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この男、エセ無自覚系
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「おいコラ、田中ぁぁぁぁぁっ!!」
騒がしいオフィス内に、すべてのざわめきを吹き飛ばすような怒号が轟いた。
鬼の営業部長として全従業員に恐れられる山田部長が、顔を真っ赤にして一人の社員の元へと大股で歩いていく。
「ぶ、部長……っ!?」
ビクッと肩を震わせ、恐る恐る振り返ったのは、かなり頭髪の薄くなった中年男――田中さんである。
何だ、また田中さんか……と周囲が呆れ顔で呟いたのは、これが決して珍しい光景ではなかったからだ。
「な、何か、やってしまいましたか……?」
「何かやってしまいましたか、じゃねぇよ! 先方から電話がかかってきたんだよ! さっき届いた契約書見たら、営業のお前が言ってたことと全然違うってな!」
椅子から立ち上がって直立不動の態勢になる田中さんを、山田部長は容赦なく叱責する。
どうやら田中さんが先方に送った契約書が、事前にすり合わせた内容と大きく異なっていたらしい。
田中さんのよくやるミスの一つなのだが、取引先との信頼関係を損ないかねない失態だ。
過去には間違った契約書のまま契約を結んでしまい、後から大きく揉めたこともあった。
「何度やったら気が済むんだよ! 俺がどれだけてめぇの尻拭いをしてきたと思ってんだ!」
「っ……す、すいません……っ!」
「俺に謝ってる暇があったら、とっとと先方に頭下げてこい!」
「は、はい……っ!」
田中さんは慌ててカバンを掴み、走り出そうとする。
だが椅子の脚を踏んでしまい、田中さんは盛大に転んでしまった。
「ぷぷっ」
「こけたし」
「ダサっ」
それを見ていた女性社員たちが思わず吹き出す。
「は、はは……」
田中さんは苦笑いで誤魔化しながら、どうにか立ち上がった。
しかし転んだ際に引っかけてしまったのか、スーツの膝の辺りが破けてしまっている。
それを見た山田部長が、そんな恰好で謝罪に行くつもりかと、再び怒鳴り声を上げかけたそのときだ。
まだ入社二年目の若手社員が、山田部長の元へ駆け寄っていった。
「部長、先日話していた契約、無事にまとまりました」
「本当か!? でかした!」
山田部長の表情が一変する。
「はい」
「そうか! これで今月も目標達成だな!」
田中さんのことなどすっかり忘れてしまったように、満面の笑みを浮かべて若手社員と話しながら席へと戻っていった。
「佐藤くん、ほんと凄いわね」
「今の、田中さんを助けてあげたんでしょ?」
「多分ね。まだ二年目なのに、すでにエース並みの成果に加えて、あの気遣い。それでいて『僕、何か特別なことやりましたか?』って顔で、全然鼻にかけないのよ」
「素敵だわ。あーあ、私があと五年、若かったらなぁ」
「……行ってきます」
女性社員の会話を聞きながら、田中さんは寂しく呟いて、オフィスを出ていく。
その丸まった背中は哀愁に満ちていた。
田中さんは今年で四十四歳になる。
新卒で入社したこの会社に勤め続け、今年で二十年目だ。
しかし未だ役職はない。
同期たちはとっくに昇格し、課長以上になっている。
山田部長は田中さんの一つ先輩というだけだし、営業部の課長陣に至ってはすでに全員が田中さんの後輩だ。
営業成績は常に部署で最下位。
今年入った新入社員にもあっさりと抜かれてしまった。
何度か他の部署に異動になったことはあるが、要領が悪い上にミスも多い田中さんは、どこへ行っても上司から「こんな簡単にこともできないのか!」と叱られてばかりである。
むしろ未だにクビにされずに雇われ続けているだけでも、奇跡と言えるかもしれない。
田中さんに妻子はいない。
ずっと独り身だ。
結婚はもう諦めている。
四十四の、仕事のできない、頭髪の薄くなった男が、結婚などできるはずもない。
「私だって……頑張っているんですよ……」
田中さんの口から自嘲気味の声が零れ落ちる。
努力が足りないのだ、とよく言われる。
だが田中さんは自分なりにちゃんと頑張っているつもりなのだ。
田中さんの脳裏に、先ほど自分を助けてくれた若手社員の姿が浮かぶ。
女性社員の言葉も思い出した。
――まだ二年目なのに、すでにエース並みの成果に加えて、あの気遣い。それでいて『僕、何か特別なことやりましたか?』って顔で、全然鼻にかけないのよ。
「ははっ、まるでリアルなろう主人公じゃないですか」
田中さんは最近よくスマホで読んでいる作品群を思い出して、鼻で笑う。
しかしそうやって小馬鹿にしてみせることで、嫉妬の感情を掻き消そうとしているのである。
遥か年下の若手を羨んでいる恥ずかしい自分を、素直には認められない田中さんだった。
とはいえ、今だけはその若手社員になりたかった。
彼ならきっと謝罪も上手くやってしまうことだろう。
取引先へと向かっている田中さんだが、両足に鉛を縫い込んだかのように足取りが重い。
できることなら今すぐ逃げ出して家に帰りたかった。
「お、おいっ、危ないぞ!?」
「へ?」
考えごとをしていたせいで、周囲への警戒が疎かになっていたらしい。
渡ろうとしていた横断歩道は、とっくに信号が赤になっていた。
田中さんが気づいたときにはもう、猛スピードで走る大型トラックが目の前にあった。
キキイイイイイイ――――ドンッ!!
