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第41話 さすがに多すぎない
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「さすがに多すぎない?」
シャドウナイツで生み出した影騎士たちが、沼地でのリザードマン狩りを続けている。
お陰で素材や魔石が勝手に入ってくるのだけれど、ここ数日、その量が当初とは桁違いに増えていた。
つまりそれだけ多数のリザードマンを倒してくれているということだが……。
影騎士の数も僕の魔力量の増大に伴って増えてはいるけれど、さすがにペースが早すぎではないだろうか。
不思議に思っていると、ちょうど冒険者ギルドの目立つところに注意喚起のビラが掲載された。
「沼地で何らかの異変が発生しているから、少なくとも調査が完了するまでは立ち入り禁止……か」
どうやら沼地で何らかの異変が起こっているらしい。
いつもの受付嬢からも直接、注意された。
「さすがに沼地に入ることはないと思うけど、念のためね。色々と前科もあるし……」
「何で増えてるのか、原因の予測はついてるの?」
「まだはっきりとは言えないけど……もしかしたら、マザーリザードっていう危険度Bの魔物が現れたかもしれないのよ」
「マザーリザード?」
聞けば、大量のリザードマンを産み続ける魔物らしい。
一説にはその短い生涯を終えるまでに、数万ものリザードマンを産み落とすとか。
「斬りまくるチャンスね」
「私の話、聞いてたかしら!? 沼地に行くのは絶対にダメよ!? 普段でさえ岩場とは危険度が段違いなんだから!」
ファンの言葉に、イレアが絶叫する。
……この娘は止めたところで無駄ですよー。
「そもそも今は立ち入り禁止なのよ。もし立ち入ったと分かったら、ペナルティを科されることになるわ」
「ペナルティ?」
「ペナルティが多いと冒険者ランクが上がりにくくなり、場合によってはギルド証の剥奪もあるわ」
随分と重い罰則だなと思ったけど、それには理由があるらしい。
「魔物は人間を倒すことでレベルが上がって進化してしまうこともあるわ。しかも今回の案件、下手をすると街の存続にかかわるような緊急事態。そんな状況で余計な真似をしたら罰せられるのも当然よ」
「むう……」
不服そうにするファンだが、さすがに納得はしたようだ。
「これは仕方ないね。沼地には絶対行かないようにしないと」
「頼むわ、セリウス君」
「うん、もしファンが行こうとしたら力づくでも止めるよ」
もちろん真面目な顔で頷いている僕がまさか、すでに沼地で大量のリザードマン狩りをしているとは思ってもいないだろう。
「なるほど、こいつがマザーリザードね」
影分身を利用し、【ビデオ帽子】と【映像ボックス】で沼地の様子を見ていた僕は、奥地でマザーリザードを発見した。
背の高い水草が繁茂している一帯だが、それよりマザーリザードの方が巨体なので、すぐに分かった。
その近くは大量の卵でちょっとした山のようになっている。
「この小さな卵一個一個がリザードマンになるのか。沼地に溢れかえるわけだね」
そして当然、マザーリザードの周辺には、沼地の他の場所とは比較にもならない数のリザードマンがいた。
産卵に専念しているマザーリザードを、外敵から守っているのだろう。
エルダーリザードの割合も多く、この強力な護衛を突破してマザーリザードを討伐するのは決して簡単ではないはずだ。
「エルダーリザードとはまた違う見た目の強そうなやつもいる。別の上位種かな?」
顎を中心に頭部が不自然なほど発達し、随分とバランスの悪そうなリザードマンだ。
後から知ったことだけれど、こいつはアリゲリザードという上位種らしく、人間の胴体を軽く粉砕する強靭な咬合力を持つという。
噛みついた相手を完全に喰らい尽くすまで絶対に離さない、凶悪な魔物だ。
大量のリザードマンに加え、増え続けるその上位種たち。
放っておけばいずれは沼地から溢れ出し、近隣に多大な被害をもたらすかもしれない。
「でも、逆に言えば狩りまくるチャンスだ」
思わずファンと同じような台詞を口にしてしまう。
ただし僕の場合、シャドウナイツを使って狩りを行うため、沼地に入る必要はなく、ギルドからペナルティを科される心配もない。
そのうち街の騎士団や冒険者たちによって討伐隊が結成されるだろうけれど、それまでに可能な限り倒しまくっておこう。
そんなわけで僕は、魔力の大半をシャドウナイツに注ぎ込むことにした。
僕自身が冒険しているときは、万一に備えて十分な魔力を確保していたのだけれど、そちらは最低限に。
まぁこれまで通り岩場で冒険するだけなら問題ないだろう。
「同時に八十体……いや、百体はいけるね」
