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第1章
41 私は嘘を許せない
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ローザの行方を知らないと言い張っていたカミーユが、結局ローザをこの店から連れ去っていた。
それを聞いた私は今にも大爆発してしまいそうな怒りを必死に抑え込み、ヘンリクさんに「そ、そう…わかったわ、ありがと、ごきげんよう、おほほほほほ」などと無理やり強引にお上品ぶって店を後にした。
魔具屋の扉を閉めて往来に出た途端、メラメラと怒りの炎が燃え上がる。
「カミィィィユゥウゥゥゥゥッ………!!!!!」
アルミラが慌てて私を抑えようとする。
「ま、待てリリアス!落ち着いてくれ!た、頼む!!」
私はどうにか怒りの炎をぐっとこらえて、ビキビキと青筋が立つのを感じながらアルミラを見上げた。
「ねえ、アルミラ…!!」
「う…!な、なななんだ…?」
「吸血鬼の血の掟って、あるわよねぇ…!」
「あ、ああ…!」
「嘘をついた吸血鬼は食い殺していい、みたいなやつはないの…?」
「い、いや、ない!そ、それは、ないな…!」
「なんでないのよ…!!!」
「あ、アタシにそう言われても…!」
「とりあえず、あいつは食い殺してやるわ…!」
「え、いや、それはダメだ!」
「ダメじゃないわ…!食い殺せば記憶とかも入ってきて嘘を暴けるじゃない…!」
「そ、それはそうだが言っただろ…?『あの方』とは敵対できないって…!」
「どうしてよ」
「いや、だから、吸血鬼の血の掟でアタシは『あの方』に逆らえないんだ…まあ、もしお前が『あの方』より格上ならその支配も上書きできるが…」
「…もう格上なんじゃない?あんな病気みたいな奴よりは私のほうが可愛いし」
「え………いや確かに美は格を決める重要な要素だが」
「じゃあ行けるわね…!」
「いや待て!それだけじゃない!他にも強さや知性も重要な要素だ…!」
「………知性は、自信がないわ…!!!」
「そ、そうだろう!な!だからやめておこう!な!?」
「私がバカだからダメだっていうの…!?」
「ち、違う違う!そうは言っていない!総合的に!総合的に考えてだ!」
「総合的に…!」
「ああ、総合的に、包括的にだ…!」
「ほうかつ…何よそれ…!!!」
「いや!そ、それは、うぅ…そうだ!マリーゴールドだ!」
「マリーゴールド…?」
「そうだ!あいつに会って本当にローザがカミーユの部屋にいたのか聞いてみよう!あいつが言っていた『友達』があいつの勘違いかもしれ、いやあぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
喋っている途中のアルミラをガシッと乱暴に抱きかかえ、私は猛スピードで大空へと飛び立った。
アルミラの悲鳴が再びファルナレークの夜空に鳴り響いた。
******
大空に飛び立ったはいいものの、マリーゴールドの部屋が薔薇の不死城のどこなのか知らない私はビュンビュンと空を飛び回りながら「どこ!?」とアルミラに尋ねると、アルミラは震えながら「だ、だだだだ第6塔!あっちの、あの、桃色の明かりが漏れている最上階!」と答え、私は猛スピードでそこに突っ込む。
ザシュッ!
