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第21話 なんでそんな真似ができる
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子蜘蛛を吸収することで、自己回復してしまう強化ボス。
このまま普通に戦っていてはジリ貧だ。
「できれば俺を信じて、言う通りにやってみてほしい」
「分かりました。あなたを信じましょう」
よし、セレスティアを通じて全体に指示を出すことができるなら、討伐はそう難しくないはずである。
「まず、子蜘蛛を必ず十五体以下にするんだ。子蜘蛛の数が十五体以下である限り、ボスは自己回復が使えない」
「っ……そんな発動条件が!?」
だから子蜘蛛が増えるまで、ボスは自己回復しなかったのである。
そして子蜘蛛の数が十五体を超えるまでにボスを倒し切れるのなら、ボスを優先して攻撃するという作戦も成り立つのだ。
「いったんボスへの攻撃は後回しにし、優先して子蜘蛛を倒してください!」
セレスティアの命令を受けて、騎士たちが即座に周囲の子蜘蛛にターゲットを変える。
もちろん冒険者たちは最初から子蜘蛛を相手にしているが、
「ふん、何度回復しようと、また削ればよいだけだろう」
アルベール卿とその配下たちは、セレスティアを無視してボスへの攻撃を続けている。
まぁ子蜘蛛が減ってくればまたボスを攻撃しないといけないし、少し効率は落ちるが彼らのことは放っておいていいだろう。
「しかしこいつら、硬すぎるんだよなっ!」
「引きつけるだけならともかく、倒すのはなかなか骨が折れるぜ……っ!」
「手が痛ぇ!」
ロックタラントラは確かに全身が岩で構成され、非常に防御力が高い。
そのため【大剣士】や【斧士】の攻撃、あるいは攻撃魔法などでなければ、なかなかHPを削るのは難しい。
無職ではなおさらだ。
だが実はロックタラントラには、有効な倒し方があった。
それは吐き出してきた石の弾丸を、タイミングよく武器で跳ね返し、ぶつけるというものだ。
俺は〈鋼の剣〉を使って石を打ち返す。
これなら攻撃力が低くても、一定値の大ダメージを与えることができるのだ。
二、三回くらい当ててやれば、ロックタラントラは光の粒子となって消えていく。
―――――――――
【レベル】32→33
―――――――――
よしよし、レベルが上がったぞ。
強化ロックタラントラはレベル35だし、その倒し方も相まって、実は美味しい経験値だったりする。
「いくらでも湧いて出てくるし、できればボスを倒さずにもう少しレベル上げしたいところなんだが、そういうわけにもいかないよな」
「ちょっと待て!? お前、どうやってそんなに簡単に倒している!?」
バークに問い詰められ、俺は実演を交えてやり方を伝授する。
「石を打ち返して当てるんだ。ほら、こんなふうに」
「いや無理だろう!? なんでそんな真似ができる!?」
まぁそうだろうな。
ロックタラントラの吐き出す石は高速で、剣に当てるだけでも難しい。
それを狙った方向に打ち返すなんて芸当は、いきなりやってできるものではなかった。
俺が百発百中で成功できているのは〈超集中〉と〈命中上昇Ⅰ〉のお陰だ。
ともあれ、全員で子蜘蛛の撃破に注力したお陰で、ロックタラントラの数を十五体以下にまで減らすことに成功する。
「今ですっ! 今度こそ回復される前にボスを倒し切るのです……っ!」
千載一遇のチャンスと、声を張り上げるセレスティア。
ボスには石打ちができないし、攻撃力の低い俺では生憎ほとんど貢献できない。
待てよ……?