影騎士たちを百体にまで増やし、リザードマンをガンガン討伐していくのだった。
シャドウナイツで生み出した影騎士たちが、沼地でのリザードマン狩りを続けている。
お陰で素材や魔石が勝手に入ってくるのだけれど、ここ数日、その量が当初とは桁違いに増えていた。
つまりそれだけ多数のリザードマンを倒してくれているということだが……。
影騎士の数も僕の魔力量の増大に伴って増えてはいるけれど、さすがにペースが早すぎではないだろうか。
不思議に思っていると、ちょうど冒険者ギルドの目立つところに注意喚起のビラが掲載された。
「沼地で何らかの異変が発生しているから、少なくとも調査が完了するまでは立ち入り禁止……か」
どうやら沼地で何らかの異変が起こっているらしい。
いつもの受付嬢からも直接、注意された。
「さすがに沼地に入ることはないと思うけど、念のためね。色々と前科もあるし……」
「何で増えてるのか、原因の予測はついてるの?」
「まだはっきりとは言えないけど……もしかしたら、マザーリザードっていう危険度Bの魔物が現れたかもしれないのよ」
「マザーリザード?」
聞けば、大量のリザードマンを産み続ける魔物らしい。
一説にはその短い生涯を終えるまでに、数万ものリザードマンを産み落とすとか。
「斬りまくるチャンスね」
「私の話、聞いてたかしら!? 沼地に行くのは絶対にダメよ!? 普段でさえ岩場とは危険度が段違いなんだから!」
ファンの言葉に、イレアが絶叫する。
……この娘は止めたところで無駄ですよー。
「そもそも今は立ち入り禁止なのよ。もし立ち入ったと分かったら、ペナルティを科されることになるわ」
「ペナルティ?」
「ペナルティが多いと冒険者ランクが上がりにくくなり、場合によってはギルド証の剥奪もあるわ」
随分と重い罰則だなと思ったけど、それには理由があるらしい。
「魔物は人間を倒すことでレベルが上がって進化してしまうこともあるわ。しかも今回の案件、下手をすると街の存続にかかわるような緊急事態。そんな状況で余計な真似をしたら罰せられるのも当然よ」
「むう……」
不服そうにするファンだが、さすがに納得はしたようだ。
「これは仕方ないね。沼地には絶対行かないようにしないと」
「頼むわ、セリウス君」
「うん、もしファンが行こうとしたら力づくでも止めるよ」
もちろん真面目な顔で頷いている僕がまさか、すでに沼地で大量のリザードマン狩りをしているとは思ってもいないだろう。
「なるほど、こいつがマザーリザードね」
影分身を利用し、【ビデオ帽子】と【映像ボックス】で沼地の様子を見ていた僕は、奥地でマザーリザードを発見した。
背の高い水草が繁茂している一帯だが、それよりマザーリザードの方が巨体なので、すぐに分かった。
その近くは大量の卵でちょっとした山のようになっている。
「この小さな卵一個一個がリザードマンになるのか。沼地に溢れかえるわけだね」
そして当然、マザーリザードの周辺には、沼地の他の場所とは比較にもならない数のリザードマンがいた。
産卵に専念しているマザーリザードを、外敵から守っているのだろう。
エルダーリザードの割合も多く、この強力な護衛を突破してマザーリザードを討伐するのは決して簡単ではないはずだ。
「エルダーリザードとはまた違う見た目の強そうなやつもいる。別の上位種かな?」
顎を中心に頭部が不自然なほど発達し、随分とバランスの悪そうなリザードマンだ。
後から知ったことだけれど、こいつはアリゲリザードという上位種らしく、人間の胴体を軽く粉砕する強靭な咬合力を持つという。
噛みついた相手を完全に喰らい尽くすまで絶対に離さない、凶悪な魔物だ。
大量のリザードマンに加え、増え続けるその上位種たち。
放っておけばいずれは沼地から溢れ出し、近隣に多大な被害をもたらすかもしれない。
「でも、逆に言えば狩りまくるチャンスだ」
思わずファンと同じような台詞を口にしてしまう。
ただし僕の場合、シャドウナイツを使って狩りを行うため、沼地に入る必要はなく、ギルドからペナルティを科される心配もない。
そのうち街の騎士団や冒険者たちによって討伐隊が結成されるだろうけれど、それまでに可能な限り倒しまくっておこう。
そんなわけで僕は、魔力の大半をシャドウナイツに注ぎ込むことにした。
僕自身が冒険しているときは、万一に備えて十分な魔力を確保していたのだけれど、そちらは最低限に。
まぁこれまで通り岩場で冒険するだけなら問題ないだろう。
「同時に八十体……いや、百体はいけるね」
影騎士たちを百体にまで増やし、リザードマンをガンガン討伐していくのだった。
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