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第十二話 NM生成
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次に試したのは〈武器生成+6〉だ。
これまではただ先端が尖っただけの棒しか作ることができなかったんだが、段階が一気に上がったことで、かなり色んな種類の武器を作ることができるようになった。
片手剣に両手剣、さらにデカい大剣。
斧に棍棒にモーニングスター。
大きさや形状を自由に指定できるようになったのだ。
しかも強度や切れ味が以前と段違いだ。
分かりやすいよう、前に作った武器との比較を〈鑑定+3〉で行ってみる。
青銅の槍
強度12 斬撃10 刺突15 打撃8
これが〈武器生成+1〉の頃に作った武器。
攻撃には斬撃、刺突、打撃の三属性がある。
一応、槍だから刺突が一番強い。
そして新しく作った槍だ。
鋼の槍
強度29 斬撃27 刺突46 打撃21
鋼製になっていて、強度や攻撃力の数値が大きく上がっている。
試しに色んな武器を生成してはみたが、オーガたちには〈剣技+3〉というスキルがある。
彼らには剣を持たせた方がいいだろう。
一方、ゴブリンたちには短剣だ。
身体の小さな彼らには、槍のように長い武器はかえって使いにくいのである。
「ん? 何か名称が違う剣ができたぞ?」
俺がオーガ用の鋼の剣を量産していると、ちょっと他のとは名前の違う剣ができた。
鋼の名剣
強度47 斬撃68 刺突41 打撃38
ちなみに、通常のやつはこれだ。
鋼の剣
強度31 斬撃49 刺突31 打撃24
「剣」が「名剣」になっているのである。
ちょっとした違いだが、攻撃力がかなり違う。
「そう言えば、〈魔物生成〉でも時々上位種族の魔物が生成されてたな」
普通ならオーガなのだが、たまにアークオーガという種族が交じっていたのだ。
どうやら〈武器生成〉でも同じようなことが起こるらしい。
「あ、言っている傍から、また違うのが生成されたぞ」
火の魔剣
強度52 斬撃69 刺突43 打撃40 火攻56
効果:炎球発射
「魔剣とな!?」
と言っても、ステータスは鋼の名剣と大差ない。
違うのは、火攻――恐らく火の属性攻撃だろう――というのが付いていることと、炎球発射という特殊効果があることだ。
刀身が赤く、美しいその剣を持って、俺は軽く振ってみた。
すると炎の塊が発射され、ダンジョンの壁に直撃した。
「いてぇっ……って、まぁ、本体には痛覚ないから痛くないんだけど、なんとなく」
にしても、かなりの威力だ。
ちょうどダンジョンにやって来た牙熊に使ってみたら、一撃で燃え尽くしてしまった。
「これ、かなり使えるな。よし、俺が持っておこう」
オーガたちが羨ましそうに見ていたが、これは俺のものだ。
〈食糧生成+6〉を試す。
またにょきにょきと木が生えてきた。
そして林檎のような実がなる。
以前よりも赤々としていて、より濃厚な魔力が込められているのを感じる。
どうやらこの実は、魔物たちにレベルアップを促すためのものらしい。
そしてレベルアップしていくと、魔物は時々進化することがある。
ゴブリンからアークゴブリンに。
アークゴブリンからオーガに。
オーガからアークオーガに。
ただ、進化系統が違うからか、アークゴブリンからオーガに進化する確率はかなり低いようだった。
俺は木を生やす専用の区画を設け、そこを食糧庫と名付けることにした。
「しかし、あんまり美味くないな……」
林檎もどきを齧ってみたが、味は林檎には到底、及ばなかった。
ちなみに俺自身(迷宮主の方)も林檎を食べることができる。
だがレベルアップはできないようだ。
この林檎自体、俺の一部のようなもんだし、それができたら永久機関になっちまうしな。
「まぁでもせっかく食えるんだし、味の方もちょっと改良を加えてみるか。あと、林檎以外のものが作れないかも試してみよう」
別にこの身体も食事を採る必要はないのだが、なぜか美味いものを喰いたいという欲求があるようだった。
〈NM生成+2〉。
これって、あれだよな。
ネームドモンスターだよな?