ブレーキなど間に合うはずもない。
トラックに激突された田中さんは吹き飛ばされ、紙クズのように宙を舞っていた。
こうして田中さんは死んだ。
「……ん?」
気づけば田中さんは森の中に突っ立っていた。
「どこですか、ここは……?」
自分がどうしてこんな場所にいるのか見当もつかず、呆然とする田中さん。
しかし徐々に記憶を取り戻してくる。
「そう言えば、トラックに引かれたような……」
取引先へ謝罪に向かっていた途中、不注意で赤信号の横断歩道を渡ってしまい、大型のトラックに激突されたのだった。
凄まじい衝撃とともに宙を舞ったところまでは覚えているのだが、そこからは完全に記憶が途切れている。
「私は死んだはずでは……?」
と、そのとき。
「グギャギャギャ!」
「なっ!?」
樹木の影から奇妙な叫び声とともに現れたのは、緑色の肌をした醜悪な生き物だった。
男としてはそれほど背が高くない田中さんより、さらに頭一つ分は背が低いその謎の生物に、田中さんは心当たりがあった。
「ゴブリン、ですか……?」
ファンタジー世界ではお馴染みの魔物だ。
普段からよくゲームをしている田中さんにとっても、見慣れた存在である。
とはいえ、こんな風に目の前で動いているところを見たのは初めてだ。
リアル過ぎて気持ちが悪い。
「ギャギャッ!」
「ひぃっ!」
ゴブリンがニタニタと不気味な笑みを浮かべ、田中さんに迫ってくる。
武器も何も持っていない田中さんは後退るしかない。
「こ、こ、来ないでくださいぃぃぃっ!」
「ブギャッ!?」
「……え?」
躍りかかってきたゴブリンに、破れかぶれに腕をぶん回した田中さん。
それが運よくゴブリンの身体に当たったかと思うと、ゴブリンは数十メートルも吹き飛んでいった。
木の幹に激突したゴブリンは、潰れた蛙のようになっていた。
もちろん動かない。
どうにか危機が去ったことで、田中さんは少しずつ冷静になってくる。
そしてある可能性に思い至った。
「まさか、異世界転生……?」
それを確かめるべく、田中さんは少し恥ずかしがりながらも、その言葉を口にする。
――ステータスオープン、と。
田中さんが知っている転生系の作品の多くは、これによって自らのステータスを見ることができたのである。
名前:タナカ
状態:困惑
性別:男
称号:異世界転移者
職業:大賢者(剣聖、魔導王、大聖者、盗賊王)
レベル:214
魔法:劫炎魔法10、極凍魔法10、暴風魔法10、大地魔法10、雷霆魔法10、闇黒魔法10、治癒魔法10、空間魔法10、幻影魔法10、付与魔法10…
スキル:剣術10、体術10、魔法剣10、鑑定10、鍛冶10、隠密10、危機察知10、魔力探知10、闘気10、並列思考10、無詠唱10、幸運10…
「やっぱり……」
目の前に現れたステータス画面を前に、田中さんは自分が異世界に来たことを確信する。
しかし神様に会うパターンではなく、いきなり放り出されるタイプの転生とは。
なんとも不親切なことである。
それはそうと、このステータスに田中さんは見覚えがあった。
田中さんが長年に渡ってプレイし続けているMMORPG『レッド・ライジング・オンライン』。
いわゆる剣と魔法のファンタジー世界を舞台にしたゲームであり、田中さんが人生で最もハマったゲームと言っても過言ではない。
すでに五年以上も遊んでいるが、一通り極め切った今でも、毎日欠かさずにプレイしているほどだ。
まさにそこで鍛え上げたプレイヤーキャラ「タナカ」のステータスそのものだったのである。
そう言えば、先ほどのゴブリンはそのゲームそのままだったなと、田中さんは思い出す。
