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第2章
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「機械装甲兵の村!?森林地帯のどこか!?ていうかミッション変更の理由は!?おい!司令部!何とか言えよ!!」
セリナが「司令部!応答しろ!」と叫ぶが反応はない。
「くそ…!通信を切りやがった!」
セリナは忌々しげに地面の砂を蹴る。
その横でアイナは両方の手のひらと靴の裏からバシュウゥゥと空気を吹き出して宙に浮く。
「行くぞ。北北東13km先の森林地帯だ」
「いや、だからその森林地帯のどこなんだって…!」
「お前のサーチで機械反応を捕まえればわかるだろう」
「そうだけど、こんな曖昧な指示で動けるかよ!ミッション変更の理由だって聞かされてないのに!」
「どんな指示だろうと従うのが我々の使命だ」
アイナはそこまで言うとバシュッ!と飛び立ってしまう。
セリナは「おい!ちょっと待てよ!」と自分も少し宙に浮いてから私たちを見る。
「そうだ。悪いんだけど、今度のミッションにもついてきてくれないかな?」
ローザとライラが私のほうを見る。
「…まあ、行くあてもないし、別にいいわよ」
セリナは満面の笑顔で宙に浮いたまま私に飛びかかって抱きつく。
「やった!ありがとう!本当に助かるよ!!」
「わ!え!?いや、えっとその」
アンドロイドだというセリナの身体が普通の女の子みたいに柔らかくてあたたかくて、私はドギマギしてしまう。本当に機械、なの…?さっき怪我してた時に出ていたのも血としか思えなかったし…。そんな私の戸惑いなんか気にする素振りも見せず、セリナは少し身体を離して私の目を見て言う。
「よろしくな!頼りにしてるぜ!リリアス!」
私はセリナの笑顔を見つめたまま、ただ頷くことしかできなかった。
******
私たちが森の入口に着くと、アイナは背を向けたまま顔だけ振り返り「遅いぞ」と言った。
それに対してセリナはふるふると震え、「てめぇ……!」と呟いた。
「何が『遅いぞ』だバカ!詳細情報も確認しないで勝手に飛び出しやがって!」
「わたしは指示に従っただけだ」
「お前がそんなんだから司令部がつけあがるんだろ!中途半端な情報で危険な目にあうのはアタシなんだぞ!さっきだってそうだ!アタシを放ったらかして他の機械反応のほうに勝手に行っちまうからその間にサーチモードで無防備のアタシが…」
「そうか、すまん」
「すまんで済むかっ!!」
ギャーギャー言い合う二人を私とローザとライラは遠巻きに見ている。
「あれは…アイナ様が悪いですわね」
「間違いないね」
ローザとライラの言葉に私も「うんうん」と頷きながら、アイナとセリナを眺めて弟と妹のことを思い出す。そういえば、レオとミーナもいつもあんなふうにケンカばっかりしていた。今もお父様たちといるはずのロドンゴで、同じように言い合っているのかもしれない。
あの子たちに早く会うためにも、さっさとこの球体世界の戦争を終わらせてゲートとやらを開いてもらわなくちゃ。
「アイナ、セリナ。ケンカはそのくらいにして先に進むわよ。この森のどこかに村があるんでしょ?」
私がそう言うと、アイナとセリナは言い合いをやめて振り向き、セリナは「ケンカってわけじゃ、ないんだけどさ…」と呟く。
「森に入る前に機械反応を見てみるよ。サーチモードを起動するから、みんなは周囲を見張っててくれ」
私たちはそれぞれに頷き、セリナを取り囲むように立つ。
機械でも魔物でも、変なヤツがいれば私の嗅覚と聴覚、それに熱感知ですぐにわかる。
ローザも何かの聖術だろう、周囲の地面に光の魔法陣みたいなものを展開しているし、ライラもひざまづいて地面に両手をついて放射線状にザワザワとツタのような植物を這わせている。アイナは少し宙に浮いて周囲を見回し警戒している。
セリナは両手を広げ、キュイィィン…と音を立てて全身に光を纏う。
肩や背中からいくつもの棒や羽のようなものが飛び出していて、そこから金属を引っ掻くような甲高い音がものすごい大音量で響いている。私はその音がイヤで耳を塞いでしまうが、ローザもライラもアイナも何も聞こえていないようだった。
「リリアス様、どうかされましたの?」
「いや…ちょっと音がね…」
「…?あたしには何も聴こえないよ?」
「人間の可聴周波数帯域は遥かに超えているはずだがな」
「たぶん、私が吸血鬼だから、だね…」
私が思わず地面に膝をつきそうになった時、その音は止んで私の背後でセリナが言った。
「悪い!ダメだ!たぶんECMだな…。原始的だけどがっちりジャミングされちまって機械反応がちっとも拾えないや!」
まだ少し頭が痛くて私は頭を抱えている。その横で、ローザが尋ねる。
「要するに、機械装甲兵の村の場所がわからない、ということですの?」
セリナの「うん…そういうことだな…」という少ししょんぼりした声が聞こえてくる。
ライラの「この森の中にあるのは間違いないんだよね?」という質問に「司令部の情報が今度こそ正しけりゃ、だけどな…」とセリナ。
「だったらあたしに任せて!森の植物に聞けば絶対にわかるよ!」
ライラが自信たっぷりにそう言った。
頭痛が治まった私がライラを見ると、ライラは先ほどのようにひざまづいて地面に両手をつき、今度は放射線状にではなく森に向かってザワザワとツタのような植物を這わせ始めた。