もしゲームと同じシステムだったら、アレが使えるかもしれない。
「王女様っ、俺が今から言う順番で攻撃スキルを使うんだ!」
「えっ……」
「理由は後で説明する!」
「……分かりましたっ! やってみましょう!」
俺を信用してくれたようで、頷きながらボスに飛びかかっていくセレスティア。
「まずは〈ソードダンス〉!」
「〈ソードダンス〉っ!」
〈ソードダンス〉は天職【剣士】でも使える攻撃スキルだ。
舞い踊るような動きで何度も敵を斬りつけていく。
「攻撃の終わりに繋げるように、〈ヴァルキリーラッシュ〉を!」
「〈ヴァルキリーラッシュ〉っ!」
〈ソードダンス〉は発動後の隙の大きい攻撃スキルだ。
だが最後の一撃を放った直後に〈ヴァルキリーラッシュ〉を使うことで、そのまま新たな連続攻撃に移ることができる。
「さらに攻撃終わりにもう一度〈ソードダンス〉だ!」
「〈ソードダンス〉っ! っ……これは……威力が上がっています……っ!?」
最初の〈ソードダンス〉を凌駕する威力の攻撃が、ボスの身体に次々と叩き込まれていくことに驚くセレスティア。
よし、やはりゲームと同じ仕様だな。
これこそが「コンボアタック」と呼ばれているものだ。
特定の攻撃スキル同士なら、こんなふうに上手く繋げて発動することができるのである。このときスキルのクールタイムも無視できる。
しかも連続するたびに威力が上がっていく。
二つ目で一・一倍、三つ目で一・二倍、四つ目で一・三倍となり、最大で五つ目の一・五倍にまで上昇するのだ。
「次は〈ヴァルキリーラッシュ〉!」
「〈ヴァルキリーラッシュ〉っ!」
ただでさえ強力な【戦乙女】の専用攻撃スキルが、一・四倍の威力でボスのHPを削りまくる。
高い防御力を誇るクイーンロックタラントも、これには大ダメージを避けられない。
「これで最後だ! 〈ソウルブレイク〉を叩き込め!」
五つ目のコンボとして放つ〈ソウルブレイク〉は、相手の防御力を無視する破格の攻撃スキルだ。
俺の計算が正しければ、これで確実にボスを仕留められるはず。
「はいっ! 〈ソウルブレ――〉
セレスティアの渾身の一撃が繰り出されようとしたその瞬間、どこからともなく飛んできた炎の槍が、彼女の背中に突き刺さった。
「え?」
このまま普通に戦っていてはジリ貧だ。
「できれば俺を信じて、言う通りにやってみてほしい」
「分かりました。あなたを信じましょう」
よし、セレスティアを通じて全体に指示を出すことができるなら、討伐はそう難しくないはずである。
「まず、子蜘蛛を必ず十五体以下にするんだ。子蜘蛛の数が十五体以下である限り、ボスは自己回復が使えない」
「っ……そんな発動条件が!?」
だから子蜘蛛が増えるまで、ボスは自己回復しなかったのである。
そして子蜘蛛の数が十五体を超えるまでにボスを倒し切れるのなら、ボスを優先して攻撃するという作戦も成り立つのだ。
「いったんボスへの攻撃は後回しにし、優先して子蜘蛛を倒してください!」
セレスティアの命令を受けて、騎士たちが即座に周囲の子蜘蛛にターゲットを変える。
もちろん冒険者たちは最初から子蜘蛛を相手にしているが、
「ふん、何度回復しようと、また削ればよいだけだろう」
アルベール卿とその配下たちは、セレスティアを無視してボスへの攻撃を続けている。
まぁ子蜘蛛が減ってくればまたボスを攻撃しないといけないし、少し効率は落ちるが彼らのことは放っておいていいだろう。
「しかしこいつら、硬すぎるんだよなっ!」
「引きつけるだけならともかく、倒すのはなかなか骨が折れるぜ……っ!」
「手が痛ぇ!」
ロックタラントラは確かに全身が岩で構成され、非常に防御力が高い。
そのため【大剣士】や【斧士】の攻撃、あるいは攻撃魔法などでなければ、なかなかHPを削るのは難しい。
無職ではなおさらだ。
だが実はロックタラントラには、有効な倒し方があった。
それは吐き出してきた石の弾丸を、タイミングよく武器で跳ね返し、ぶつけるというものだ。
