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最終決戦編
決着
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俺たちは引き金を絞った。
パンっと音が反響すると同時に
放たれたひとつの銃弾。
ゆめはそれをかわすことはなかった。
最大の一撃で手一杯だったのか。
はたまたわざと食らったのか。
それは俺には分からない。
だが、銃弾がゆめの胸に着弾する時。
ゆめがこちらを見て少し微笑んだような気がした。
そして、最大の一撃と最大の一撃のぶつかり合い。
それの威力は互角で相殺した。
だが、大きな爆発は起きることはなく、
4本の魔術の塊は全て虚空へと消え去った。
その空間は邪念のない、落ち着いた環境とかした。
いつの間にかアーサーは姿を消し、
ルシファーも俺に一礼をすると姿を消した。
和樹はその場で倒れる。
俺はゆめに千鳥足で近づいた。
「しょ、うた。」
「姉さん。」
「ほんと。おおきく、なっ、たわね。
おねえ、ちゃん。びっ、くりしちゃ、た。
ごめ、ん、ね。つら、いおもい、させた、ね。」
「な、なんで謝るんだよ。
お前は俺を殺して家族と共に
過ごしたかったんじゃねぇのか?」
「な、んで。わた、しが、あいし、てる
あなたを、ころさ、なくちゃ、いけ、ないの。
しょう、た。おね、えちゃ、んからの。
ちゅ、うこくだ、よ。」
「な、なんだ?」
「シュヴァ、ル、ツ、に、はきを、つけ、て。
あい、し、てるわ。しょう、た。」
「おい。なんなんだよ。その集団。」
「…。」
「なぁ。答えてくれよ。」
「…。」
「お、い。ゆ、ゆめ?」
「…。」
俺はそこでゆめが息をしていないことに気がついた。
その時には俺の意識もプツリと消えてしまった。
「翔太。生きているようだな。
今まですまなかったな。翔太。ゆめ。」
「すみません。司令官を助けてくれませんか。」
「あぁ。わかってるさ。もちろん全員一緒に帰る。
もうここも崩壊し始めてるからね。早く出るよ。」
ゆめ。俺はお前を救えなかった。
公安の人間としても父親としても俺は失格だ。
俺は病棟で目を覚ます。
一応手術のようなものをしたのだが、
俺の脳には何も異常はなかった。
そして、時は瞬くもなく過ぎていく。
俺の中にいる母さんとも話せない。
やはり俺の意識の奥深くにいるからなのか。
昔の愛美と同じようにはいかないようだった。
バベルの塔は崩壊をした。
それは海の藻屑となり砕け散る。
一般人はバベルの塔があったことを何も知らない。
ミュラーの話によると。
ミュラーは俺を担ぎ、もう1人知らない男が
和樹を担いでバベルの塔を抜けたらしい。
そのおかげで俺たちは下敷きにならなくてすんだ。
「翔太。君はほんとに悪運が強いね。
まさか生き残るなんてね。」
「あぁ。そうだな。俺も実際死ぬと思ってた。
いや。死のうと思ってたさ。」
「この能力。君に返したいんだけどな。
3日おきに薬を飲むのが面倒だ。」
「でも飲まないとお前は確実に寿命を減らすからな。
我慢して飲み続けるといい。」
「はぁ。まぁいいよ。それで翔太。話がある。」
「ついに俺の死刑日が決まったのか?
元々俺は長く生きようなんて思ってないぞ。」
「ははっ。君に死刑の日は来ないよ。
君はこの日本。いや。世界を救ったんだからね。
もっと罪は軽くなったよ。」
「なら無期懲役か?それとも島流しか?」
「さすがの勘の鋭さだね。正解だよ。」
「どっちがだよ。」
「翔太。悪いが。日本を出ていって
もらえないかな?
