かける旨を伝え、収納を持ってはいるがお気に入りの小さい巾着袋を斜めに肩に掛け、無職のヒヨコ…2匹を頭と肩に乗せて転移で散歩に出かけるのが最近…というかチキとヒヨコからチキの毛色の小さい子ヒヨコが産まれてからの日課になった。
ある日起きると鼻先を突く気配、いつものヒヨコはチキよりも後に起きるなんだと目を開ければ自分と似た毛色のヒヨコがいたのでグローリーに聞けば首を傾げたので、分かるやつに尋ねれば『お、ヒヨコとお前の子じゃんおめでとう』と言われ流石の番外魔王もびっくりの珍事だ。
どうやら無色のヒヨコはチキの魔力を取り込み勝手に嫁(?)だと思い込んで一緒にいて、チキの魔力を少しづつ身体に取り込みチキの子供を産んだ(?)らしかった。
というわけで何時の間にかチキには嫁がいて、子供もいる立派なお父さん(?)になっていたようだった。
『今日はここでいいか、じゃおやつな』
毎日妻子(?)を連れておやつを食べるのが日課で、場所は適当、その日の気分で食べるのがチキの楽しみだ。
『マシュマロな、火で炙るから気をつけろよ』
いそいそと茣蓙を強いて宙に火の玉を用意し、色取り取りのマシュマロを串に刺して火で炙れば妻子(?)が目を輝かせて待つ、軽い焦げ目と少しトロッとした所でふうふうとチキが冷ましてやる。
皿に串を抜いた物を置き妻子(?)に渡せば美味しそうに突く、チキも自分の分を串に刺して炙りパクついた。
『うまぁ、最近こればっかだけど飽きないんだなーこれが。お、今日は炭酸な』
最近毎日マシュマロ作りに精を出し、これが楽しみで仕方ないと言わんばかりにマシュマロを炙っていく。
妻子(?)もすぐに食べ尽くしお代わりを出してやる、食べる量は1日10個と決められているのであっという間に食べてしまい炭酸ジュースを飲んでぷはぁと息を吐くと気配を感じ周囲を見れば獣人の子供…兄弟だろうか2人がこちらを伺っている。
『なんだよ』
「わ、喋った!」
「ぐぅぅぅうううう」
『そっちは腹の音で会話かよ』
「ご、ごめん。寒くてこっちから温かい気配を感じたから…つい…」
獣人の子供達は服はボロボロ、裸足、少し寒い感じがするにも関わらず薄着、捨て子か逃げた奴隷か…どちらにしても面倒だと…家族水入らずの時間を邪魔されて機嫌が損なわれるが子ヒヨコが皿を突く、どうやら子供達にマシュマロをあげたいらしい、我が子の願いだ叶えない訳にはいかないのでチキが子供達を招く。
『来いよ』
「あ、ありがと」
「ぐぅうううううう」
兄の方はお礼を言いながらトコトコやってくるが、弟は腹の音で返事するので仕方なく明日のおやつを分ける事にした。
「おいひい!」
「おいち!」
『ミルクも飲め、果物も食え』
ヒヨコと子ヒヨコはチキの頭と肩に乗り子ヒヨコは昼寝を貪る、嫁(?)は獣人の子供達をどうやら心配しえいるようでチキが仕方ないと思いながら親や住んでいる場所を等を聞けば親に捨てられ、この山で集めた物を村に持って行きその日暮らしの生計を立てているらしい。
歳の割に言葉が遅い印象を受ける弟、それを育てる兄、その内破綻する綱渡りな生活にチキは呆れ返るし、仕方ないので綴の所に連れて行く事にした。
『お前ら、ここでいいのか?』
「え?」
『こんな生活でいいのか?』
「…よくないよ…毎日毎日お腹空いているの」
『じゃ、来るか?』
「おれたち食べても美味しくないよ」
「ぐぅぅぅうううう」
『俺らは毎日美味いもん食ってるからお前らなんか食うかよ』
「お金ないよ?」
「ぐぅうううううう」
『みりゃ分かる』
「行ってもいい?」
「ぐぅうううううう」
『行くか』
弟の方の腹の虫は綴たちになんとかして貰おう、兄弟と一緒に孤児院へ転移した。