俺は〈鋼の剣〉を使って石を打ち返す。
これなら攻撃力が低くても、一定値の大ダメージを与えることができるのだ。
二、三回くらい当ててやれば、ロックタラントラは光の粒子となって消えていく。
―――――――――
【レベル】32→33
―――――――――
よしよし、レベルが上がったぞ。
強化ロックタラントラはレベル35だし、その倒し方も相まって、実は美味しい経験値だったりする。
「いくらでも湧いて出てくるし、できればボスを倒さずにもう少しレベル上げしたいところなんだが、そういうわけにもいかないよな」
「ちょっと待て!? お前、どうやってそんなに簡単に倒している!?」
バークに問い詰められ、俺は実演を交えてやり方を伝授する。
「石を打ち返して当てるんだ。ほら、こんなふうに」
「いや無理だろう!? なんでそんな真似ができる!?」
まぁそうだろうな。
ロックタラントラの吐き出す石は高速で、剣に当てるだけでも難しい。
それを狙った方向に打ち返すなんて芸当は、いきなりやってできるものではなかった。
俺が百発百中で成功できているのは〈超集中〉と〈命中上昇Ⅰ〉のお陰だ。
ともあれ、全員で子蜘蛛の撃破に注力したお陰で、ロックタラントラの数を十五体以下にまで減らすことに成功する。
「今ですっ! 今度こそ回復される前にボスを倒し切るのです……っ!」
千載一遇のチャンスと、声を張り上げるセレスティア。
ボスには石打ちができないし、攻撃力の低い俺では生憎ほとんど貢献できない。
待てよ……?
もしゲームと同じシステムだったら、アレが使えるかもしれない。
「王女様っ、俺が今から言う順番で攻撃スキルを使うんだ!」
「えっ……」
「理由は後で説明する!」
「……分かりましたっ! やってみましょう!」
俺を信用してくれたようで、頷きながらボスに飛びかかっていくセレスティア。
「まずは〈ソードダンス〉!」
「〈ソードダンス〉っ!」
〈ソードダンス〉は天職【剣士】でも使える攻撃スキルだ。
舞い踊るような動きで何度も敵を斬りつけていく。
「攻撃の終わりに繋げるように、〈ヴァルキリーラッシュ〉を!」
「〈ヴァルキリーラッシュ〉っ!」
〈ソードダンス〉は発動後の隙の大きい攻撃スキルだ。
だが最後の一撃を放った直後に〈ヴァルキリーラッシュ〉を使うことで、そのまま新たな連続攻撃に移ることができる。
「さらに攻撃終わりにもう一度〈ソードダンス〉だ!」
「〈ソードダンス〉っ! っ……これは……威力が上がっています……っ!?」
最初の〈ソードダンス〉を凌駕する威力の攻撃が、ボスの身体に次々と叩き込まれていくことに驚くセレスティア。
よし、やはりゲームと同じ仕様だな。
これこそが「コンボアタック」と呼ばれているものだ。
特定の攻撃スキル同士なら、こんなふうに上手く繋げて発動することができるのである。このときスキルのクールタイムも無視できる。
しかも連続するたびに威力が上がっていく。
二つ目で一・一倍、三つ目で一・二倍、四つ目で一・三倍となり、最大で五つ目の一・五倍にまで上昇するのだ。
「次は〈ヴァルキリーラッシュ〉!」
「〈ヴァルキリーラッシュ〉っ!」
ただでさえ強力な【戦乙女】の専用攻撃スキルが、一・四倍の威力でボスのHPを削りまくる。
高い防御力を誇るクイーンロックタラントも、これには大ダメージを避けられない。
「これで最後だ! 〈ソウルブレイク〉を叩き込め!」
五つ目のコンボとして放つ〈ソウルブレイク〉は、相手の防御力を無視する破格の攻撃スキルだ。
俺の計算が正しければ、これで確実にボスを仕留められるはず。
「はいっ! 〈ソウルブレ――〉
セレスティアの渾身の一撃が繰り出されようとしたその瞬間、どこからともなく飛んできた炎の槍が、彼女の背中に突き刺さった。
「え?」
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