同じゴブリンであっても、ゲームによって少しずつビジュアルが違うのである。
「ゴブリンを瞬殺できたのは、このステータスのお陰でしょうか……? ――えいっ」
田中さんは軽くその場で地面を蹴ってみた。
すると、それだけで何と十メートル以上も飛び上がってしまう。
陸上の高跳び選手も真っ青になるだろう跳躍力だ。
「あわわわっ……」
高いところが苦手な田中さんは、自分でジャンプしてくせに顔を思い切り引き攣らせながら、地面へと落ちてくる。
着地してもまったく足に痛みを感じなかった。
さらに、軽く魔法を放ってみる。
「ファイアボール」
凄まじい火炎の弾が田中さんの手から発射され、近くの大木に激突。
木の幹が黒焦げになってしまった。
「……す、すごい」
ちゃんと魔法も使うことができた。
やはり今の田中さんは「タナカ」のステータスとなっているらしい。
画面越しに操作するだけだったゲームと違って、自分自身が鍛え上げたキャラクターそのものになって動き回れるのだ。
こんなに楽しいことはない。
「ただ、ビジュアルだけは私のままのようですね……」
錬金魔法で鏡を作り出した田中さんは、そこに映った自分の容姿を見て残念そうに呟く。
せっかく異世界に転生し、しかも最強のステータスを手に入れたというのに、見た目が冴えないおっさんのままでは、なんともキマらない。
「あ、もしかして幻影魔法を使えばいいのでは?」
しかし田中さんは妙案を思いつく。
幻影魔法を使って、好きな姿に見えるようにしてしまえばいいのではないか、と。
「年齢は……十五歳くらいにしておきましょう。まだゲームと同じ世界か分かりませんし、十五歳くらいなら世間知らずでも許されそうですからね。髪の毛はふさふさで……背も高く、体型もすらりとした感じに……そしてもちろんイケメンで……」
やがて鏡の前に現れたのは、田中さんとは似ても似つかない美少年だった。
「こんな顔に生まれていたら、きっと人生が変わっていたんでしょうね……」
テレビに出てくるようなイケメンの中には、びっくりするくらいの馬鹿がいる。
それでも顔が良いだけでチヤホヤされ、大金を稼ぐことができるのだから、イケメンは本当に得だなと、田中さんは偏見たっぷりに思う。
田中さんは森の中を歩き出した。
ともかくここを出て、集落でも見つけなければ、この世界のことが何も分からない。
途中、何度かまたゴブリンに遭遇したが、田中さんの敵ではなかった。
「ん? 家らしきものが見えますね。もしかして森の中に村が?」
やがて田中さんが発見したのは小さな集落だ。
こんな森の中にあるというのに、周囲は簡単な柵に覆われただけで、樹木で作られたと思われるみすぼらしい家々が並んでいる。
「いえ、ここは……オークの村?」
集落の中を歩いていたのはオークたちだった。
豚の頭と人の身体を持つ魔物で、これもゴブリンに並んでファンタジー世界ではお馴染みの存在だろう。
「ブヒッ?」
そのとき一匹のオークが、集落に接近した田中さんに気づいてしまった。
「ブヒイイイイイイイイイイイイッ!!」
鼻から爆音めいた音を響かせたかと思うと、それが侵入者の存在を仲間たちに知らせる合図だったのだろう、ぞろぞろと剣や槍などを手にしたオークが集まってくる。
ここに来るまで何体かゴブリンを倒して自信を付けていた田中さんは、迫りくるオークたちを前にしても冷静だった。
「魔物ですし、倒してしまっても問題ないですよね?」
そう平然と呟きながら、田中さんはオークの群れへと自ら飛び込んでいた。
「「「ブビィッ!?」」」