何でこれだけ頭文字? 長いから?
まぁよく分からんが、名前付の魔物を生成することが可能らしい。
恐らく通常の魔物よりも強力なやつを生むことができるのだろう。
このダンジョンの戦力の要となり得る存在だ。
当然、手を抜くわけにはいかない。
「どんな魔物がいいか……」
実際には俺のイメージ通りの魔物が出る可能性は低いのだが、それでも経験上、強烈なイメージは、生まれてくる魔物の能力に一定の影響を及ぼすようだった。
俺は目を瞑り、イメージする。
しかしそのときなぜか俺の脳裏に浮かんだのは、前世の会社の同僚の顔だった。
神宮寺美緒。
この四月に入社したばかりの新人社員だ。
元気で人懐っこい性格で、俺のような冴えない先輩にも明るい笑顔で接してくれる。
『あれ? せんぱい、まだ会社に残ってたんですかー?』
『ほんと、お身体には気を付けてくださいね?』
『わたし、嫌ですよ? せんぱいが過労で倒れたりしたら』
残業で一人残っていた俺を心配して、よく声をかけてくれたっけな。
自分だってまだ仕事に慣れてなくて色々と大変だったろうに……。
ほんと、天使みたいな子だよな。美人だし。
ぶっちゃけ、俺は彼女に惚れていた。
だが入社直後にはもう会社のアイドルみたいな存在になっていたし、俺なんかが彼女に釣り合う訳もなく。
ただ影から彼女の頑張りを見守るだけだった。
次の瞬間だった。
ダンジョンの壁から女の子が生えてきた。
まるでテレビから出てくるサダコだが、しかしそんな悍ましい奴じゃない。
それは天使だった。
「美緒、ちゃん……?」
会社の後輩と瓜二つの少女が、ダンジョンに生れ落ちていた。
これまではただ先端が尖っただけの棒しか作ることができなかったんだが、段階が一気に上がったことで、かなり色んな種類の武器を作ることができるようになった。
片手剣に両手剣、さらにデカい大剣。
斧に棍棒にモーニングスター。
大きさや形状を自由に指定できるようになったのだ。
しかも強度や切れ味が以前と段違いだ。
分かりやすいよう、前に作った武器との比較を〈鑑定+3〉で行ってみる。
青銅の槍
強度12 斬撃10 刺突15 打撃8
これが〈武器生成+1〉の頃に作った武器。
攻撃には斬撃、刺突、打撃の三属性がある。
一応、槍だから刺突が一番強い。
そして新しく作った槍だ。
鋼の槍
強度29 斬撃27 刺突46 打撃21
鋼製になっていて、強度や攻撃力の数値が大きく上がっている。
試しに色んな武器を生成してはみたが、オーガたちには〈剣技+3〉というスキルがある。
彼らには剣を持たせた方がいいだろう。
一方、ゴブリンたちには短剣だ。
身体の小さな彼らには、槍のように長い武器はかえって使いにくいのである。
「ん? 何か名称が違う剣ができたぞ?」
俺がオーガ用の鋼の剣を量産していると、ちょっと他のとは名前の違う剣ができた。
鋼の名剣
強度47 斬撃68 刺突41 打撃38
ちなみに、通常のやつはこれだ。
鋼の剣
強度31 斬撃49 刺突31 打撃24
「剣」が「名剣」になっているのである。
ちょっとした違いだが、攻撃力がかなり違う。
「そう言えば、〈魔物生成〉でも時々上位種族の魔物が生成されてたな」
普通ならオーガなのだが、たまにアークオーガという種族が交じっていたのだ。
どうやら〈武器生成〉でも同じようなことが起こるらしい。
「あ、言っている傍から、また違うのが生成されたぞ」
火の魔剣
強度52 斬撃69 刺突43 打撃40 火攻56
効果:炎球発射
「魔剣とな!?」
と言っても、ステータスは鋼の名剣と大差ない。
