ロリコンだった俺がある日突然何の脈絡もなくロリコンじゃなくなったから再びロリコンに戻りたい!

発酵物体A

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13-4 蔵良望はどんな人?

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 そして、やってきた土曜日。
 私たちはそれぞれヌッキーたちが待ち合わせをする時刻よりも30分ほど前に、その場所に来ていた。最後に完熟がやってきて全員がそろったところで、ヌッキーが来るのを部長の指示の元、陰から見守る。

「ヌッキーの性格からすると大体10分前くらいに来ると思うんだよね」
「じゃあ、まだ結構時間がありますね」
「その間暇だな~……よっし! しりとりでもやろうぜ!」
「え~また? とおるんの尾行の時にもやってたじゃん。後マジカルバナナも」
「お前ら……そんなことやりながら俺をつけていたのか? もう少し真面目にやれよ」
「ま、まぁそのときは透さんとは離れていましたから」
「そんなことよりも、相手がどんな人なのか話し合おうよ!」

 私がそう言うとそれぞれ考え出す。そうして、最初に口を開いたのは完熟だった。

「つーか、結局名前はなんつーんだ? 俺は字も知らねーんだけど」
「そういえば、見せてなかったもんね。えっと……こうだよ!」

 私はそうしてケータイに打ち込んだその名前を見せる。それを覗き込んで、リリーが答えた。

「う~ん。たぶん蔵良(くらら)望(のぞみ)という人だと思います」
「可愛らしい名前だね~」
「それで? その蔵良という女がどういうやつなのかは佐土原も何も知らないのだろう?」
「うん、私はその名前とヌッキーからはいつかあわせるってことしか言われてないよ」

 とおるんの質問にそう返すと、またとおるんは考え込む。
 う~ん、そんなに悩むことじゃないと思うんだけどな~。私はただ暇つぶしになるだろうと思って言っただけだし。予想なんだから適当でいいのに。
 そんなことを思いながら待っていると、完熟はそれこそ適当な感じで答えた。

「どうせあれだって。金髪で頭に水色のでかいリボン付けてよ。服も青で。車いすに乗ってんだよ」
「うんうん。それであとはハイジって名前の友達でもいれば完璧だよね~……って違うでしょ!」

 まぁ私も蔵良って聞いて一度は思ったけど! あのアルプスの少女の物語を連想したけど!

「んだよ~折角答えてやったのによ~」

 完熟は口をとがらせて文句を言う。
 でも、確かに答えてくれただけマシなのかもしれない。とおるんもリリーも考えてはいるようだけど、二人とも答えてくれないし。部長なんて興味なさそうに待ち合わせ場所を見つめている。
 私はそれに少し苛立って声を上げた。

「もう拉致が明かないから、予想その一! 身長はどれくらいか! はい! リリー、とおるん、完熟、部長の順! ちなみに私は150後半と予想!」

 私がそう強引に始めると、みんな戸惑いつつも答え始めた。

「私は……伊久留ちゃんくらいがいいです」
「俺も佐土原と同じくらいだな」
「俺はあえて170くらい行くんじゃねーかって予想するぜ!」
「……160前半」

 ぼそりとだがちゃんと部長も答えてくれた。私はそれに気を良くしつつ次に進む。

「はい、じゃあその二! 髪の色! 私は緑系!」
「う~ん紫で」
「茶髪で」
「ここはあえて二色だな! 黄色と白だ!」
「……水色」
「その三! 髪の長さとか髪型! セミロング」
「ショートで」
「ロング」
「あれだよ遊○王の主人公みたいな言葉じゃ説明しきれない奇抜な髪型だって!」
「……ショート」
「最後その四! どんな服装で来るか! ワンピース!」
「普通にTシャツじゃないですか? 後はスカートですかね」
「俺はTシャツに半ズボンだな」
「いいや、ここは学生服だな! もしくはジャージとか」
「……ワンピース」

 これで全員の予想イメージがそろった。……ていうか――

「完熟、もう少し真面目にやってよね!」

 なにあれ? 明らかにおかしいよ。特に遊○王の主人公みたいなって……ありえないでしょ!
 けれど、私の突っ込みに完熟は不満を漏らす。

「んだよ、否定すんなよ。もしかしたら当たる可能性だってあんだろ?」
「ないよ。あるわけないでしょ!」
「ま、まぁまぁ関羽さんのだって部分的に当たるものだってありますし……身長とか」
「そうそう。リリーの言うとおりだぜ? こういうのは適当にやって楽しんでりゃ、それでいいんだよ」

 う……リリーの後ろ盾を手に入れて調子に乗ってる。
 まぁ、完熟のこういうところは今に始まったことじゃないし、そんなことを構っている必要はないんだけど。せめてもう少し真面目に考えてほしかったよね。

「ところで……蔵良さんは私たちと同じ学校の生徒ということででいいんでしょうか?」

 リリーがそんな疑問を聞いてくる。私はそれ聞いてやっと気づいた。

「え? ああ、そう言えばどうなんだろうね? あんまり気にしてなかったよ。というか、ヌッキーがそれを学校で見ていたから、学校の生徒だって思ってた」

 別にヌッキーの家のポストに入っていたとかも考えられたんだよね。……どうなんだろう?
 と考えていたところ、とおるんがきっぱりと告げた。

「それはないだろうな。その手紙には校庭の大きな木の下とあったのだろう? だとすれば、会ったのは学校。やはりその手紙の主である蔵良は、俺たちの学校の生徒と考えたほうが自然だ」
「あ~なるほど。その通りだね~とおるん、やるねぇ~」
「これくらいは、少し考えればわかることだがな。それに巧人のことが関係しているんだ。真面目にもなるさ」

 とかなんとか、言い合っているうちに約束の時間が近づいてきていた。
 私たちは押し黙って、そのヌッキーたちがやってくるであろう場所を今か今かと見つめていた。

『! これは巧人の匂い……!』

 何かに気付いたように体をぴくっと震わせると、部長ととおるんが声をハモらせてそう言った。その後、しばらくするとヌッキーは現れた。……こわいよ!