「「「ブブゥッ!?」」」
「「「ブヒンッ!?」」」
襲いくるオークを、千切っては投げ、千切っては投げ、と殲滅していく田中さん。
ちなみにゲームの「タナカ」が持っていた装備やアイテムは有していないので、素手で相手をするしかない。
それでもオーク程度では、今の田中さんにはダメージすら与えることは不可能だ。
屋根の上のオークが飛ばしてくる矢も、避けるまでもない。
田中さんの身体に当たっても弾き返されるだけだった。
自分の無双っぷりと、慌てふためくオークたちの姿に、田中さんは思わず哄笑する。
「はははははっ! 幾らでもかかってきなさい、この豚ども! あはははははっ!」
ちなみに田中さんは、よくゲーム中に性格が変わってしまうタイプである。
運転中に人格が変貌する人などもいるが、普段、自分を必要以上に抑圧している人が陥りやすい傾向だった。
「ブオオオオオオッ!!」
そこへひと際体格のいいオークが現れた。
身の丈三メートルを超す巨大なオークで、鎧を身に付けてハルバードを振り回している。
「キングオークですかね。えい」
「ブグオッ!?」
田中さんのワンパンで、キングオークの腹部が破裂。
巨体が崩れるように倒れ込んだ。
「「「ブヒイイッ!?」」」
自分たちの大将が瞬殺されたことで、ようやくオークたちも恐怖を覚えたらしい。
一目散に逃げ始めた。
「逃がしませんよ!」
しかしどんなに必死に地面を蹴っても、オークたちは一向に田中さんから離れることができない。
それどころか、逆方向に走っているはずなのに、田中さんの方へと引き寄せられていた。
「あははははっ! 逃げれるものなら逃げてみなさい!」
その現象の正体は、田中さんが扱う重力魔法である。
これによってオークたちは見えない檻に捕らえ、それどころか処刑人――田中さんの方へと自動的に連れられていく。
こうして集落に百匹以上はいただろうオークたちを、田中さんはものの数分で全滅させてしまったのだった。
「な……これは一体、どういうことだ……?」
「オークが……全滅しているだと……?」
と、そこへ田中さんの背後から震える声が聞こえてきた。
「み、見ろ。あそこに人がいるぞ?」
「まさか、あの少年がこれをやったのか……?」
田中さんは後ろを振り返った。
するとそこにいたのは武装した集団だ。今度は人間の。
ぱっと見た感じ、統一感のある装備をした者たちと、各々がバラバラの武器を手にしている者たちの、二種類のグループがあるようだった。
騎士団と傭兵団、あるいは騎士団と冒険者、といった混成団だろうか。
その中から一人の男性が進み出てきた。
騎士風の偉丈夫で、この一団のリーダーかもしれない。
「こ、このオークたちを討伐したのは君か……?」
「ええ、そうです」
「どこかに仲間はいないのか?」
「いえ、私一人ですけど」
田中さんの言葉に、一団がどよめいた。
「一人で、だと……?」
「百匹を超すオークの集落だぞ……っ?」
驚愕する彼らの様子を前に、突然、田中さんの頭の奥で電撃が走った。
……はっ!?
も、もしや、あの台詞を使う大チャンスなのでは……?
内心の興奮を必死に抑え込んで、懸命に「皆さん、どこに驚いているんですか」という顔をする田中さん。
そして意を決し、言った。
「あれ? もしかして私、何かやっちゃいましたか?」
先ほどの男性が目を見開く。
「なっ……き、君は、自分がどれほどのことをしたのか、分かっていないのかっ? しかも、よく見たら君は何の装備も持っていないではないか……っ!」
まさに期待通りの反応だ。
(き、き、き、気持ちいい……っ!!)
