皇帝の継承。

key

文字の大きさ
上 下
1 / 4
episode.1

シエル・アレクサンドロス

しおりを挟む
 「運命とは伝説でもたらされるものではなく、
 自らの剣で切り開くものである。」

過去王となり東方遠征に出向いた
アレクサンドロス三世。
彼の残した伝説の数は多く、
カエサルやナポレオンといった
他の英雄の憧れともされた。
そんな遺伝子を持つ人間が日本にいた。
だが、その遺伝子を持った人間が全員、
優れているというわけではなかった。

「おい。どけ。劣等生が。」
「おっとっと。いってぇな。」 
俺は階段の前で後ろから押された。
「危うくコケるとこだったじゃねぇか。」
「お前なんかが口答えするんじゃねぇ。」
頬を1発殴られる。
俺はその場でその拳を耐えることが出来ず、
少し吹き飛ばされその拍子に階段から転げ落ちた。
打ちどころが悪く、俺は意識を失った。

「…エル。シエル。シエル!!」
バチンっと鳴り響く。
「いってぇ。もっと優しくしてくれねぇか?
 アナスタシア。」
「シエルが階段で寝てるのが悪いんです。」
「どうして俺がこんなとこで寝てると思ったんだよ。」
「シエルは目を離したら直ぐに寝ますからね。」
「まぁそれはそうだな。」
俺の目の前にいる少女。
アナスタシア・ロクサネ。
俺のお世話役的ポジションであり、
アレクサンドロス大王の妻にあたる
ロクサネ一族の末裔である。
彼女のクラスはデュエルブレイダーに属し、
戦っている姿は獅子をも連想する超攻撃型。
その実力もあって学年順位では1位を獲得し、
学校内でも1年生ながら4位に位置づけている。
容姿もよく、オマケに特大メロンを2つ所有している。
数多くの男子生徒がめろんを手に挑むも
誰にも振り向くことは無かった。
そんな美少女に絶賛手を貸してもらってる俺は
シエル・アレクサンドロス。
アレクサンドロス大王の末裔だ。
クラスはソードマンであり、
アレクサンドロスの遺伝子を引き継いでいるのだから
俺もクラスではナンバーワン。
というわけもなく、ワーストナンバーワン。
身体能力は普通以下。魔力もなく、
成功条件の厳しい詠唱を知ってるだけ。
おかげで俺は学校内最弱として有名である。

「はぁ。それでアナスタシアはなんでここに?」
「下の階に用があったので向かってたら
 シエルが寝てるものだから。
 おまけにでかいたんこぶまで作って。」
やれやれと言った感じだ。
「あれはあいつが悪い。俺は悪くない。」
「まぁそれはわかってるよ。
 シエルはあほで馬鹿で間抜けでも
 人に迷惑をかけることはあまりないからね。」
「言い過ぎじゃないか?」
「事実だもん。仕方ないわ。」
「あっそうかよ。」
「ほらほら拗ねないよ。
 今日のご飯はオムライスらしいから。」
「今更俺がそんなことで喜ぶとでも。」
「そう言いながら目を輝かせてるのはなんでだい。」
「楽しみだからに決まってるだろ。」
「やっぱり喜んでるじゃないか。」
「早く戦闘訓練終わらせないとな。」
そうして、オレらは戦闘訓練に向かった。

 ソードマンとデュエルブレイダーのクラスは
合同で戦闘訓練が行われる。
俺はいつも通りアナスタシアとペアを組み、
2人でテキトーに訓練をする。
「はぁ。なんでワーストワンが。」
「あいつ一回締めるか。」「賛成。」
そんな小言が耳に入る。
「気にしないでね。シエル。」
「あぁ。もう言われ慣れたさ。」
そりゃそうだ。
ワーストワンとナンバーワンが
ペアを組んで訓練してるのだから。
「はぁ~。やっとおわった。」
俺は訓練を終え、着替えて
アナスタシアを待っている。
アナスタシアの戦闘服はピチピチでエロい。
普段は眼鏡をかけ大人しそうに見える姿のせいで
戦闘服に着替えたアナスタシアはエロく見える。

「おい。少しつら貸せよ。」
目の前のTheヤンキーみたいなやつに声をかけられる。
いつの間に俺は4人に囲まれていた。
「なんだよ。俺は今アナスタシアを待ってんだ。
 お前なんかに構ってる時間はねぇんだよ。」
「舐めた口聞いてんじゃねぇぞ。」
俺はもちろんかわすこともできずに
腹に重い一撃をくらった。
「くっそ。いってぇな。」
俺が地面に突っ伏してる間に横腹を蹴られる。
そのまま4人にリンチされると思っていたが、
「シエル。大丈夫ですか?」
いつも聞いてる声が聞こえた。
「ちっ。とっとと帰るぞ。」
その声と同時に4人は俺から離れていった。

「シエルもいい加減反撃したらどう?」
「めんどくさい事になるのが目に見えている。
 だから俺は反撃をしないんだよ。
 後こういうのは電脳世界戦での
 決闘で決めるものだしな。」
電脳世界戦。
俺らの学校にあるとある電脳空間。
なにか争い事がある時はそこで死なないデスマッチを
するのが俺らの学校のルールである。
「まぁそうだけど。シエルは1人じゃ
 弱いんだからちゃんと私もその時は
 誘ってよね。」
「まぁそれが俺の戦い方だしな。」
そうして、俺らは帰路に着いた。

