クラス転移した俺のスキルが【マスター◯―ション】だった件 (新版)

スイーツ阿修羅

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第一膜 クラス転移した俺のスキルが【マスター◯ーション】だった件 編

八射目「好きな女の子の奴隷になった」

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「じゃあ、最初の命令をするね。
 行宗くんさ、さっき私がアニメのセリフを叫びながら、ノリノリで刀を振っていたの、見ちゃったよね。
 アレ、凄く恥ずかしかったんだよ。
 だから、私がアニメを好きだって事は、絶対に誰にも言っちゃダメだから」

 新崎さんは顔を赤らめながらそう言った。
 え?
 ああ。あれの事か、
 オ○ニー事件のせいで忘れていたが、俺が新崎にいざきさんに、オ○ニー姿を見られる直前に、
 新崎にいざきさんは、今まで俺が見たことがないようなハイテンションで、現在放送中の深夜アニメ、【ルナアーク】の主人公の必殺技を叫んでいた。
 
新崎にいざきさんって、アニメ見てるんですか?!」

 俺は、いつも勉強熱心でサブカルに関心のなさそうな新崎にいざきさんに、率直な疑問をぶつけた。

「私がアニメを見ていたら変??
 確かに学校では、くそ真面目の優等生キャラだけどさ。
 ホントの私は、皆が思ってるようないい子じゃないから。
 周りから、いい子に見えるように演じてるだけ。
 ホントは、アニメと漫画が大好きで、変な趣味もあるし。
 だから、さ。
 君には、他の人に言えないような、私の本音をぶちまけられる、ゴミ箱みたいな存在になってほしいの」

(ゴミ箱!?俺が!?)

「つまり、私がどれだけ可愛くない事を言っても、ちゃんと聞いて、共感してくれる、そんな奴隷になってほしいの。
 多分、君なら、出来ると思う。
 私は、君の弱み・・を握ってる事を忘れずにね。私が君に話したことは、絶対に、他の誰かに言っちゃ駄目だよ」

 
 な、なるほど、そういう感じか。
 多分、出来るとおもう。
 俺は、どんな新崎にいざきさんでも、可愛いと思えるはずだから、

「分かりました。頑張ります」

 
「うん。じゃあ、次の命令。
 私と一緒に、モンスターを倒して。
 私の【特殊スキル】は、戦闘に向いていないから、皆みたいに一撃で倒せなくてさ。
 まだ、皆から譲ってもらった一匹しか倒せていなくて、
 だから人のいない、この洞窟に来た訳なんだけど…
 とにかく、私のモンスターの討伐に、協力してくれない?、じゃなくてっ!
 協力するの!これは命令だから。」

「はい」

 俺は、奴隷らしくキチンと返事をした。
 俺以外にも、ワンパンで倒せない人がいたのか。
 しかし、戦闘に向いていない特殊スキル、か。
 新崎にいざきさんの特殊スキルは、一体、何なのだろう?

「そうだ、もう一つ大事な命令!
 これから一生、私をオ○ズにしちゃダメだから」

「はっ!はいっ!!」


 今度は、だいぶ辛い命令をされてしまった。
 新崎にいざきさんに、奴隷やゴミ箱と呼ばれて溜まったモノを、一体どうやって発散しろというのか。
 


 ★★★



「へぇー。「みずモブ」も見てるんだ!私も好きだよ!、今季のアニメは何本見てるの?」

「8とか、9本ぐらいかな。アニメレビューYouTuberさんの評価を見ながら、面白そうなやつだけ選んでる。」

「良いなぁ…。私は、勉強が忙しくてさ、週に4本くらいしか観れてないんたよね。
 本当は私も、色んなアニメとか見たいのに……」

「なんで新崎さんは、そんなに勉強するの?」

「んー?ありきたりだけど、良い大学に入って、中学校の先生になる為だよ」

「え!?中学の先生になるの?」

「うん、あの、社会の佐々木先生っていたじゃん、あの人見たいな先生になりたいなぁーって」

「あー、面白かったよな、佐々木先生」

 
 新崎にいざきさんは、今までに見たことがないような、明るい表情をころころと変えて、
 ゴミ箱である俺に、色んな本音を捨ててくる。
 しかし俺には、この状況が、どう見ても奴隷と主人の関係には思えなかった。

 洞窟の中を男女二人で、会話を弾ませながら一緒に歩いているこの状況って…

(どう見てもデート!、デートですよね!!?)