『おい、こいつら腹空かせて住むとこもないぞー』
「それはいけない、さ、こっちへ」
「あ、あの」
「はい?」
「お金とない…です」
「ぐぅぅぅうううう」
「はい、いらないですよ。さ、まずは…美味しいごはんを食べましょう、話はその後で。チキありがとうございます。この子達を連れて来てくれて」
『んー俺は帰るぞ』
「はい、後は任せて下さい」
孤児院にいた綴に兄弟を引き渡せば綴が優しく微笑む、兄はもじもじと俯き弟は…腹の虫をひたすら鳴かせ、綴がチキに礼を言い中へと連れて行く、チキは妻子(?)を連れてグローリーの家へと戻った。
『今日の晩飯も美味かった』
「チキ…香を焚くよ」
『ああ…』
『おやすみー』
夕食も美味しく食べて、デザートも最高、お風呂も良い、チキはグローリー達に寝る前の挨拶を妻子(?)におやすみのキスをし、ゆっくりと香の匂いを嗅いで眠りに就く…。
夢の中では妻子(?)と他にチキの毛色に似た子ヒヨコ2匹計5名で美味しいマシュマロを食べている、チキが皆のマシュマロを焼いて冷まして食べさせる、中々楽しい時間だが…チキの鼻先を突くそれも複数の気配…何だ何だと目を開ければ3匹の子ヒヨコがチキの鼻や身体を突き嫁(?)はどこか嬉しそうな寝顔を浮かべていた。
「子どもが産まれたね…おめでとう」
『…家族が増えた…』
起きていたグローリーの祝福に満ちた声に、これから先…我が子はどれだけ増えるのか…チキは遠い眼をした…。
おわり?
チキ…番外個体魔王の頭の上にはいつも無色のヒヨコが乗っている、兎に角彼らはいつも一緒だった。
食事の時もおやつの時もお風呂の時も(桶にヒヨコを入れて一緒に入る)最近は蒐集家が作った魔王でも眠れる香(効き目は個体差による)がありイザラの枕もとの籠の中で一緒に寝ている、それ位一緒というかヒヨコがずっとチキの側にいるそんな関係だった。
そう、少し前までは…。
「チキ散歩?」
『そーだぞー』
「気を付けて…晩御飯はシチューとパンとサラダと…あとは父さんたち次第」
『分かったー』
チキがイザラに出かける旨を伝え、収納を持ってはいるがお気に入りの小さい巾着袋を斜めに肩に掛け、無職のヒヨコ…2匹を頭と肩に乗せて転移で散歩に出かけるのが最近…というかチキとヒヨコからチキの毛色の小さい子ヒヨコが産まれてからの日課になった。
ある日起きると鼻先を突く気配、いつものヒヨコはチキよりも後に起きるなんだと目を開ければ自分と似た毛色のヒヨコがいたのでグローリーに聞けば首を傾げたので、分かるやつに尋ねれば『お、ヒヨコとお前の子じゃんおめでとう』と言われ流石の番外魔王もびっくりの珍事だ。
どうやら無色のヒヨコはチキの魔力を取り込み勝手に嫁(?)だと思い込んで一緒にいて、チキの魔力を少しづつ身体に取り込みチキの子供を産んだ(?)らしかった。
というわけで何時の間にかチキには嫁がいて、子供もいる立派なお父さん(?)になっていたようだった。
『今日はここでいいか、じゃおやつな』
毎日妻子(?)を連れておやつを食べるのが日課で、場所は適当、その日の気分で食べるのがチキの楽しみだ。
『マシュマロな、火で炙るから気をつけろよ』
いそいそと茣蓙を強いて宙に火の玉を用意し、色取り取りのマシュマロを串に刺して火で炙れば妻子(?)が目を輝かせて待つ、軽い焦げ目と少しトロッとした所でふうふうとチキが冷ましてやる。
皿に串を抜いた物を置き妻子(?)に渡せば美味しそうに突く、チキも自分の分を串に刺して炙りパクついた。
『うまぁ、最近こればっかだけど飽きないんだなーこれが。お、今日は炭酸な』
最近毎日マシュマロ作りに精を出し、これが楽しみで仕方ないと言わんばかりにマシュマロを炙っていく。