勢いよくバルコニーに着地すると、アルミラは「急に飛ぶのはやめてくれ!急に飛ぶのだけは!」と抗議した。そんなアルミラには申し訳ないけど、思い切り空を飛んだおかげで私はすいぶんと気が晴れていた。
「あらぁ、いらっしゃ~い」
そう言ってマリーゴールドは部屋の中から広いバルコニーにあらわれた。
「こんばんは!マリーゴールドちゃん!」
「あら、ずいぶんスッキリしたじゃないの」
「え、そう?」
「そうよぉ!さっきのジメジメした感じとは別人よぉ!?」
「そうかな…」
「もしかして、好きな人、見つかったの?」
私はそう聞かれてドキッとするが、ぐっとおなかに力を入れてマリーゴールドを見据える。
「うん、わかったわ」
アルミラが私の横でハッと目を見張った。
「私はここにいるアルミラと、一緒にファルナレークに来たローザが好き」
マリーゴールドは何も言わずニッコリと笑顔を見せて、アルミラは「り、リリアス…!」と呟いた。
「でもね、ローザがどこにいるかわからないの。あなたがさっき言っていたカミーユの部屋にいる『友達』ってローザのこと?」
マリーゴールドは笑顔のまま答える。
「名前は今初めて聞いたけど、たぶんそうよ。金髪のナイスバディの、ロングドレスの子でしょ?」
「そ、そうよ!それが本当にカミーユの部屋にいたの!?」
「ええ、いたわよ。眠らされて、明らかに拉致されていたわね。ちょうどあなたたちが『地獄』に行って少し経った時くらいかしら」
「で、でもマリーゴールドちゃんはなんでローザが私の友達だってわかったの…?」
「ん?そんなのオカマの勘よ、何だってわかるわよ、ここまでの大オカマになれば。当たり前じゃないのリリアスちゃん」
「そ、そうなのね…。でも、あの、あなたと会ったあとでカミーユの部屋に行ったらローザはもういなかったわ…」
マリーゴールドは唇を尖らせてそこに人差し指を当てて「う~ん」と言った。
「それなら考えられる可能性は3つねぇ。交渉して解放されたか、戦って自力で抜け出したか、カミーユに食べられちゃったか」
「食べられ…!!!」
私の身体から再び怒りの炎が燃え上がる。
「可能性よ、可能性。いずれにしてもすれ違いってことになるわねぇ」
「それより、いずれにしてもカミーユは嘘をついていたってことが問題よ…!!!」
「あら、そうなの?」
「アイツはローザの行方を知らないって言ってた…!」
「じゃあ、殺しちゃいなさいな」
こともなげにそう言ったマリーゴールドを、私は「は?」と言って見上げる。
「仮にも『あの方』の血を受けたリリアスちゃんに嘘をついたのよ?当然じゃない。カミーユなんてしょせん『あの方』の部下の闇騎士に過ぎないわ。リリアスちゃん、あなたは部下ではなく『娘』なのよ?娘に無礼を働いた部下を娘が殺して父王が怒るわけないじゃないの」
その言葉を聞いて私は思わずアルミラに振り返る。
アルミラは無言でうつむき、私に目を合わさない。
私の頭の中でマリーゴールドの言葉が蘇る。
『アルミラちゃんはこう見えて、かなり欲深い女よ。気をつけることね』
次にアルミラの言葉が蘇る。
『確かに、アタシが欲深いのは奴の言った通りだ。お前のことを自分だけのものにしたいと思い始めてしまっている』
…やっぱり、アルミラとカミーユがグルになってローザを陥れた?
私を独り占めするために?
そんな…。
「まあ、カミーユを殺す前に念の為『あの方』に一言くらい言っておいたほうがいいかしらね。ちょっとしたVIPのマリーゴールドちゃんが繋いであげるから安心なさいな」
そう言ってマリーゴールドは魔力の光を放った。
マリーゴールドと私とアルミラの足元から薔薇の花弁が舞い上がる。
アルミラはバツの悪そうな顔で下を向いている。
………ちょっと待って、アルミラ、嘘でしょ?