味を占めた田中さんは、心の中で快哉を叫びながらも、平然を装って全力でとぼけ抜く。
「え? オーク百匹くらい、素手で倒せますよね?(きょとん)」
「「「倒せるわけないだろうっ!?」」」
こうして、田中さんの新たな人生――自覚ありの異世界無双が始まった。
当然「タナカ」の名はあっという間に異世界に轟くことになるのだが……
「私、また何かやっちゃいましたか?」
前世の鬱憤を晴らすかのように、田中さんは全力で無自覚を装い、世界を煽り続けるのだった。
騒がしいオフィス内に、すべてのざわめきを吹き飛ばすような怒号が轟いた。
鬼の営業部長として全従業員に恐れられる山田部長が、顔を真っ赤にして一人の社員の元へと大股で歩いていく。
「ぶ、部長……っ!?」
ビクッと肩を震わせ、恐る恐る振り返ったのは、かなり頭髪の薄くなった中年男――田中さんである。
何だ、また田中さんか……と周囲が呆れ顔で呟いたのは、これが決して珍しい光景ではなかったからだ。
「な、何か、やってしまいましたか……?」
「何かやってしまいましたか、じゃねぇよ! 先方から電話がかかってきたんだよ! さっき届いた契約書見たら、営業のお前が言ってたことと全然違うってな!」
椅子から立ち上がって直立不動の態勢になる田中さんを、山田部長は容赦なく叱責する。
どうやら田中さんが先方に送った契約書が、事前にすり合わせた内容と大きく異なっていたらしい。
田中さんのよくやるミスの一つなのだが、取引先との信頼関係を損ないかねない失態だ。
過去には間違った契約書のまま契約を結んでしまい、後から大きく揉めたこともあった。
「何度やったら気が済むんだよ! 俺がどれだけてめぇの尻拭いをしてきたと思ってんだ!」
「っ……す、すいません……っ!」
「俺に謝ってる暇があったら、とっとと先方に頭下げてこい!」
「は、はい……っ!」
田中さんは慌ててカバンを掴み、走り出そうとする。
だが椅子の脚を踏んでしまい、田中さんは盛大に転んでしまった。
「ぷぷっ」
「こけたし」
「ダサっ」
それを見ていた女性社員たちが思わず吹き出す。
「は、はは……」
田中さんは苦笑いで誤魔化しながら、どうにか立ち上がった。
しかし転んだ際に引っかけてしまったのか、スーツの膝の辺りが破けてしまっている。
それを見た山田部長が、そんな恰好で謝罪に行くつもりかと、再び怒鳴り声を上げかけたそのときだ。
まだ入社二年目の若手社員が、山田部長の元へ駆け寄っていった。
「部長、先日話していた契約、無事にまとまりました」
「本当か!? でかした!」
山田部長の表情が一変する。
「はい」
「そうか! これで今月も目標達成だな!」
田中さんのことなどすっかり忘れてしまったように、満面の笑みを浮かべて若手社員と話しながら席へと戻っていった。
「佐藤くん、ほんと凄いわね」
「今の、田中さんを助けてあげたんでしょ?」
「多分ね。まだ二年目なのに、すでにエース並みの成果に加えて、あの気遣い。それでいて『僕、何か特別なことやりましたか?』って顔で、全然鼻にかけないのよ」
「素敵だわ。あーあ、私があと五年、若かったらなぁ」
「……行ってきます」
女性社員の会話を聞きながら、田中さんは寂しく呟いて、オフィスを出ていく。
その丸まった背中は哀愁に満ちていた。
田中さんは今年で四十四歳になる。
新卒で入社したこの会社に勤め続け、今年で二十年目だ。
しかし未だ役職はない。
同期たちはとっくに昇格し、課長以上になっている。
山田部長は田中さんの一つ先輩というだけだし、営業部の課長陣に至ってはすでに全員が田中さんの後輩だ。
営業成績は常に部署で最下位。
今年入った新入社員にもあっさりと抜かれてしまった。
何度か他の部署に異動になったことはあるが、要領が悪い上にミスも多い田中さんは、どこへ行っても上司から「こんな簡単にこともできないのか!」と叱られてばかりである。
むしろ未だにクビにされずに雇われ続けているだけでも、奇跡と言えるかもしれない。
田中さんに妻子はいない。
ずっと独り身だ。
結婚はもう諦めている。
四十四の、仕事のできない、頭髪の薄くなった男が、結婚などできるはずもない。
「私だって……頑張っているんですよ……」
田中さんの口から自嘲気味の声が零れ落ちる。
努力が足りないのだ、とよく言われる。
だが田中さんは自分なりにちゃんと頑張っているつもりなのだ。
田中さんの脳裏に、先ほど自分を助けてくれた若手社員の姿が浮かぶ。
女性社員の言葉も思い出した。
――まだ二年目なのに、すでにエース並みの成果に加えて、あの気遣い。それでいて『僕、何か特別なことやりましたか?』って顔で、全然鼻にかけないのよ。
「ははっ、まるでリアルなろう主人公じゃないですか」
田中さんは最近よくスマホで読んでいる作品群を思い出して、鼻で笑う。
しかしそうやって小馬鹿にしてみせることで、嫉妬の感情を掻き消そうとしているのである。
遥か年下の若手を羨んでいる恥ずかしい自分を、素直には認められない田中さんだった。
とはいえ、今だけはその若手社員になりたかった。
彼ならきっと謝罪も上手くやってしまうことだろう。
取引先へと向かっている田中さんだが、両足に鉛を縫い込んだかのように足取りが重い。
できることなら今すぐ逃げ出して家に帰りたかった。
「お、おいっ、危ないぞ!?」
「へ?」
考えごとをしていたせいで、周囲への警戒が疎かになっていたらしい。
渡ろうとしていた横断歩道は、とっくに信号が赤になっていた。
田中さんが気づいたときにはもう、猛スピードで走る大型トラックが目の前にあった。
キキイイイイイイ――――ドンッ!!