妻子(?)もすぐに食べ尽くしお代わりを出してやる、食べる量は1日10個と決められているのであっという間に食べてしまい炭酸ジュースを飲んでぷはぁと息を吐くと気配を感じ周囲を見れば獣人の子供…兄弟だろうか2人がこちらを伺っている。
『なんだよ』
「わ、喋った!」
「ぐぅぅぅうううう」
『そっちは腹の音で会話かよ』
「ご、ごめん。寒くてこっちから温かい気配を感じたから…つい…」
獣人の子供達は服はボロボロ、裸足、少し寒い感じがするにも関わらず薄着、捨て子か逃げた奴隷か…どちらにしても面倒だと…家族水入らずの時間を邪魔されて機嫌が損なわれるが子ヒヨコが皿を突く、どうやら子供達にマシュマロをあげたいらしい、我が子の願いだ叶えない訳にはいかないのでチキが子供達を招く。
『来いよ』
「あ、ありがと」
「ぐぅうううううう」
兄の方はお礼を言いながらトコトコやってくるが、弟は腹の音で返事するので仕方なく明日のおやつを分ける事にした。
「おいひい!」
「おいち!」
『ミルクも飲め、果物も食え』
ヒヨコと子ヒヨコはチキの頭と肩に乗り子ヒヨコは昼寝を貪る、嫁(?)は獣人の子供達をどうやら心配しえいるようでチキが仕方ないと思いながら親や住んでいる場所を等を聞けば親に捨てられ、この山で集めた物を村に持って行きその日暮らしの生計を立てているらしい。
歳の割に言葉が遅い印象を受ける弟、それを育てる兄、その内破綻する綱渡りな生活にチキは呆れ返るし、仕方ないので綴の所に連れて行く事にした。
『お前ら、ここでいいのか?』
「え?」
『こんな生活でいいのか?』
「…よくないよ…毎日毎日お腹空いているの」
『じゃ、来るか?』
「おれたち食べても美味しくないよ」
「ぐぅぅぅうううう」
『俺らは毎日美味いもん食ってるからお前らなんか食うかよ』
「お金ないよ?」
「ぐぅうううううう」
『みりゃ分かる』
「行ってもいい?」
「ぐぅうううううう」
『行くか』
弟の方の腹の虫は綴たちになんとかして貰おう、兄弟と一緒に孤児院へ転移した。
『おい、こいつら腹空かせて住むとこもないぞー』
「それはいけない、さ、こっちへ」
「あ、あの」
「はい?」
「お金とない…です」
「ぐぅぅぅうううう」
「はい、いらないですよ。さ、まずは…美味しいごはんを食べましょう、話はその後で。チキありがとうございます。この子達を連れて来てくれて」
『んー俺は帰るぞ』
「はい、後は任せて下さい」
孤児院にいた綴に兄弟を引き渡せば綴が優しく微笑む、兄はもじもじと俯き弟は…腹の虫をひたすら鳴かせ、綴がチキに礼を言い中へと連れて行く、チキは妻子(?)を連れてグローリーの家へと戻った。
『今日の晩飯も美味かった』
「チキ…香を焚くよ」
『ああ…』
『おやすみー』
夕食も美味しく食べて、デザートも最高、お風呂も良い、チキはグローリー達に寝る前の挨拶を妻子(?)におやすみのキスをし、ゆっくりと香の匂いを嗅いで眠りに就く…。
夢の中では妻子(?)と他にチキの毛色に似た子ヒヨコ2匹計5名で美味しいマシュマロを食べている、チキが皆のマシュマロを焼いて冷まして食べさせる、中々楽しい時間だが…チキの鼻先を突くそれも複数の気配…何だ何だと目を開ければ3匹の子ヒヨコがチキの鼻や身体を突き嫁(?)はどこか嬉しそうな寝顔を浮かべていた。
「子どもが産まれたね…おめでとう」
『…家族が増えた…』
起きていたグローリーの祝福に満ちた声に、これから先…我が子はどれだけ増えるのか…チキは遠い眼をした…。
おわり?
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