「森に繋がれ…!双葉九里葎…!」
セリナが「司令部!応答しろ!」と叫ぶが反応はない。
「くそ…!通信を切りやがった!」
セリナは忌々しげに地面の砂を蹴る。
その横でアイナは両方の手のひらと靴の裏からバシュウゥゥと空気を吹き出して宙に浮く。
「行くぞ。北北東13km先の森林地帯だ」
「いや、だからその森林地帯のどこなんだって…!」
「お前のサーチで機械反応を捕まえればわかるだろう」
「そうだけど、こんな曖昧な指示で動けるかよ!ミッション変更の理由だって聞かされてないのに!」
「どんな指示だろうと従うのが我々の使命だ」
アイナはそこまで言うとバシュッ!と飛び立ってしまう。
セリナは「おい!ちょっと待てよ!」と自分も少し宙に浮いてから私たちを見る。
「そうだ。悪いんだけど、今度のミッションにもついてきてくれないかな?」
ローザとライラが私のほうを見る。
「…まあ、行くあてもないし、別にいいわよ」
セリナは満面の笑顔で宙に浮いたまま私に飛びかかって抱きつく。
「やった!ありがとう!本当に助かるよ!!」
「わ!え!?いや、えっとその」
アンドロイドだというセリナの身体が普通の女の子みたいに柔らかくてあたたかくて、私はドギマギしてしまう。本当に機械、なの…?さっき怪我してた時に出ていたのも血としか思えなかったし…。そんな私の戸惑いなんか気にする素振りも見せず、セリナは少し身体を離して私の目を見て言う。
「よろしくな!頼りにしてるぜ!リリアス!」
私はセリナの笑顔を見つめたまま、ただ頷くことしかできなかった。
******
私たちが森の入口に着くと、アイナは背を向けたまま顔だけ振り返り「遅いぞ」と言った。
それに対してセリナはふるふると震え、「てめぇ……!」と呟いた。
「何が『遅いぞ』だバカ!詳細情報も確認しないで勝手に飛び出しやがって!」
「わたしは指示に従っただけだ」
「お前がそんなんだから司令部がつけあがるんだろ!中途半端な情報で危険な目にあうのはアタシなんだぞ!さっきだってそうだ!アタシを放ったらかして他の機械反応のほうに勝手に行っちまうからその間にサーチモードで無防備のアタシが…」
「そうか、すまん」
「すまんで済むかっ!!」
ギャーギャー言い合う二人を私とローザとライラは遠巻きに見ている。
「あれは…アイナ様が悪いですわね」
「間違いないね」
ローザとライラの言葉に私も「うんうん」と頷きながら、アイナとセリナを眺めて弟と妹のことを思い出す。そういえば、レオとミーナもいつもあんなふうにケンカばっかりしていた。今もお父様たちといるはずのロドンゴで、同じように言い合っているのかもしれない。
あの子たちに早く会うためにも、さっさとこの球体世界の戦争を終わらせてゲートとやらを開いてもらわなくちゃ。
「アイナ、セリナ。ケンカはそのくらいにして先に進むわよ。この森のどこかに村があるんでしょ?」
私がそう言うと、アイナとセリナは言い合いをやめて振り向き、セリナは「ケンカってわけじゃ、ないんだけどさ…」と呟く。
「森に入る前に機械反応を見てみるよ。サーチモードを起動するから、みんなは周囲を見張っててくれ」
私たちはそれぞれに頷き、セリナを取り囲むように立つ。
機械でも魔物でも、変なヤツがいれば私の嗅覚と聴覚、それに熱感知ですぐにわかる。
ローザも何かの聖術だろう、周囲の地面に光の魔法陣みたいなものを展開しているし、ライラもひざまづいて地面に両手をついて放射線状にザワザワとツタのような植物を這わせている。アイナは少し宙に浮いて周囲を見回し警戒している。
セリナは両手を広げ、キュイィィン…と音を立てて全身に光を纏う。
肩や背中からいくつもの棒や羽のようなものが飛び出していて、そこから金属を引っ掻くような甲高い音がものすごい大音量で響いている。私はその音がイヤで耳を塞いでしまうが、ローザもライラもアイナも何も聞こえていないようだった。
「リリアス様、どうかされましたの?」
「いや…ちょっと音がね…」
「…?あたしには何も聴こえないよ?」
「人間の可聴周波数帯域は遥かに超えているはずだがな」
「たぶん、私が吸血鬼だから、だね…」
私が思わず地面に膝をつきそうになった時、その音は止んで私の背後でセリナが言った。
「悪い!ダメだ!たぶんECMだな…。原始的だけどがっちりジャミングされちまって機械反応がちっとも拾えないや!」
まだ少し頭が痛くて私は頭を抱えている。その横で、ローザが尋ねる。
「要するに、機械装甲兵の村の場所がわからない、ということですの?」
セリナの「うん…そういうことだな…」という少ししょんぼりした声が聞こえてくる。
ライラの「この森の中にあるのは間違いないんだよね?」という質問に「司令部の情報が今度こそ正しけりゃ、だけどな…」とセリナ。
「だったらあたしに任せて!森の植物に聞けば絶対にわかるよ!」
ライラが自信たっぷりにそう言った。
頭痛が治まった私がライラを見ると、ライラは先ほどのようにひざまづいて地面に両手をつき、今度は放射線状にではなく森に向かってザワザワとツタのような植物を這わせ始めた。
「森に繋がれ…!双葉九里葎…!」
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