僕らができる最大の敬意として。
君の知っている人がいるロシアへと。」
「ホントに行ってしまったわね。」
「あぁ。そうだね。
翔太なりのケジメの付け方なのだろうね。」
「ほんとあのバカらしいわ。
でも、あいつはあいつで頑張った。
私と一緒に何も無い無人島から始まり、
生き延び続けた。
私が翔太の立場なら心は折れてるわ。
そこだけは尊敬できるわね。」
「そうだね。」
僕らは空を飛ぶ飛行機へと視線を向けた。
「そうして。世界を救った英雄は、
今もどこかで生きているのでした。」
「ねぇ。お父さん。その人は
今どこにいるのかな。」
「これはお父さんの作り話だからな。
本当に存在しているのかもわからない。」
「しれいか。しょう、う、。
ご飯が出来ましたよ。」
「わーい。ご飯だー!!」
「まだその癖は治ってないんだな。」
「はい。すみません。」
「ははっ。気にする事はないさ。何せ。
時間は残っているんだからな。」
To Be Continued…
パンっと音が反響すると同時に
放たれたひとつの銃弾。
ゆめはそれをかわすことはなかった。
最大の一撃で手一杯だったのか。
はたまたわざと食らったのか。
それは俺には分からない。
だが、銃弾がゆめの胸に着弾する時。
ゆめがこちらを見て少し微笑んだような気がした。
そして、最大の一撃と最大の一撃のぶつかり合い。
それの威力は互角で相殺した。
だが、大きな爆発は起きることはなく、
4本の魔術の塊は全て虚空へと消え去った。
その空間は邪念のない、落ち着いた環境とかした。
いつの間にかアーサーは姿を消し、
ルシファーも俺に一礼をすると姿を消した。
和樹はその場で倒れる。
俺はゆめに千鳥足で近づいた。
「しょ、うた。」
「姉さん。」
「ほんと。おおきく、なっ、たわね。
おねえ、ちゃん。びっ、くりしちゃ、た。
ごめ、ん、ね。つら、いおもい、させた、ね。」
「な、なんで謝るんだよ。
お前は俺を殺して家族と共に
過ごしたかったんじゃねぇのか?」
「な、んで。わた、しが、あいし、てる
あなたを、ころさ、なくちゃ、いけ、ないの。
しょう、た。おね、えちゃ、んからの。
ちゅ、うこくだ、よ。」
「な、なんだ?」
「シュヴァ、ル、ツ、に、はきを、つけ、て。
あい、し、てるわ。しょう、た。」
「おい。なんなんだよ。その集団。」
「…。」
「なぁ。答えてくれよ。」
「…。」
「お、い。ゆ、ゆめ?」
「…。」
俺はそこでゆめが息をしていないことに気がついた。
その時には俺の意識もプツリと消えてしまった。
「翔太。生きているようだな。
今まですまなかったな。翔太。ゆめ。」
「すみません。司令官を助けてくれませんか。」
「あぁ。わかってるさ。もちろん全員一緒に帰る。
もうここも崩壊し始めてるからね。早く出るよ。」
ゆめ。俺はお前を救えなかった。
公安の人間としても父親としても俺は失格だ。
俺は病棟で目を覚ます。
一応手術のようなものをしたのだが、
俺の脳には何も異常はなかった。
そして、時は瞬くもなく過ぎていく。
俺の中にいる母さんとも話せない。
やはり俺の意識の奥深くにいるからなのか。
昔の愛美と同じようにはいかないようだった。
バベルの塔は崩壊をした。
それは海の藻屑となり砕け散る。
一般人はバベルの塔があったことを何も知らない。
ミュラーの話によると。
ミュラーは俺を担ぎ、もう1人知らない男が
和樹を担いでバベルの塔を抜けたらしい。
そのおかげで俺たちは下敷きにならなくてすんだ。
「翔太。君はほんとに悪運が強いね。
まさか生き残るなんてね。」
「あぁ。そうだな。俺も実際死ぬと思ってた。
いや。死のうと思ってたさ。」
「この能力。君に返したいんだけどな。
3日おきに薬を飲むのが面倒だ。」
「でも飲まないとお前は確実に寿命を減らすからな。
我慢して飲み続けるといい。」
「はぁ。まぁいいよ。それで翔太。話がある。」
「ついに俺の死刑日が決まったのか?
元々俺は長く生きようなんて思ってないぞ。」
「ははっ。君に死刑の日は来ないよ。
君はこの日本。いや。世界を救ったんだからね。
もっと罪は軽くなったよ。」
「なら無期懲役か?それとも島流しか?」
「さすがの勘の鋭さだね。正解だよ。」
「どっちがだよ。」
「翔太。悪いが。日本を出ていって
もらえないかな?
僕らができる最大の敬意として。
君の知っている人がいるロシアへと。」
「ホントに行ってしまったわね。」
「あぁ。そうだね。
翔太なりのケジメの付け方なのだろうね。」
「ほんとあのバカらしいわ。
でも、あいつはあいつで頑張った。
私と一緒に何も無い無人島から始まり、
生き延び続けた。
私が翔太の立場なら心は折れてるわ。
そこだけは尊敬できるわね。」
「そうだね。」
僕らは空を飛ぶ飛行機へと視線を向けた。
「そうして。世界を救った英雄は、
今もどこかで生きているのでした。」
「ねぇ。お父さん。その人は
今どこにいるのかな。」
「これはお父さんの作り話だからな。
本当に存在しているのかもわからない。」
「しれいか。しょう、う、。
ご飯が出来ましたよ。」
「わーい。ご飯だー!!」
「まだその癖は治ってないんだな。」
「はい。すみません。」
「ははっ。気にする事はないさ。何せ。
時間は残っているんだからな。」
To Be Continued…
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