堕天の皇帝

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最終決戦編

千年吹雪。雪解。

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 そんな俺たちの最大の一撃を全て防ぎきった。
砂埃から現れた愛美の足元には黒い魔法陣。
「千年吹雪。雪解。」
愛美の足元に落ちたナイフ2本はその姿を無に変えた。
あそこに入ると無に帰すということか。
「千年吹雪。頽雪。」
その言葉と同時に放たれた波のような弾幕は
俺や結衣はかわせたものの海斗に被弾してしまった。
そして、俺の足元にガンブレードが投げられる。
ちっ。はぁやるしかねぇか。
俺がそう指示したんだしな。

 俺はガンブレードを手に持つ。
初めて使うが、まぁなんとかなるだろ。
俺は1式。風爆を使い距離を詰める。
「千年吹雪。六華。」
「そんなもん誰がくらうかよ。」
俺に飛んできたレーザーを俺は風爆でかわす。
そして、最大の一撃を叩き込む。
だが、当たり前かのように障壁で防がれる。
愛美の足元の魔法陣内に入った瞬間から
体が焼けるような、毛穴の一つ一つに
針が刺されるような痛みに襲われる。
くっそ。いってぇ。だが、俺は薄ら笑いを
浮かべながら愛美に話しかける。

「おい。愛美。お前は強いよ。
 全くもって歯が立たねぇ。」
「あら。なら私たちに着いてきてくれるわよね?」
「何を言ってんだよ。
 俺一人では勝てねぇってだけだよ。」
「あなた達3人が力を合わせても
 勝てないだろうけどね。」
「ははっ。何言ってんだよ。もう勝ったさ。」
「…はっ。」
愛美が気づいた時にはもう遅かった。
そして、愛美が倒れた時には魔法陣は消えた。
俺は膝をつく。
「ははっ。よくやった。海斗。
 だが、なんで殺さなかったんだ?」
「え?だってそれは俺の役割じゃないだろ?
 少なくとも殺るなら俺じゃない。
 司令官がケリをつけるべきだ。」
「ちっ。はぁ。お前に一本取られるとはな。
 なんか死にたくなるわ。」
「そんな言う必要ないだろ?!」

「よぉ。偽愛美。」
「ねぇ。翔太君。なんで私たちと
 一緒に来てくれないの?」
「ははっ。すまねぇな。
 お前は確かに西宮愛美かもしれねぇ。
 だが、俺の知ってる西宮愛美じゃない。
 いや。もしかするとお前の中にも
 裕太みたいに本物が眠ってるのかもな。」
「何を言ってるの?翔太くん。私は愛美だよ。」
「あぁ。そうだな。多分眠ってるんだろうな。
 だって、俺を殺す気はなかったんだからな。
 裕太のやつを見て気づいた。
 西宮ゆめは死んでる人間を支配できる。
 なら、俺を殺してもなんの問題も無いはずだ。
 なのに。愛美の攻撃には殺気を感じなかった。
 つまり、中にいるんだろ?愛美。
 俺は殺したくないよ。姉さん。」
「…はぁ。はぁ。はぁ。ごめ、んね。翔太君。」
「まな、みなのか?」
「そう、だよ。翔、太君。
 翔太君の、声、は聞こえ、たよ。
 けど。ごめん、ね。
 私はも、う長く、はもた、ないみた、い。」
「どういうことだよ。おい。愛美。」
「えへ、へ。もと、より。
 わた、しは死んだ、にんげ、んだよ。
 ここに、いちゃ、いけ、ないん、だよ。
 今は、お姉ちゃ、んののうりょ、くに
 あらが、っている、けれ、ど。
 また、の、とら、れちゃ、うよ。
 だか、らね。しょ、うた君。だ、い好きだよ。
 せんね、んふ、ぶき。銀花。」
愛美の周りに突然白い花が咲き始める。
「や、やめてくれよ。」
俺は全て察してしまう。
愛美はなんとか立ち上がり、俺を押し飛ばす。
「あり、がと。しょう、たく、ん。ばい、ば、い。」
愛美はニコッと笑う。
「やめろー!!」
愛美の体をレーザーが突きぬけた。

「翔太…。」
和樹が俺に話しかけてくる。
「な、なぁ。お前なら
 助けられたんじゃなかったのか。
 神が付いてるんだろ?なぁ。和樹。
 なんか言ってくれよ。」
「ごめん。助けれなかった。
 僕が魔法陣を展開したとき、
 魔法陣が粉々に破壊されたんだ。
 彼女の魔術。銀花は他の魔術を干渉させなかった。
 それが魔力を使っていない魔法だったとしても。」
「く、そがー!!」
俺はまたあの2人に守られてしまった。
あの2人はもう死んでいるのに。俺は弱い。
なんでだ。俺があの時に死んでれば、
あの2人を助けられたのに。
くそ。くそ。くそ。ボコッ。
俺は頬をぶん殴られた。目の前のやつに。

「何すんだ。海斗。」
「司令官。情けねぇぜ?」
「あ?なんつった。」
「確かに司令官は2人に守られた。
 だが、あの2人は2度も命を賭して
 司令官を守ったんだろ?
 今、司令官何考えていた?
 俺が死ねばとか思ってたんだろ?
 そんなのあの2人かっけぇ2人への冒涜じゃねぇか?」
「うる、せぇよ。」
「こんなことにした元凶ぶっ飛ばしてこいよ。
 助けてやりてぇがさすがに無理だ。」
その瞬間。背後の扉が勢いよく開かれる。
クローンが何体かこちらへと向かっていた。
「ここは俺が何とかするよ。
 だから先に行きな。司令官。
 司令官が抗い続けたこの2年間に
 全てにケリをつけてこいよ。西宮翔太。」
「…ちっ。わかったよ。いってくる。」
「僕もここで抑えるよ。」
「ばかね。和樹。何のために体力を温存したのよ。
 あなたも行きなさい。私がいるわ。」
「結衣。」
「翔太はアホだからね。
 和樹がサポートしてあげて。」
「わかったよ。」
「行くぞ。和樹。全てを終わらすために。」
「あぁ。決着をつけよう。」

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