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最終決戦編
深い闇の中
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俺はインハータンスを使ったあと、
深い深い闇の中に落ちていった。
ちっ。このままでは死ぬ。いや。まぁいい。
俺は元から死ぬ気でいたからな。
俺の中からカイザーアイが抜け、力を失ってしまった。
動けていたにせよ単なる足でまといになる。
今は俺がどこにいるのかなんてわからない。
俺がまだ生きているのか。死んでいるのか。
ここは天国なのか。俺の意識の奥深くなのか。
これで俺の物語は終わりを告げる。
これでよかったのだ。
「本当にいいのかい?」
俺は前に聞いた声が聞こえた。
その暖かい声が聞こえた。
安心する声が聞こえた。
「本当にいいのかいってのはどういう事だ?」
「翔太は本当に未練がないのかい?」
「未練なんてねぇよ。
俺はここで死ぬ。それを覚悟していた。」
「君は死にたくないんじゃないのかい?」
「…あぁ。そうだよ。死にたくなんてねぇよ。」
「それならなんで覚悟を決めたんだい?」
「覚悟を決めるしか無かったからだ。」
「死にたくないのに?」
「あぁ。死にたくないのにだ。」
「ふふっ。強い子にはなったのね。翔太。
けどね。私は翔太に死んでほしくないな。
私の愛した子達はみんな死んじゃったからね。
翔太だけは生きてほしいな。」
「なぁ。セクレートと言ったか?
お前は一体何者なんだよ。」
「前に言わなかったかい?
正体は明かさないって。」
「あぁ。言ってたな。だが、冥土の土産に
教えてくれたっていいんじゃないのか?」
「うーん。そうだね~。でもね~。」
「教えてくれてもいいだろ。セクレート。」
「はぁ。1度気になったことは、
全部気になるのが翔太だよね。」
「あぁ。そうだな。」
「でもね。私は死んでいる存在なんだよ。
そんな存在が翔太の中では生きている。
そして、私の正体は確実に翔太を混乱させる。」
「あぁ。それでもいい。教えてくれ。」
「はぁ。わかったよ。翔太。
私は翔太、愛美、裕太、ゆめを産んだお母さんよ。」
「ど、どういうことだ?」
俺の母は俺を産んで直ぐに死んだ。
それなのに俺の中で生きているのは
やはり意味がわからない。
「そうね。私は翔太を産んで直ぐに死んだわ。
まぁゆめを産んで7年くらいしか
一緒にいれなかったんだけどね。」
「それで。なんで俺の中にいるんだよ。」
「長くなるけどいいかしら?」
「あぁ。頼む。」
「私は昔から体が弱かったの。
私が生まれた時に私の寿命は持って20年だったわ。
それでも私は30年近く生きたの。
それはなんでかわかるかしら?」
「全くわかんねぇよ。」
「カイザーアイの力よ。」
「カイザーアイの力?」
「えぇ。カイザーアイはその能力を持った人に
適した身体になるのは知ってるわよね?」
「あぁ。そういやそうだったな。」
カイザーアイの所有者はカイザーアイの
デメリットを打ち消す身体になる。
これは裕太と愛美が教えてくれたことだった。
「打ち消す身体ってのは少し違うくてね。
身体が頑丈になるってことなのよ。
それのおかげでね。私は20年ではなく、
30年以上生きることが出来たの。」
「それはわかった。ならなぜ俺の中で生きてるんだ?」
「私のカイザーアイの能力よ。」
「なるほど。」
「私のカイザーアイの能力はトランス。
誰か特定の1人意識の奥深くで
生きることが出来るのよ。
だから、愛情を注げていない翔太の中で
私は貴方の生きてる姿を見ていたのよ。」
俺は全てを理解した。
母さんが死ぬまでにカイザーアイの能力を
使ったってだけだった。
「ごめんなさい。翔太。」
「なにがだよ。」
「貴方にはとてもしんどい人生を
送らせちゃったわね。」
「いや。母さん。ほんとにありがとう。
俺を産んでくれて。
確かに俺はかなりしんどい人生だった。
だけど、俺には大切な仲間ができた。
最高に楽しかったよ。」
「何もう死のうとしてるのよ。あれを見なさい。」
俺は母さんが指さす方向に視線を預ける。
そこには巨大なエネルギーの塊が放出され、
そして、それから守るようにミュラーが
両手を広げて俺を守ろうとしていた。
「貴方が守らないと誰があの子を助けるのよ。
早く立ち上がりなさい。
翔太が力をつけた理由はなんなの?」
「はぁ。鬼畜な母さんだな。」
そうだ。俺が力をつけてきた理由は。
今も昔も何も変わらない。
目の前にいるたった1人を助けるためだ。
「行ってくるよ。母さん。」
「えぇ。行ってらっしゃい。
そして、貴方がゆめを助けてあげてね。」
俺はその言葉を背に意識を覚ました。
それと同時に俺の中で何かが目を覚ました。
深い深い闇の中に落ちていった。
ちっ。このままでは死ぬ。いや。まぁいい。
俺は元から死ぬ気でいたからな。
俺の中からカイザーアイが抜け、力を失ってしまった。
動けていたにせよ単なる足でまといになる。
今は俺がどこにいるのかなんてわからない。
俺がまだ生きているのか。死んでいるのか。
ここは天国なのか。俺の意識の奥深くなのか。
これで俺の物語は終わりを告げる。
これでよかったのだ。
「本当にいいのかい?」
俺は前に聞いた声が聞こえた。
その暖かい声が聞こえた。
安心する声が聞こえた。
「本当にいいのかいってのはどういう事だ?」
「翔太は本当に未練がないのかい?」
「未練なんてねぇよ。
俺はここで死ぬ。それを覚悟していた。」
「君は死にたくないんじゃないのかい?」
「…あぁ。そうだよ。死にたくなんてねぇよ。」
「それならなんで覚悟を決めたんだい?」
「覚悟を決めるしか無かったからだ。」
「死にたくないのに?」
「あぁ。死にたくないのにだ。」
「ふふっ。強い子にはなったのね。翔太。
けどね。私は翔太に死んでほしくないな。
私の愛した子達はみんな死んじゃったからね。
翔太だけは生きてほしいな。」
「なぁ。セクレートと言ったか?