 それに!コミュ障の筈の俺が、まったく緊張せずに話せている。
 なんでだ?
 さっきまでは、新崎にいざきさんには一番恥ずかしいことを見られて、目すら合わせられなかったのに、
 どうして??

 
「あっ!、見つけた!さっき倒せなかったヤツモンスター!」

 新崎にいざきさんが、大きな声をあげる。
 視線の先には、俺が倒したハリネズミのモンスターが、4体、密集して集まっていた。


 
「えーっと、まあいいか…。
 我、神の天使なりて、謀反者を裁きたもう!!
 裁きの剣ジャッジメント・ソード!!」


 新崎にいざきさんは、俺をちらり一瞥してから、前を向きなおし。
 TVアニメ【無限神話】に出てくる天使様の必殺技を、大声で詠唱した。

 そして、
「うりゃぁあああ!」

 と、叫びながら、魔法使いのローブをひるがえし、魔法使いに似つかわしくない短剣を、腰からスッと抜き出しながら、モンスターへと飛び込んでいく。

 なんか、無茶苦茶カッコいいのだが。

 
 俺がそばで聞いているのに、アニメのセリフを、恥じらいもなく叫んでくれるなんて、
 俺に対して、心を開いてくれているのだろうか? 
 それとも、俺が奴隷だからだろうか?


 俺も新崎にいざきさんに続いて、剣を構えて加勢しに行った。
 流石に恥ずかしくて、技名は口に出さなかったが。



 ★★★



 4匹のハリネズミ型モンスターを、全て狩り尽くした頃。

 俺と彼女のミニバックの中から、
 ビリリリリ……
 という、金属音が鳴り響いた。

 実戦練習の終了と、集合の合図である。

「ふぅ、ありがと、楽しかった!」

 新崎にいざきさんは、太陽のような笑顔を向けてくる。
 ああ、天使の笑顔だ。
 この笑顔が見れるなら、俺は奴隷にでも悪魔にでもなってやる。


「じゃあ、別々に分かれて戻ろうか、 
 一緒にいたって皆にバレたらめんどくさいからね。
 あと、
 もう一度確認するけど、
 今日ここであった事と、私達の関係は、二人だけの秘密だから。
 それと、皆の前で、私をジロジロみたり、話しかけたりしたらダメ。
 私をオ〇ズにして、エ〇チな妄想するのもダメ。
 それは絶対だからね?」


「ハイ……」

 可愛い顔を見せたと思ったら、途端に奴隷として扱われる。
 俺の心をぐちゃぐちゃにしたいのか?
 飴とムチを交互に使ってくる。
 これが、DV彼女というやつだろうか?
 でも俺も、彼女に依存してしまいそうだ。


 ★★★


 俺は新崎にいざきさんと、三分程の時間を空けて、狭い洞窟の穴から外へ出た。
 
(早めに戻らないと)

 俺は、集合場所を指し示すコンパスを取り出して、その方向へと歩き出した。


「なぁ、行宗ゆきむねくん、お前、直穂なおほちゃんと二人きりで、何してたんだよ!?」

(!!!)

 俺は、後ろからかけられた殺気の籠った低い声に、身体を縮こまらせた。
 俺は、はっと振り返る。

 そこにはクラスで隣の席の、竹田慎吾たけだしんごが、眉間にシワを寄せて拳を震わせながら、今にも飛び掛かってきそうな勢いで俺を睨みつけていた。
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