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第3話 僕ってもしかして
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どうやら魔法を発動するためには魔法陣というものが必要らしい。
魔法陣は、紋様や文字などで構成された図形のことで、自分の魔力によって描く。
魔力というインクで、空中のキャンバスに複雑な図を作り上げるのである。
もちろん魔法陣には一定の法則が存在していて、法則を覚えれば既存の魔法をカスタマイズしたり、オリジナルの魔法を作り出したりすることも可能なようだ。
この世界で一般的なのは、次の六系統の魔法らしい。
赤魔法……火や熱に関する魔法。
青魔法……水や氷に関する魔法。
黄魔法……土や金属に関する魔法。
緑魔法……風や天候に関する魔法。
白魔法……光や治癒に関する魔法。
黒魔法……闇や死に関する魔法。
それぞれ魔法陣の図法が異なっていることもあり、複数の魔法を高位まで習得していくのは至難の業だという。
いわば複数の言語を覚えるようなものだ。
さらに当人の魔力の波長によって、得意な魔法とそうではない魔法があるらしかった。
どの魔法に適性があるのかを調べる方法も、いくつか魔導書で紹介されていた。
その中の一つが、火や水などに自分の魔力を通してみる、加減式と呼ばれる手法だ。
例えば燃えている火に魔力を流してみて、火力が増したなら赤魔法の才能があることを意味し、逆に火力が低下したならまったく才能がないことを意味する、というもの。
もちろん僕もやってみた。
篝火に魔力を通すと……凄まじい勢いで炎が燃え上がり。
井戸水に魔力を通すと……井戸から水が溢れ出し。
地面に魔力を通すと……地面が大きく盛り上がり。
そよ風に魔力を通すと……暴風へと変わり。
窓から差し込む柔らかな陽光に魔力を通すと……部屋が真っ白になるほど苛烈な光が弾け。
暗闇に魔力を通すと……完全な漆黒へと変貌し。
……あれ?
僕ってもしかして、全系統の魔法に適性がある?
「イグナイトアロー」
燃え盛る矢が放たれ、二十メートル先に置かれた的を直撃する。
「よし、できた!」
僕は思わず快哉を叫んだ。
今はじめて発動に成功したのは、第三階級赤魔法のイグナイトアローである。
魔法には階級が存在し、高い階級になればなるほど強力になる一方で、魔法陣が複雑になり要求される魔力量も桁違いに増えていく。
第一階級は数日、第二階級は二週間で使えるようになったのに、この第三階級には三か月もかかってしまった。
すでに僕は一歳になっている。
もちろん訓練は夜中にこっそり行っていた。魔法を使える一歳児なんて、このファンタジー世界でもファンタジーだからね。
第三階級の魔法に成功したのは、このイグナイトアローが最初だ。
これから他の赤魔法や、他の系統の第三階級魔法を練習していくつもりだった。
なお、第四階級はまだまだ当分、難しそうである。
第三階級よりさらに複雑な魔法陣は覚えるだけでも大変だし、それを描くのはもっと大変だ。
魔法書には第八階級の魔法まで存在していると記されていた。
第三階級や第四階級でもこの難度だ。第八階級なんて使えるやつはどんな化け物だろう。
全系統の魔法に適性があることから、僕には魔法の才能があると思っていたが、第三階級で手間取っている時点で大したことないのかもしれない。
三歳になった。
あれから第三階級はもちろん、全系統の第四階級魔法を使いこなせるようになり、少しずつ第五階級魔法の訓練も始めているところだ。
ただ、第五階級は本当に難しい。
膨大な魔力量が要求されるため、一度でも発動に失敗したら、僕の魔力はあっさり底をついてしまう。かなり増えたはずなのに……。
図書室に置かれていた魔法書はすべて読み尽くしてしまった。
魔法書の中には、魔法の実践的な使い方なんかが書かれているものがあった。
例えば魔法陣をより速く描く方法。
魔力で一から魔法陣を描いていると、魔法の階級が上がれば上がるほど膨大な時間がかかってしまう。
そこで脳内にあらかじめ記憶しておいた図形や文字を、丸ごと空中に魔力投影するのだ。
イメージ力が要求されるが、これで発動までの時間を大幅に短縮することができる。
基本の六系統に属さない魔法について書いた魔法書もあった。
無属性魔法や時空魔法、重力魔法、精霊魔法、結界魔法といった魔法である。
これらの魔法陣は、基本六系統とは図法がさらに大きく違う。
基本六系統がせいぜい英語とドイツ語、フランス語あたりの違いだとすれば、系統外の魔法は英語と日本語くらい違っているのだ。
そして、魔法によるクラフトについて書かれた魔法書もあった。
魔法でのクラフト。
単に魔法でモノを作成するというだけではない。
魔力を動力源に特殊な性能を発揮する道具、すなわち魔道具を作り出す方法について書かれていたのだ。
自動で衣類を洗ってくれる魔道具。
冷めた食べ物をあっという間に温めてくれる魔道具。
食べ物を低温保存できる魔道具。
……どれもどこかで聞いたことのあるものばかりである。
「洗濯機に電子レンジに冷蔵庫じゃないか」
前世の知識がある僕からすればまったく目新しさ感じないが、この世界の人たちにとってはまさに便利さの革命ともいえるアイテムだろう。