お前は一体何者なんだよ。」
「前に言わなかったかい?
正体は明かさないって。」
「あぁ。言ってたな。だが、冥土の土産に
教えてくれたっていいんじゃないのか?」
「うーん。そうだね~。でもね~。」
「教えてくれてもいいだろ。セクレート。」
「はぁ。1度気になったことは、
全部気になるのが翔太だよね。」
「あぁ。そうだな。」
「でもね。私は死んでいる存在なんだよ。
そんな存在が翔太の中では生きている。
そして、私の正体は確実に翔太を混乱させる。」
「あぁ。それでもいい。教えてくれ。」
「はぁ。わかったよ。翔太。
私は翔太、愛美、裕太、ゆめを産んだお母さんよ。」
「ど、どういうことだ?」
俺の母は俺を産んで直ぐに死んだ。
それなのに俺の中で生きているのは
やはり意味がわからない。
「そうね。私は翔太を産んで直ぐに死んだわ。
まぁゆめを産んで7年くらいしか
一緒にいれなかったんだけどね。」
「それで。なんで俺の中にいるんだよ。」
「長くなるけどいいかしら?」
「あぁ。頼む。」
「私は昔から体が弱かったの。
私が生まれた時に私の寿命は持って20年だったわ。
それでも私は30年近く生きたの。
それはなんでかわかるかしら?」
「全くわかんねぇよ。」
「カイザーアイの力よ。」
「カイザーアイの力?」
「えぇ。カイザーアイはその能力を持った人に
適した身体になるのは知ってるわよね?」
「あぁ。そういやそうだったな。」
カイザーアイの所有者はカイザーアイの
デメリットを打ち消す身体になる。
これは裕太と愛美が教えてくれたことだった。
「打ち消す身体ってのは少し違うくてね。
身体が頑丈になるってことなのよ。
それのおかげでね。私は20年ではなく、
30年以上生きることが出来たの。」
「それはわかった。ならなぜ俺の中で生きてるんだ?」
「私のカイザーアイの能力よ。」
「なるほど。」
「私のカイザーアイの能力はトランス。
誰か特定の1人意識の奥深くで
生きることが出来るのよ。
だから、愛情を注げていない翔太の中で
私は貴方の生きてる姿を見ていたのよ。」
俺は全てを理解した。
母さんが死ぬまでにカイザーアイの能力を
使ったってだけだった。
「ごめんなさい。翔太。」
「なにがだよ。」
「貴方にはとてもしんどい人生を
送らせちゃったわね。」
「いや。母さん。ほんとにありがとう。
俺を産んでくれて。
確かに俺はかなりしんどい人生だった。
だけど、俺には大切な仲間ができた。
最高に楽しかったよ。」
「何もう死のうとしてるのよ。あれを見なさい。」
俺は母さんが指さす方向に視線を預ける。
そこには巨大なエネルギーの塊が放出され、
そして、それから守るようにミュラーが
両手を広げて俺を守ろうとしていた。
「貴方が守らないと誰があの子を助けるのよ。
早く立ち上がりなさい。
翔太が力をつけた理由はなんなの?」
「はぁ。鬼畜な母さんだな。」
そうだ。俺が力をつけてきた理由は。
今も昔も何も変わらない。
目の前にいるたった1人を助けるためだ。
「行ってくるよ。母さん。」
「えぇ。行ってらっしゃい。
そして、貴方がゆめを助けてあげてね。」
俺はその言葉を背に意識を覚ました。
それと同時に俺の中で何かが目を覚ました。
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