せっかく好きだって思ったのに。私を裏切らないって言ってくれたのに。
愛しているって、私に生まれて初めて言ってくれた人なのに。
******
マリーゴールドの不思議な魔術で薔薇の花弁に包まれた私たちは、気が付くと謁見の間へと続く大きな扉の前にいた。
「さあ、行くわよ」と言うマリーゴールドに私は「ちょっと待って」と言う。
「ねえアルミラ、どういうこと…?」
アルミラはうつむいたまま何も答えない。
「どうして何も言ってくれないの…?私、信じてたんだよ…?」
アルミラが意を決したように顔を上げる。
「違うんだ、リリアス」
「何がどう違うの」
「アタシはお前を裏切るようなことはしていない」
「じゃあどういうことなの」
「お前は、カミーユを殺すつもりなのだろう…?」
「ええ、そうよ。私に嘘をついた。ローザの行方なんて知らないって」
「どうか、それを思い留まってはくれないか…?」
「どうしてよ」
「それには事情があるんだ…!」
「何よ、事情って」
「そ、それは…!」
「言って」
「…………言えない」
「どうして!」
「どうしてもだ…」
「どういうことなのよっ!!」
そこでマリーゴールドが「まあまあ」と憤慨する私の肩に手を置いた。
「言えないっていうなら、アルミラちゃんの血を吸ってみればいいじゃない。そうしたら全部わかるわよ?」
私がそう言われてアルミラを見ると、アルミラはしおらしく私の前に跪き、長い銀色の髪を耳にかけて首筋を差し出した。
「…そうしてくれ。頼む」
私は少し、躊躇した。
できれば、こんなふうにアルミラの血を吸いたくなかった。
せっかくならもっとお互いに信頼しあって、ちゃんと『好き』と言い合って、もっとしあわせな気持ちで抱き合って血を吸いたかった。
でも、目の前にある艶めかしいアルミラの首筋に、私はジュルリと唾液が溢れてしまいそうになっている。
うう…!こんな時に、私のバカ…!
私は上から覆いかぶさるようにアルミラの首筋にゆっくり口を近付ける。
ふわぁっとアルミラの甘い香りが私の鼻をくすぐる。
くそ…!もう、めちゃくちゃに吸ってやるんだから…!!
私はガバッと乱暴にアルミラに襲いかかり、首筋に牙を突き立てた。
マリーゴールドが何やら嬉しそうに「わ~お情熱的ぃ」などと茶化したけどすでに私にとっては意識の外。
私の意識はアルミラの血の海の中に深く深く沈み始めていた。
それを聞いた私は今にも大爆発してしまいそうな怒りを必死に抑え込み、ヘンリクさんに「そ、そう…わかったわ、ありがと、ごきげんよう、おほほほほほ」などと無理やり強引にお上品ぶって店を後にした。
魔具屋の扉を閉めて往来に出た途端、メラメラと怒りの炎が燃え上がる。
「カミィィィユゥウゥゥゥゥッ………!!!!!」
アルミラが慌てて私を抑えようとする。
「ま、待てリリアス!落ち着いてくれ!た、頼む!!」
私はどうにか怒りの炎をぐっとこらえて、ビキビキと青筋が立つのを感じながらアルミラを見上げた。
「ねえ、アルミラ…!!」
「う…!な、なななんだ…?」
「吸血鬼の血の掟って、あるわよねぇ…!」
「あ、ああ…!」
「嘘をついた吸血鬼は食い殺していい、みたいなやつはないの…?」
「い、いや、ない!そ、それは、ないな…!」
「なんでないのよ…!!!」
「あ、アタシにそう言われても…!」
「とりあえず、あいつは食い殺してやるわ…!」
「え、いや、それはダメだ!」
「ダメじゃないわ…!食い殺せば記憶とかも入ってきて嘘を暴けるじゃない…!」
「そ、それはそうだが言っただろ…?『あの方』とは敵対できないって…!」
「どうしてよ」
「いや、だから、吸血鬼の血の掟でアタシは『あの方』に逆らえないんだ…まあ、もしお前が『あの方』より格上ならその支配も上書きできるが…」
「…もう格上なんじゃない?あんな病気みたいな奴よりは私のほうが可愛いし」
「え………いや確かに美は格を決める重要な要素だが」
「じゃあ行けるわね…!」
「いや待て!それだけじゃない!他にも強さや知性も重要な要素だ…!」
「………知性は、自信がないわ…!!!」
「そ、そうだろう!な!だからやめておこう!な!?」
「私がバカだからダメだっていうの…!?」
「ち、違う違う!そうは言っていない!総合的に!総合的に考えてだ!」
「総合的に…!」
「ああ、総合的に、包括的にだ…!」
「ほうかつ…何よそれ…!!!」
