堕天の皇帝

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復讐編

決意

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「これでよしっと。」
「ギプスか。動きにくいな。」
俺の今の右腕はギプスでぐるぐる巻きにされた。
「3ヶ月間一切動かしたらダメだからね。司令官。」
「逆に3ヶ月動かさなかったら治んのか?」
「えぇ。治るわよ。」
「お前の医療技術バケモンだな。」
「それは司令官の方だよ。
 普通は治らないよ。
 司令官ってゴキブリとかだったりする?」
「何馬鹿なこと言ってんだよ。イア。」
「あはは。ごめんごめん。
 それで司令官。優斗くんは?」
「…。今から話す。」
「わかったよ。」

 そして、俺は俗に言う幹部クラスのヤツらを集める。
そして、そこにはもちろん海斗と友梨奈がいる。
「なぁ。司令官。」
「あぁ。そうだな。」
この部屋の空気は重い。
この場に優斗がいない時点でみんな察してるんだろう。
「ひとつ報告がある。
 優斗は死んだ。いや。俺が殺した。」
その言葉と同時にこの場がざわつく。
ミュラーは壁にもたれて目をつぶる。
久しぶりの登場のハクはぐでーんとしてたのに、
おすわりモードへと移行した。
「おい。それってどういう事だよ。司令官。
 何かの間違いだよな。何かがあったんだよな。」
海斗は何かに縋りたいような顔をしている。
友梨奈はただ静かに俯く。
「あぁ。海斗。すまないな。
 お前との約束を守ることが出来なかった。」
「なぁ。司令官。ちゃんと教えてくれよ。
 なんであいつは、優斗は死んだんだよ。」
「さっきも言った。俺が殺した。
 俺が優斗を不要だと思ったから切り捨てた。
 ただそれだけなんだよ。海斗。」
「司令官。」
「なんだ。海斗。」
「司令官は優斗をそんな簡単に切り捨てられたのか?」
「あぁ。そうだな。」
「人は道具じゃないんだぞ。
 この腐れ外道が。」
海斗はその場にあったガンブレードを
俺に振り下げてくる。
「やめなさい!!海斗!!」
そんな友梨奈の声は届かなかったのだが、
俺の眼前まで迫ってきたガンブレードは
俺にあたる前に目の前まで来た少女が止めた。

 その少女はウィンチェスターで受け止め、
海斗の腹にウィンチェスターのストックで押し飛ばす。
放物線を描いて飛んでいく海斗。
ただその少女はそれでは怒りが収まらないのだろう。
海斗の胸を踏みつけて、
ウィンチェスターの銃口を額に向ける。
「何も分からないガキがでしゃばんな!!
 司令官が!!どんな気持ちで、
 優斗に手をかけたのかを知らないお前が!!
 実力がない自分に理由をつけて、
 友人の助けにすら行けなかったお前が!!
 司令官に偉そうな口を聞くな!!」
「…。クソっ。」
「…。失礼します。」
「ちっ。余計なことを。」そう俺はつぶやく。
あのミュラーの行動のせいで、
俺が仕方なく優斗を殺したことがバレた。
これではセレナに何かされた優斗を
俺が仕方なく殺したというレッテルが貼られる。
それではまたなれ合いが増えて、
Rebellionの誰かが死ぬ度にあんな思いを
しなければならないということだ。正直に辛い。
「はぁ。もういい。各々思うことがあるだろう。
 帰っていいぞ。」
その言葉を合図に全員が離れていく。
そして、この部屋に残されたのは俺とハク。
そして、ひたすらすすり泣く海斗と友梨奈だった。

「海斗。」
「…。」
「本当にすまなかった。
 お前との約束を守れなくて。
 俺一人ではどうにもならなかった。」
俺はその言葉を言うとハクとともにその場を後にした。

「司令官。」
俺はひたすらに悔しかった。
ミュラーの言葉に反論をすることが出来なかった。
「くそが!!」
俺は床を思いっきし殴る。
「海斗。」
私は海斗にかける言葉がなかった。
そんな私もまだ気持ちの整理ができていない。
まだ心の中では願っているのだろう。
優斗はどこかで生きていると。
だけど、司令官がそんなジョークを言うはずがない。
私はただひたすらに泣くことしか出来なかった。
俺は決意した。
正直まだ優斗の死を受け入れられない。
だけど、ほんとに優斗が死んでいるなら、
俺は優斗の分まで生きる。
そして、俺は二度とこんな思いをしたくない。
だから、強くなることを決意した。



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