堕天の皇帝

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ロシア(シエスタ護衛)編

ありがとう

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 バスローブのような服装から急いで
Tシャツに着替える。
そして、俺は病室の扉を開けるが、
目の前にあった段ボールを蹴飛ばした。
そこにはベレッタとナイフ、
そして予備弾薬が散らばる。
「あ~クソが。」
俺は急いで入れるが途中でめんどくさくなり
ナイフと弾薬を無理やりポケットに入れ、走る。

 そして俺は病院を出る。
そこには前に車を乗せてくれた人がまたフードを
深く被り手を振ってくれている。
彼女は手で4という数字を俺に伝えた後、
俺を乗せ車を急発進させた。
やっぱり早すぎだろぉぉぉ。

 だが、山道ではもちろんないため風が気持ちいい。
はぁ。普通に楽しみたかったな。突然車が止まる。
「なんだ。」
目の前には大量の車が並んでいる。
「渋滞かよ。」
隣の人は俺にインカムを渡してくる。
「翔太くん?聞こえる?」
「なんですか?」
「渋滞が長すぎる。フライト時間には間に合わない。」
「せっかくここまで来たのに。」
「君だけでも走っていきなさい。
 ここから2キロ真っ直ぐよ。
 フライトまであと30分。急いで。」
「わかった。ありがとうございます。」
俺はドライバーの人に頭を下げ、インカムを返す。

 はぁはぁはぁ。くっそ。腹がいてぇ。
けど、俺は伝えなきゃいけない。
クソが。「ヴァクストゥーム。」
俺は身体強化をし、痛さに無理やり耐え、
走り続ける。
なんであいつはあんな普通の顔してんだよ。
俺に言ってくれよ。
最後までボディーガードさせろよ。
ぜってぇ説教してやる。あのクソロリに。

 何とか空港に着いたが、どこにいる。
どこだどこだどこだ。
あの蔵元かほさんが何も情報を残さないはずがない。
あの人の準備の良さは化け物だ。
なにかヒントがあるはず。
は。あの人の4の数字。
一か八か行くしかねぇ。
最悪大声で叫んでやる。
俺は4番ゲートに猛ダッシュした。
そこにはゲートをくぐるシエスタの姿があった。

「シエスター!!」
シエスタは少しびっくりし、振り返る。
ジョンも空気を読み、車椅子をこっちに向ける。
周りの人にすげぇ見られてる。
だが、構ってる暇がねぇ。
「シエスタ。その。7日間ありがとう。
 お前のおかげで楽しかった。」
「あはは。わざわざそれを言うために
 君はそんなに走ってきたのかい?」
「うるせぇよ。」
「だけど、ありがとう。
 私も君と一緒にいるのは楽しかった。」
「シエスタ。」
「まさか3回も君が襲われるとはね。
 サイコーに面白いよ。君は。」
「ここまで来ても皮肉かよ。」
「いや、君といた日々は楽しかった。
 確かに君は5日間も寝た寝坊助だ。
 だけど、君と一緒にデートへ行ったこと
 覚えてるかい?」
「5日間も寝てただけだぞ?
 昨日のように思い出せるさ。」
「あはは。そうかい。
 あの日は本当に楽しかった。
 君と一緒にいた日々はいい思い出だ。」
そんな時にシエスタの目から1粒の涙が流れる。
「おい。何泣いてんだよ。」
「いや。ごめん。
 正直に言おう。私は戻りたくない。」
「は?何言ってんだよ。」
「あっちに戻っても何も楽しいことは無い。
 君のように面白くて太ももフェチの変態は
 あっちにはいないんだよ。
 君は唯一無二の存在なんだよ。だからさ。」
一拍置いてシエスタは告げる。
「君。一緒に来ないかい。
 私が生活を保証する。
 私が何でも君にしてあげる。
 私の事だって好きにしてもらって構わない。
 だから、お願い。私と一緒に行こう。」
おいおい。ほぼ公開告白じゃねぇーか。
初めて吐いたシエスタの本音。
これだけは嘘に聞こえなかった。だけど。
「ごめんな。シエスタ。
 俺はそっちには行けない。」
俺から姉さんを奪った公安に復讐するまでは
俺はこの戦場から離れられない。
そこにシエスタを巻き込む訳にはいかなかった。
「ふふっ。私の告白を断るとはいい度胸だね。」
「あはは。いずれ後悔しそうで怖いわ。」
『搭乗の時間となりました。』
何かのアナウンス。搭乗の時間が来たのだろう。
俺はポケットを漁る。普通は何も無い。
普通はな。

 俺はナイフを持つ。
周りがざわめき始める。
そして、薬莢にナイフで傷をつける。
できるだけ丁寧にSを書き上げる。
そして、シエスタに向かって投げた。
綺麗にシエスタの太ももに着地した。
「とっとけ。俺からのプレゼントだ。」
「あはは。君はほんとに太ももが好きだね。」
「たまたまそこにいったんだよ。」
俺は警察の人に捕えられる。
「あ~くっそ。いってぇな。」
俺は大きく息を吸い込む。
「ありがとうな。シエスタ。いってらっしゃい。」
「ふふっ。行ってくるよ。翔太。」

 俺はこの後逮捕されるかと思いきや、
蔵元かほさんが来て俺は逮捕されずに済んだ。
権力者すぎるだろ。
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