堕天の皇帝

key

文字の大きさ
上 下
51 / 164
軍事育成学校編

さよなら。

しおりを挟む
 俺は砕け散った白い結晶の傍による。
「おい。セクレート。おい!!」
呼びかけるが反応はない。
と思っていたその時、
俺の視界は真っ白になる。

「やぁ。翔太くん。いや、違うかな。
 私の愛しの弟よ。」
俺の目の前にセクレートが現れる。
これはセクレートの魔術なんだろうか。
多分セクレートが無理やり作っている時間なんだろう
「その反応的に本当に姉ちゃんなんだな。」
「あぁ。そうだよ。黙っててごめんね。
 でも、黙っとかないといけなかったの。
 そうじゃないと、未来が変わってしまうだろうから」
「でも、お前は過去に戻れるんだろ?
 はやく。今すぐ戻れよ。」
「あはは。私もそうしたいんだけどね。
 もう魔力もほぼ底をついているんだ。
 君と初めて会話を交わした時にはね。」
「そんな昔からなのか。」
「うん。そして、私はもう死ぬと思うよ。
 だって私の核が砕かれちゃったからね。」
「くっそ。どうすればいいんだよ。」
「君にも私にも何も出来ないよ。
 元よりこういう未来だったかもね。」
「なんでだよ。なんでなんだよ。」
「少しこっちにおいで。」
セクレートは女の子座りをしながら手招きする。
そして俺を座らし、セクレートに抱きつかれた。

「ごめんね。翔太くん。」
「なんでセクレートがなんだよ。」
「泣かないでくれよ。私は我慢してるんだから。
 あと、セクレートじゃなくて、
 お姉ちゃんと呼んで欲しいな。」
「姉ちゃん...姉ちゃん!!」
俺は叫ぶ。心の奥底から叫ぶ。
「この数ヶ月は楽しかったよ。
 翔太。君のおかげだ。ありがとう。
 大好きだよ。」
セクレートは、いや。
姉ちゃん、西宮愛美は俺のおでこに口づけをした。
「バイバイ。ではないか、さよなら。」
そして、俺の目の前から姉ちゃんが消えた。

「お前を殺す。殺してやる。」
俺は目の前にいる直人に殴りかかった。
簡単に受け止められてしまった。
「よく聞け。お前が弱かったから
 西宮愛美は死んだ。
 大事な人を守るためには
 強くないといけない。
 だから、強くなれ。そして、俺を超えてみせろ。」
紫色の粒子が舞う。
直人は目の前から消え去った。
その瞬間、爆発が起きる。
俺は爆風に吹き飛ばされ、意識が落ちた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

異世界にクラス転移したら全員ハズレスキルを持たされた

アタラクシア
ファンタジー
 人生で数度もない貴重なイベントである修学旅行。この風鈴高校に通う二年二組の生徒たちも、長い間待ち望んでいた修学旅行に胸を躍らせていた。  はしゃぐバスの中――突然周りが黒く染まり、生徒たちは下へ下へと落下してしまう。  目が覚め、見えた景色は――現実の法則が意味をなさない、まさに『異世界』であった。  クラス全員ハズレスキル!?前代未聞の異世界転移に少年少女らは立ち向かう。 ――根源に至る『四騎士』 ――世界征服を企む『ナイトメア』 ――新世界を作ろうとする『ネビュラ教』  異世界の様々な情勢に振り回されながらも奔走する。目指すは「クラスメイト全員の合流」と「元世界への帰還」。  はたして彼らは全員合流し、元の世界へと帰れるのか。  長くも奇妙な修学旅行が今始まる――。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...