「ん? ちょっと待って。つまり魔法クラフトが可能になれば、前世の便利アイテムをこの世界で再現できるってことだよね!」
魔法陣は、紋様や文字などで構成された図形のことで、自分の魔力によって描く。
魔力というインクで、空中のキャンバスに複雑な図を作り上げるのである。
もちろん魔法陣には一定の法則が存在していて、法則を覚えれば既存の魔法をカスタマイズしたり、オリジナルの魔法を作り出したりすることも可能なようだ。
この世界で一般的なのは、次の六系統の魔法らしい。
赤魔法……火や熱に関する魔法。
青魔法……水や氷に関する魔法。
黄魔法……土や金属に関する魔法。
緑魔法……風や天候に関する魔法。
白魔法……光や治癒に関する魔法。
黒魔法……闇や死に関する魔法。
それぞれ魔法陣の図法が異なっていることもあり、複数の魔法を高位まで習得していくのは至難の業だという。
いわば複数の言語を覚えるようなものだ。
さらに当人の魔力の波長によって、得意な魔法とそうではない魔法があるらしかった。
どの魔法に適性があるのかを調べる方法も、いくつか魔導書で紹介されていた。
その中の一つが、火や水などに自分の魔力を通してみる、加減式と呼ばれる手法だ。
例えば燃えている火に魔力を流してみて、火力が増したなら赤魔法の才能があることを意味し、逆に火力が低下したならまったく才能がないことを意味する、というもの。
もちろん僕もやってみた。
篝火に魔力を通すと……凄まじい勢いで炎が燃え上がり。
井戸水に魔力を通すと……井戸から水が溢れ出し。
地面に魔力を通すと……地面が大きく盛り上がり。
そよ風に魔力を通すと……暴風へと変わり。
窓から差し込む柔らかな陽光に魔力を通すと……部屋が真っ白になるほど苛烈な光が弾け。
暗闇に魔力を通すと……完全な漆黒へと変貌し。
……あれ?
僕ってもしかして、全系統の魔法に適性がある?
「イグナイトアロー」
燃え盛る矢が放たれ、二十メートル先に置かれた的を直撃する。
「よし、できた!」
僕は思わず快哉を叫んだ。
今はじめて発動に成功したのは、第三階級赤魔法のイグナイトアローである。
魔法には階級が存在し、高い階級になればなるほど強力になる一方で、魔法陣が複雑になり要求される魔力量も桁違いに増えていく。
第一階級は数日、第二階級は二週間で使えるようになったのに、この第三階級には三か月もかかってしまった。
すでに僕は一歳になっている。
もちろん訓練は夜中にこっそり行っていた。魔法を使える一歳児なんて、このファンタジー世界でもファンタジーだからね。
第三階級の魔法に成功したのは、このイグナイトアローが最初だ。
これから他の赤魔法や、他の系統の第三階級魔法を練習していくつもりだった。
なお、第四階級はまだまだ当分、難しそうである。
第三階級よりさらに複雑な魔法陣は覚えるだけでも大変だし、それを描くのはもっと大変だ。
魔法書には第八階級の魔法まで存在していると記されていた。
第三階級や第四階級でもこの難度だ。第八階級なんて使えるやつはどんな化け物だろう。
全系統の魔法に適性があることから、僕には魔法の才能があると思っていたが、第三階級で手間取っている時点で大したことないのかもしれない。
三歳になった。
あれから第三階級はもちろん、全系統の第四階級魔法を使いこなせるようになり、少しずつ第五階級魔法の訓練も始めているところだ。
ただ、第五階級は本当に難しい。
膨大な魔力量が要求されるため、一度でも発動に失敗したら、僕の魔力はあっさり底をついてしまう。かなり増えたはずなのに……。
図書室に置かれていた魔法書はすべて読み尽くしてしまった。
魔法書の中には、魔法の実践的な使い方なんかが書かれているものがあった。
例えば魔法陣をより速く描く方法。
魔力で一から魔法陣を描いていると、魔法の階級が上がれば上がるほど膨大な時間がかかってしまう。
そこで脳内にあらかじめ記憶しておいた図形や文字を、丸ごと空中に魔力投影するのだ。
イメージ力が要求されるが、これで発動までの時間を大幅に短縮することができる。
基本の六系統に属さない魔法について書いた魔法書もあった。
無属性魔法や時空魔法、重力魔法、精霊魔法、結界魔法といった魔法である。
これらの魔法陣は、基本六系統とは図法がさらに大きく違う。
基本六系統がせいぜい英語とドイツ語、フランス語あたりの違いだとすれば、系統外の魔法は英語と日本語くらい違っているのだ。
そして、魔法によるクラフトについて書かれた魔法書もあった。
魔法でのクラフト。
単に魔法でモノを作成するというだけではない。
魔力を動力源に特殊な性能を発揮する道具、すなわち魔道具を作り出す方法について書かれていたのだ。
自動で衣類を洗ってくれる魔道具。
冷めた食べ物をあっという間に温めてくれる魔道具。
食べ物を低温保存できる魔道具。
……どれもどこかで聞いたことのあるものばかりである。
「洗濯機に電子レンジに冷蔵庫じゃないか」
前世の知識がある僕からすればまったく目新しさ感じないが、この世界の人たちにとってはまさに便利さの革命ともいえるアイテムだろう。
「ん? ちょっと待って。つまり魔法クラフトが可能になれば、前世の便利アイテムをこの世界で再現できるってことだよね!」
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