「いや!そ、それは、うぅ…そうだ!マリーゴールドだ!」
「マリーゴールド…?」
「そうだ!あいつに会って本当にローザがカミーユの部屋にいたのか聞いてみよう!あいつが言っていた『友達』があいつの勘違いかもしれ、いやあぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
喋っている途中のアルミラをガシッと乱暴に抱きかかえ、私は猛スピードで大空へと飛び立った。
アルミラの悲鳴が再びファルナレークの夜空に鳴り響いた。
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大空に飛び立ったはいいものの、マリーゴールドの部屋が薔薇の不死城のどこなのか知らない私はビュンビュンと空を飛び回りながら「どこ!?」とアルミラに尋ねると、アルミラは震えながら「だ、だだだだ第6塔!あっちの、あの、桃色の明かりが漏れている最上階!」と答え、私は猛スピードでそこに突っ込む。
ザシュッ!
勢いよくバルコニーに着地すると、アルミラは「急に飛ぶのはやめてくれ!急に飛ぶのだけは!」と抗議した。そんなアルミラには申し訳ないけど、思い切り空を飛んだおかげで私はすいぶんと気が晴れていた。
「あらぁ、いらっしゃ~い」
そう言ってマリーゴールドは部屋の中から広いバルコニーにあらわれた。
「こんばんは!マリーゴールドちゃん!」
「あら、ずいぶんスッキリしたじゃないの」
「え、そう?」
「そうよぉ!さっきのジメジメした感じとは別人よぉ!?」
「そうかな…」
「もしかして、好きな人、見つかったの?」
私はそう聞かれてドキッとするが、ぐっとおなかに力を入れてマリーゴールドを見据える。
「うん、わかったわ」
アルミラが私の横でハッと目を見張った。
「私はここにいるアルミラと、一緒にファルナレークに来たローザが好き」
マリーゴールドは何も言わずニッコリと笑顔を見せて、アルミラは「り、リリアス…!」と呟いた。
「でもね、ローザがどこにいるかわからないの。あなたがさっき言っていたカミーユの部屋にいる『友達』ってローザのこと?」
マリーゴールドは笑顔のまま答える。
「名前は今初めて聞いたけど、たぶんそうよ。金髪のナイスバディの、ロングドレスの子でしょ?」
「そ、そうよ!それが本当にカミーユの部屋にいたの!?」
「ええ、いたわよ。眠らされて、明らかに拉致されていたわね。ちょうどあなたたちが『地獄』に行って少し経った時くらいかしら」
「で、でもマリーゴールドちゃんはなんでローザが私の友達だってわかったの…?」
「ん?そんなのオカマの勘よ、何だってわかるわよ、ここまでの大オカマになれば。当たり前じゃないのリリアスちゃん」
「そ、そうなのね…。でも、あの、あなたと会ったあとでカミーユの部屋に行ったらローザはもういなかったわ…」
マリーゴールドは唇を尖らせてそこに人差し指を当てて「う~ん」と言った。
「それなら考えられる可能性は3つねぇ。交渉して解放されたか、戦って自力で抜け出したか、カミーユに食べられちゃったか」
「食べられ…!!!」
私の身体から再び怒りの炎が燃え上がる。
「可能性よ、可能性。いずれにしてもすれ違いってことになるわねぇ」
「それより、いずれにしてもカミーユは嘘をついていたってことが問題よ…!!!」
「あら、そうなの?」
「アイツはローザの行方を知らないって言ってた…!」
「じゃあ、殺しちゃいなさいな」
こともなげにそう言ったマリーゴールドを、私は「は?」と言って見上げる。
「仮にも『あの方』の血を受けたリリアスちゃんに嘘をついたのよ?当然じゃない。カミーユなんてしょせん『あの方』の部下の闇騎士に過ぎないわ。リリアスちゃん、あなたは部下ではなく『娘』なのよ?娘に無礼を働いた部下を娘が殺して父王が怒るわけないじゃないの」
その言葉を聞いて私は思わずアルミラに振り返る。
アルミラは無言でうつむき、私に目を合わさない。
私の頭の中でマリーゴールドの言葉が蘇る。
『アルミラちゃんはこう見えて、かなり欲深い女よ。気をつけることね』
次にアルミラの言葉が蘇る。
『確かに、アタシが欲深いのは奴の言った通りだ。お前のことを自分だけのものにしたいと思い始めてしまっている』
…やっぱり、アルミラとカミーユがグルになってローザを陥れた?