 俺は数年前に親父を亡くした。
だが、アナスタシアも母を亡くした。
その時から俺と俺の母は
いつもアナスタシアの家におじゃましていた。
「やっぱいつ見ても広いな。」
「シエルの家もこれくらいでしょうが。」
「そっか。ただいまぁー。」
「ただいま帰りました。」
「あら。おかえりなさい。」
出迎えてくれたのは俺の母。
 ペトラ・アレクサンドロス。
おっとり系である。
「おかえり。シエル。アナスタシア。」
後ろから出てきたのはアナスタシアの父。
ゼノン・ロクサネ。
すごい筋肉質である。
この人との腕相撲は一生勝てない気がする。
「オムライスって聞いたんだけど?」
「えぇ。そうよ。今日のご飯はオムライスよ。」
「そうこなくっちゃ。
 早く飯食いに行くぞ。アナスタシア。」
「まず手洗いうがいが先ですよ。」
そうして、ご飯を食べに俺はリビングへと向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今回はなろう系にしようかなと思ったのですが、
あまり思いつかなかったので、
自分の作品である「堕天の皇帝」の
裏ストーリー的なのを作ろうと思いました。
ですが、堕天の皇帝を見ていなくても
十分に楽しめる作品かなと思っています。
いずれ堕天の皇帝にも繋がりますので、
出来れば見ていただければ幸いです。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

屋上でポテチ

ノコギリマン
ライト文芸
中学校の屋上で、カップル下校をカウントしている帰宅部の三人、誕生日に次々に告白されて疲れて果てたままバス停で雨宿りする野球部員、失恋するたびに家に帰るとトイレから出て来る父親にウンザリしている女子―― ――中学生の何気ない日常を切り取った連作短編。 ひとつひとつは独立していて短いので読みやすいと思います。 順番に読むと、より面白いと思います。 よろしくお願いします。

復讐の告白

御船ノア
恋愛
1000年に一度の美少女と称される『桜坂栞』。彼女は中学2年生のときに当時恋をしていた『九条征士郎』に告白し、見事恋人関係になる。 しかし、中学の卒業式間際になぜか別れを告げられてしまう。 そんなふたりは高校でクラスメイトとなり、再び運命の出会いを果たす。 プライドを傷つけられた桜坂栞は、仕返しを果たすために九条から告白をさせ、フリ返してやろうと企む。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

ベスティエンⅢ【改訂版】

花閂
ライト文芸
美少女と強面との美女と野獣っぽい青春恋愛物語。 恋するオトメと武人のプライドの狭間で葛藤するちょっと天然の少女と、モンスターと恐れられるほどの力を持つ強面との、たまにシリアスたまにコメディな学園生活。 名門お嬢様学校に通う少女が、彼氏を追いかけて地元で恐れられる最悪の不良校に入学。 女子生徒数はわずか1%という環境でかなり注目を集めるなか、入学早々に不良をのしてしまったり暴走族にさらわれてしまったり、彼氏の心配をよそに前途多難な学園生活。 不良たちに暴君と恐れられる彼氏に溺愛されながらも、さらに事件に巻き込まれていく。 人間の女に恋をしたモンスターのお話がハッピーエンドだったことはない。 鐵のような両腕を持ち、鋼のような無慈悲さで、鬼と怖れられ獣と罵られ、己のサガを自覚しながらも 恋して焦がれて、愛さずにはいられない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

オーバードライブ・ユア・ソング

津田ぴぴ子
ライト文芸
<一部>ホラー要素あり 春先のある夜、二年前の冬に失踪した兄が首を吊っている夢を見た。 御子柴陽とその幼馴染である香西初は、この春に私立菖蒲ヶ崎高等学校に入学したばかりだ。 陽の四歳年上の兄、晴もかつてはこの学校に通っていたが、二年前の冬に突然行方不明になって以降、未だにその消息は掴めていない。 それからというもの、陽の目には幽霊と呼ばれるものが映るようになった。駅のホーム、近所の公園、通学路。あらゆる場所に当然のようにいる「それ」に、陽は好奇心に近いような感情を抱きつつも、自分から関わっていくことは無かった。 高校に入学したからには青春を謳歌しようと息巻く陽は、部活の一覧の中に軽音部を見つける。 放課後、入部届を片手に意気揚々と軽音部の部室である第二視聴覚室に向かった陽と初は、三年生の方保田織、そして和泉惺の二人と出会う。陽は彼らと話す中で、晴も軽音部に所属していたらしいことを知った。 陽と初、織、惺の四人でバンドを組むことになり、大喜びする陽。 そんな陽に、惺は怖い話は好き?と問い掛けた。 この学校の七不思議が本当にあるのかどうか調べたいと言う惺の話に、陽は好奇心に負けて乗ることにする。 バンドは極めて好調な滑り出しを見せたが、一方で織と惺は、陽と初には言えない何かを抱えているようだった。 晴の失踪、菖蒲ヶ崎高校に伝わる七不思議を始めとする数多の怪談話、校内で立て続けに起こる怪異。 それらは全て、この土地が持つ陰惨な記憶に収束していた。 <二部>ホラー要素なし 夏休みを終えて、文化祭に向けて動き出す軽音部の穏やかな日々の話 ※ひとつまみくらいのBL要素、またはBLの匂わせがあります。苦手な方はご注意ください。

ChatGPTに陰謀論を作ってもらうことにしました

月歌(ツキウタ)
ライト文芸
ChatGPTとコミュニケーションを取りながら、陰謀論を作ってもらいます。倫理観の高いChatGPTに陰謀論を語らせましょう。

【完結】匿名希望

NANA
ライト文芸
文通相手は誰でしょう? あなたに届く手紙は温かいものですか?

処理中です...