ブレーキなど間に合うはずもない。
トラックに激突された田中さんは吹き飛ばされ、紙クズのように宙を舞っていた。
こうして田中さんは死んだ。
「……ん?」
気づけば田中さんは森の中に突っ立っていた。
「どこですか、ここは……?」
自分がどうしてこんな場所にいるのか見当もつかず、呆然とする田中さん。
しかし徐々に記憶を取り戻してくる。
「そう言えば、トラックに引かれたような……」
取引先へ謝罪に向かっていた途中、不注意で赤信号の横断歩道を渡ってしまい、大型のトラックに激突されたのだった。
凄まじい衝撃とともに宙を舞ったところまでは覚えているのだが、そこからは完全に記憶が途切れている。
「私は死んだはずでは……?」
と、そのとき。
「グギャギャギャ!」
「なっ!?」
樹木の影から奇妙な叫び声とともに現れたのは、緑色の肌をした醜悪な生き物だった。
男としてはそれほど背が高くない田中さんより、さらに頭一つ分は背が低いその謎の生物に、田中さんは心当たりがあった。
「ゴブリン、ですか……?」
ファンタジー世界ではお馴染みの魔物だ。
普段からよくゲームをしている田中さんにとっても、見慣れた存在である。
とはいえ、こんな風に目の前で動いているところを見たのは初めてだ。
リアル過ぎて気持ちが悪い。
「ギャギャッ!」
「ひぃっ!」
ゴブリンがニタニタと不気味な笑みを浮かべ、田中さんに迫ってくる。
武器も何も持っていない田中さんは後退るしかない。
「こ、こ、来ないでくださいぃぃぃっ!」
「ブギャッ!?」
「……え?」
躍りかかってきたゴブリンに、破れかぶれに腕をぶん回した田中さん。
それが運よくゴブリンの身体に当たったかと思うと、ゴブリンは数十メートルも吹き飛んでいった。
木の幹に激突したゴブリンは、潰れた蛙のようになっていた。
もちろん動かない。
どうにか危機が去ったことで、田中さんは少しずつ冷静になってくる。
そしてある可能性に思い至った。
「まさか、異世界転生……?」
それを確かめるべく、田中さんは少し恥ずかしがりながらも、その言葉を口にする。
――ステータスオープン、と。
田中さんが知っている転生系の作品の多くは、これによって自らのステータスを見ることができたのである。
名前:タナカ
状態:困惑
性別:男
称号:異世界転移者
職業:大賢者(剣聖、魔導王、大聖者、盗賊王)
レベル:214
魔法:劫炎魔法10、極凍魔法10、暴風魔法10、大地魔法10、雷霆魔法10、闇黒魔法10、治癒魔法10、空間魔法10、幻影魔法10、付与魔法10…
スキル:剣術10、体術10、魔法剣10、鑑定10、鍛冶10、隠密10、危機察知10、魔力探知10、闘気10、並列思考10、無詠唱10、幸運10…
「やっぱり……」
目の前に現れたステータス画面を前に、田中さんは自分が異世界に来たことを確信する。
しかし神様に会うパターンではなく、いきなり放り出されるタイプの転生とは。
なんとも不親切なことである。
それはそうと、このステータスに田中さんは見覚えがあった。
田中さんが長年に渡ってプレイし続けているMMORPG『レッド・ライジング・オンライン』。
いわゆる剣と魔法のファンタジー世界を舞台にしたゲームであり、田中さんが人生で最もハマったゲームと言っても過言ではない。
すでに五年以上も遊んでいるが、一通り極め切った今でも、毎日欠かさずにプレイしているほどだ。
まさにそこで鍛え上げたプレイヤーキャラ「タナカ」のステータスそのものだったのである。
そう言えば、先ほどのゴブリンはそのゲームそのままだったなと、田中さんは思い出す。
同じゴブリンであっても、ゲームによって少しずつビジュアルが違うのである。
「ゴブリンを瞬殺できたのは、このステータスのお陰でしょうか……? ――えいっ」