私を独り占めするために?
そんな…。
「まあ、カミーユを殺す前に念の為『あの方』に一言くらい言っておいたほうがいいかしらね。ちょっとしたVIPのマリーゴールドちゃんが繋いであげるから安心なさいな」
そう言ってマリーゴールドは魔力の光を放った。
マリーゴールドと私とアルミラの足元から薔薇の花弁が舞い上がる。
アルミラはバツの悪そうな顔で下を向いている。
………ちょっと待って、アルミラ、嘘でしょ?
せっかく好きだって思ったのに。私を裏切らないって言ってくれたのに。
愛しているって、私に生まれて初めて言ってくれた人なのに。
******
マリーゴールドの不思議な魔術で薔薇の花弁に包まれた私たちは、気が付くと謁見の間へと続く大きな扉の前にいた。
「さあ、行くわよ」と言うマリーゴールドに私は「ちょっと待って」と言う。
「ねえアルミラ、どういうこと…?」
アルミラはうつむいたまま何も答えない。
「どうして何も言ってくれないの…?私、信じてたんだよ…?」
アルミラが意を決したように顔を上げる。
「違うんだ、リリアス」
「何がどう違うの」
「アタシはお前を裏切るようなことはしていない」
「じゃあどういうことなの」
「お前は、カミーユを殺すつもりなのだろう…?」
「ええ、そうよ。私に嘘をついた。ローザの行方なんて知らないって」
「どうか、それを思い留まってはくれないか…?」
「どうしてよ」
「それには事情があるんだ…!」
「何よ、事情って」
「そ、それは…!」
「言って」
「…………言えない」
「どうして!」
「どうしてもだ…」
「どういうことなのよっ!!」
そこでマリーゴールドが「まあまあ」と憤慨する私の肩に手を置いた。
「言えないっていうなら、アルミラちゃんの血を吸ってみればいいじゃない。そうしたら全部わかるわよ?」
私がそう言われてアルミラを見ると、アルミラはしおらしく私の前に跪き、長い銀色の髪を耳にかけて首筋を差し出した。
「…そうしてくれ。頼む」
私は少し、躊躇した。
できれば、こんなふうにアルミラの血を吸いたくなかった。
せっかくならもっとお互いに信頼しあって、ちゃんと『好き』と言い合って、もっとしあわせな気持ちで抱き合って血を吸いたかった。
でも、目の前にある艶めかしいアルミラの首筋に、私はジュルリと唾液が溢れてしまいそうになっている。
うう…!こんな時に、私のバカ…!
私は上から覆いかぶさるようにアルミラの首筋にゆっくり口を近付ける。
ふわぁっとアルミラの甘い香りが私の鼻をくすぐる。
くそ…!もう、めちゃくちゃに吸ってやるんだから…!!
私はガバッと乱暴にアルミラに襲いかかり、首筋に牙を突き立てた。
マリーゴールドが何やら嬉しそうに「わ~お情熱的ぃ」などと茶化したけどすでに私にとっては意識の外。
私の意識はアルミラの血の海の中に深く深く沈み始めていた。
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