(ヌッキー……本当に大変なんだね……)

 私はつい今しがた起こった超常的な現象を目の当たりにして、心の中でそう念を送った。

「でも、まだ巧しかきてねーな」
「うん。そうだね」

 完熟の呟きに返事をして、ヌッキーを見守る。私の予想通り10分前にヌッキーはきたから、まだ約束の時間に自体には余裕があるけど。

 そうして待つこと5分ほど。
 一人、少し不審な動きをしている人を見つけた。辺りをきょろきょろとして、誰かを探しているようだった。
 そんな動きをしつつ、ヌッキーのいるほうへと近づいていく。そしてその子は目当ての人物を見つけたのか、ぱっと笑顔になって、小走りでその人の元に駆け寄っていった。

「せんぱ~い!」

 そしてその相手こそが……ヌッキーだった。ということは――

「あの子が蔵良望ちゃん……!」

 あれはすごく小動物みたいに可愛い……! いや、それよりも――

「後輩だったよ!」

 興奮したように声が跳ねる。それは私にとってはすごく重要なことだった。
 なぜなら、私には後輩に知り合いなんていないからだ。
 完熟もそれは同じなのか私に同調するように答えた。

「そういや、俺らってほとんど後輩と関係ってなかったもんな」

 そう、私たちは部活の性質上、そこから仲良くなることはそうそうない。つまり出会いがないのだ。
 だから、私の中で後輩のキャラと言うのはずっと欲していた存在なのだ!

 おっと、ついつい興奮して話がそれてしまったけど……さっきの見た目の予想がまだあったよ。

「え~っと……やった! 服装ワンピースだ! 当たった!」
「私も、髪型はショートみたいですし、当たりました」
「髪の色は水色か……ちぇ! んだよ。俺は全部はずれかよ!」
「身長は遠目からだからよくはわからないが……巧人と比べるとすると、162くらいはあるな。俺も全部はずれだ」

 あ~あ。だとすると、私は他のは全部ダメだったね。
 ……って、それ以前にどうしてとおるんはヌッキーの身長を知っているんだろう……。いや、今は考えなくていいや。

 ともかくまとめると、身長160前半。髪は水色のショート。服はワンピースか~。身長は思いのほかにあるけど、それでも雰囲気とかいい感じだよね~。やっぱり可愛いなぁ~……ってあれ?

「やばいよ! 部長の言った予想全部合ってるよ!」
「え? マジ? えっと……うおぉ!? 本当だぜ!」
「うわぁ……さすがですね伊久留ちゃん! 私がご褒美を上げます!」
「白瀬やめろ。今の承全寺の邪魔はするな。第一、それはお前にとってのご褒美にしかならないだろ」

 こんなにも騒いでいたのに部長は動じる様子もなく、ヌッキーたちのほうを食い入るように見ていた。そんな部長をみて改めて思う。すごすぎ……。

「って思わず盛り上がり過ぎちゃって見るの忘れていたけど……今どんな様子なの?」

 私たちは再びヌッキーたちに視線を送る。

「それで先輩! まずはどこに行きましょうか?」
「俺は面倒だからお前が決めてくれ」
「っもう! 冷たいですね。折角のデートなのに……。一緒に決めてくれてもいいじゃないですか。これじゃいい思い出になりませんよ~」
「……はぁ、わかったよ」

 膨れっ面をして拗ねたようにそう言うと、ヌッキーはあきらめたようにため息をついてそう答えた。それに気を良くしたのか、笑顔になると胸に抱き付く。

「やった! 先輩大好き!」
「おい引っ付くな、蔵良」
「ぶぅ……いいじゃないですか。これくらい。恋人のスキンシップですよ?」
「だとしても、初日からそんなに飛ばすやつがあるかよ」

 ヌッキーは今度は、望ちゃんに呆れたようにため息をつく。

「言っとくけど、俺だってあんまり慣れてはないからな。やっぱり、俺は蔵良のやりたいようにやってほしい。お前だって何か考えては来ているんだろ?」
「ふふっ! 流石先輩! ちゃんとわかってますね! よ~し、じゃあ今日は思いっきり楽しみましょう!」
「ちょ……引っ張るなよ蔵良! おい!」

 そうして望ちゃんはヌッキーの腕を引っ張ってどこかに向かっていった。
 遠くなっていく二人を、私はその場に立ち尽くし見送って――

「……っは! 追いかけないと!」

 と、そこで放心状態から戻ってくる。私の声に反応して、リリーと完熟もはっとする。

「なんだが、見入っちゃったというか……見てはいけないものの気がしてきたんですが……」
「だな。すっげーいい雰囲気っての? 邪魔しちゃわりーぜ」

 まぁ、それは私も思ったけど……。
 今頃になって良心が痛んできたよ。もうどんな人なのかは分かったし……やめるべきなのかな?

「ってあれ? 部長ととおるんは?」

 私は二人にも意見を聞こうと辺りを見回して、いないことに気付く。
 どこに行ったんだろうとさらに前方のほうを見てみると、すでに二人はヌッキーたちを追いかけるために動いていた。

「あ、ちょっと待ってよ~!」

 私はそれを慌てて追いかけた。リリーたちもそんな私たちにため息をしつつ、後を追ってきた。
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