田中さんは軽くその場で地面を蹴ってみた。
すると、それだけで何と十メートル以上も飛び上がってしまう。
陸上の高跳び選手も真っ青になるだろう跳躍力だ。
「あわわわっ……」
高いところが苦手な田中さんは、自分でジャンプしてくせに顔を思い切り引き攣らせながら、地面へと落ちてくる。
着地してもまったく足に痛みを感じなかった。
さらに、軽く魔法を放ってみる。
「ファイアボール」
凄まじい火炎の弾が田中さんの手から発射され、近くの大木に激突。
木の幹が黒焦げになってしまった。
「……す、すごい」
ちゃんと魔法も使うことができた。
やはり今の田中さんは「タナカ」のステータスとなっているらしい。
画面越しに操作するだけだったゲームと違って、自分自身が鍛え上げたキャラクターそのものになって動き回れるのだ。
こんなに楽しいことはない。
「ただ、ビジュアルだけは私のままのようですね……」
錬金魔法で鏡を作り出した田中さんは、そこに映った自分の容姿を見て残念そうに呟く。
せっかく異世界に転生し、しかも最強のステータスを手に入れたというのに、見た目が冴えないおっさんのままでは、なんともキマらない。
「あ、もしかして幻影魔法を使えばいいのでは?」
しかし田中さんは妙案を思いつく。
幻影魔法を使って、好きな姿に見えるようにしてしまえばいいのではないか、と。
「年齢は……十五歳くらいにしておきましょう。まだゲームと同じ世界か分かりませんし、十五歳くらいなら世間知らずでも許されそうですからね。髪の毛はふさふさで……背も高く、体型もすらりとした感じに……そしてもちろんイケメンで……」
やがて鏡の前に現れたのは、田中さんとは似ても似つかない美少年だった。
「こんな顔に生まれていたら、きっと人生が変わっていたんでしょうね……」
テレビに出てくるようなイケメンの中には、びっくりするくらいの馬鹿がいる。
それでも顔が良いだけでチヤホヤされ、大金を稼ぐことができるのだから、イケメンは本当に得だなと、田中さんは偏見たっぷりに思う。
田中さんは森の中を歩き出した。
ともかくここを出て、集落でも見つけなければ、この世界のことが何も分からない。
途中、何度かまたゴブリンに遭遇したが、田中さんの敵ではなかった。
「ん? 家らしきものが見えますね。もしかして森の中に村が?」
やがて田中さんが発見したのは小さな集落だ。
こんな森の中にあるというのに、周囲は簡単な柵に覆われただけで、樹木で作られたと思われるみすぼらしい家々が並んでいる。
「いえ、ここは……オークの村?」
集落の中を歩いていたのはオークたちだった。
豚の頭と人の身体を持つ魔物で、これもゴブリンに並んでファンタジー世界ではお馴染みの存在だろう。
「ブヒッ?」
そのとき一匹のオークが、集落に接近した田中さんに気づいてしまった。
「ブヒイイイイイイイイイイイイッ!!」
鼻から爆音めいた音を響かせたかと思うと、それが侵入者の存在を仲間たちに知らせる合図だったのだろう、ぞろぞろと剣や槍などを手にしたオークが集まってくる。
ここに来るまで何体かゴブリンを倒して自信を付けていた田中さんは、迫りくるオークたちを前にしても冷静だった。
「魔物ですし、倒してしまっても問題ないですよね?」
そう平然と呟きながら、田中さんはオークの群れへと自ら飛び込んでいた。
「「「ブビィッ!?」」」
「「「ブブゥッ!?」」」
「「「ブヒンッ!?」」」
襲いくるオークを、千切っては投げ、千切っては投げ、と殲滅していく田中さん。
ちなみにゲームの「タナカ」が持っていた装備やアイテムは有していないので、素手で相手をするしかない。
それでもオーク程度では、今の田中さんにはダメージすら与えることは不可能だ。
屋根の上のオークが飛ばしてくる矢も、避けるまでもない。