違うのは、火攻――恐らく火の属性攻撃だろう――というのが付いていることと、炎球発射という特殊効果があることだ。
刀身が赤く、美しいその剣を持って、俺は軽く振ってみた。
すると炎の塊が発射され、ダンジョンの壁に直撃した。
「いてぇっ……って、まぁ、本体には痛覚ないから痛くないんだけど、なんとなく」
にしても、かなりの威力だ。
ちょうどダンジョンにやって来た牙熊に使ってみたら、一撃で燃え尽くしてしまった。
「これ、かなり使えるな。よし、俺が持っておこう」
オーガたちが羨ましそうに見ていたが、これは俺のものだ。
〈食糧生成+6〉を試す。
またにょきにょきと木が生えてきた。
そして林檎のような実がなる。
以前よりも赤々としていて、より濃厚な魔力が込められているのを感じる。
どうやらこの実は、魔物たちにレベルアップを促すためのものらしい。
そしてレベルアップしていくと、魔物は時々進化することがある。
ゴブリンからアークゴブリンに。
アークゴブリンからオーガに。
オーガからアークオーガに。
ただ、進化系統が違うからか、アークゴブリンからオーガに進化する確率はかなり低いようだった。
俺は木を生やす専用の区画を設け、そこを食糧庫と名付けることにした。
「しかし、あんまり美味くないな……」
林檎もどきを齧ってみたが、味は林檎には到底、及ばなかった。
ちなみに俺自身(迷宮主の方)も林檎を食べることができる。
だがレベルアップはできないようだ。
この林檎自体、俺の一部のようなもんだし、それができたら永久機関になっちまうしな。
「まぁでもせっかく食えるんだし、味の方もちょっと改良を加えてみるか。あと、林檎以外のものが作れないかも試してみよう」
別にこの身体も食事を採る必要はないのだが、なぜか美味いものを喰いたいという欲求があるようだった。
〈NM生成+2〉。
これって、あれだよな。
ネームドモンスターだよな?
何でこれだけ頭文字? 長いから?
まぁよく分からんが、名前付の魔物を生成することが可能らしい。
恐らく通常の魔物よりも強力なやつを生むことができるのだろう。
このダンジョンの戦力の要となり得る存在だ。
当然、手を抜くわけにはいかない。
「どんな魔物がいいか……」
実際には俺のイメージ通りの魔物が出る可能性は低いのだが、それでも経験上、強烈なイメージは、生まれてくる魔物の能力に一定の影響を及ぼすようだった。
俺は目を瞑り、イメージする。
しかしそのときなぜか俺の脳裏に浮かんだのは、前世の会社の同僚の顔だった。
神宮寺美緒。
この四月に入社したばかりの新人社員だ。
元気で人懐っこい性格で、俺のような冴えない先輩にも明るい笑顔で接してくれる。
『あれ? せんぱい、まだ会社に残ってたんですかー?』
『ほんと、お身体には気を付けてくださいね?』
『わたし、嫌ですよ? せんぱいが過労で倒れたりしたら』
残業で一人残っていた俺を心配して、よく声をかけてくれたっけな。
自分だってまだ仕事に慣れてなくて色々と大変だったろうに……。
ほんと、天使みたいな子だよな。美人だし。
ぶっちゃけ、俺は彼女に惚れていた。
だが入社直後にはもう会社のアイドルみたいな存在になっていたし、俺なんかが彼女に釣り合う訳もなく。
ただ影から彼女の頑張りを見守るだけだった。
次の瞬間だった。
ダンジョンの壁から女の子が生えてきた。
まるでテレビから出てくるサダコだが、しかしそんな悍ましい奴じゃない。
それは天使だった。
「美緒、ちゃん……?」
会社の後輩と瓜二つの少女が、ダンジョンに生れ落ちていた。
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