田中さんの身体に当たっても弾き返されるだけだった。
自分の無双っぷりと、慌てふためくオークたちの姿に、田中さんは思わず哄笑する。
「はははははっ! 幾らでもかかってきなさい、この豚ども! あはははははっ!」
ちなみに田中さんは、よくゲーム中に性格が変わってしまうタイプである。
運転中に人格が変貌する人などもいるが、普段、自分を必要以上に抑圧している人が陥りやすい傾向だった。
「ブオオオオオオッ!!」
そこへひと際体格のいいオークが現れた。
身の丈三メートルを超す巨大なオークで、鎧を身に付けてハルバードを振り回している。
「キングオークですかね。えい」
「ブグオッ!?」
田中さんのワンパンで、キングオークの腹部が破裂。
巨体が崩れるように倒れ込んだ。
「「「ブヒイイッ!?」」」
自分たちの大将が瞬殺されたことで、ようやくオークたちも恐怖を覚えたらしい。
一目散に逃げ始めた。
「逃がしませんよ!」
しかしどんなに必死に地面を蹴っても、オークたちは一向に田中さんから離れることができない。
それどころか、逆方向に走っているはずなのに、田中さんの方へと引き寄せられていた。
「あははははっ! 逃げれるものなら逃げてみなさい!」
その現象の正体は、田中さんが扱う重力魔法である。
これによってオークたちは見えない檻に捕らえ、それどころか処刑人――田中さんの方へと自動的に連れられていく。
こうして集落に百匹以上はいただろうオークたちを、田中さんはものの数分で全滅させてしまったのだった。
「な……これは一体、どういうことだ……?」
「オークが……全滅しているだと……?」
と、そこへ田中さんの背後から震える声が聞こえてきた。
「み、見ろ。あそこに人がいるぞ?」
「まさか、あの少年がこれをやったのか……?」
田中さんは後ろを振り返った。
するとそこにいたのは武装した集団だ。今度は人間の。
ぱっと見た感じ、統一感のある装備をした者たちと、各々がバラバラの武器を手にしている者たちの、二種類のグループがあるようだった。
騎士団と傭兵団、あるいは騎士団と冒険者、といった混成団だろうか。
その中から一人の男性が進み出てきた。
騎士風の偉丈夫で、この一団のリーダーかもしれない。
「こ、このオークたちを討伐したのは君か……?」
「ええ、そうです」
「どこかに仲間はいないのか?」
「いえ、私一人ですけど」
田中さんの言葉に、一団がどよめいた。
「一人で、だと……?」
「百匹を超すオークの集落だぞ……っ?」
驚愕する彼らの様子を前に、突然、田中さんの頭の奥で電撃が走った。
……はっ!?
も、もしや、あの台詞を使う大チャンスなのでは……?
内心の興奮を必死に抑え込んで、懸命に「皆さん、どこに驚いているんですか」という顔をする田中さん。
そして意を決し、言った。
「あれ? もしかして私、何かやっちゃいましたか?」
先ほどの男性が目を見開く。
「なっ……き、君は、自分がどれほどのことをしたのか、分かっていないのかっ? しかも、よく見たら君は何の装備も持っていないではないか……っ!」
まさに期待通りの反応だ。
(き、き、き、気持ちいい……っ!!)
味を占めた田中さんは、心の中で快哉を叫びながらも、平然を装って全力でとぼけ抜く。
「え? オーク百匹くらい、素手で倒せますよね?(きょとん)」
「「「倒せるわけないだろうっ!?」」」
こうして、田中さんの新たな人生――自覚ありの異世界無双が始まった。
当然「タナカ」の名はあっという間に異世界に轟くことになるのだが……
「私、また何かやっちゃいましたか?」
前世の鬱憤を晴らすかのように、田中さんは全力で無自覚を装い、世界を煽り続けるのだった。
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