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婚約破棄はパーティーで その1
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「屍竜の情報を参照できなかったのは発生直後でデータが未登録だったせいです。
魔物の集団の方は、あなたの推測通り表示が追いつかなかったため。もっと数が少なかったら合計値の表示が可能だったかもしれないし、特定の魔物に焦点をあてて見ればそれを表示できたかもしれません」
本日のゲームマスターもブライズメイド風らしい。前回が淡いオレンジ色だったのに対して今回は淡いブルーグリーンに本物の葉っぱと小さめな白い花。清楚路線狙いなんだろうか。
「そうだったんですか。それで、ふよふよ浮いているのが二匹に増えたのは、どういうことで?」
前回、ゲームマスターに謁見した際にいたのは屍竜の縮小版だけだったが、今回はフェンリルの縮小版まで追加された。
「あなたの騎獣候補、召喚獣候補、またはその両方。
二体に共通しているのが上限なしの成長型ということで、生半可な人には任せられないのです。
技術担当者や研究機関界隈は、お互いに戦わせてデータを取りたいとうるさく言ってきているのですが、瘴気の大陸にはまだ善良な民が四割近く残っているため、戦闘の場所としては適切ではないとストップをかけています。大陸を沈める直前のタイミングであればありでしょう」
「あのぉ、俺も戦闘に加わることが決定済みなんでしょうか?」
「どうしても嫌だと言うなら強制はしませんが、屍竜に騎乗した状態およびフェンリルと組んだ状況での、強敵との本格的な戦闘経験を積むこと自体はお勧めしたいと思っています」
「シミュレーションとかで代用は……」
「データの収集がまだまだ不完全ですし、あなたを含めて三体とも成長曲線がアレだから、と聞いています。
まあ三つ巴の戦いはもう少し先の話で、直近は婚約破棄のパーティーですよ。
魔王になる素質を持つ人間と異世界の記憶を持つ転生者が、やらかしてくれそうです」
特定の属性と膨大な魔力を持つ人間が闇堕ちして魔王になると前回聞いた。
異世界からの転生者によって、この世界に深刻な悪影響を与えるような穴が、世界と世界の間に開いてしまうことがあるという話も。
「カプセルを渡される人と、その人が出席予定のパーティーとの対応表は前回見せてもらいましたけど、そのうちのどれですか?」
「どれでもありません。
前回リストアップしたのは婚約パーティーと結婚パーティー限定でしたが、婚約破棄の宣言と断罪により魔王が発生する可能性があるのは、リストにはなかった卒業記念のパーティーなのです」
ゲームマスターの言葉に俺は首をかしげる。
「学校の卒業パーティーで婚約破棄とか断罪とか不自然な話ではありませんか。
もともとそういうことをする場ではありませんよね? 強行したとしても効力があるとも思えません」
「それが……この世界の幾つかの国においては、卒業パーティーでの婚約破棄はよくある話で、定番なのです。
王子が婚約者の令嬢に婚約破棄を宣言して、魅了持ちのピンクブロンドの下位貴族令嬢を虐げたと言って断罪し、国外追放や処刑を宣告するというのが典型的な例です」
「ごめんなさい、よくわかりません。
ああ、でも浄化の聖女さんもパーティーで婚約破棄くらっていたんでしたっけ。
魅了の聖女が王様を誑かしたせいで」
「あのときのパーティーは卒業記念パーティーではなくて婚約披露のパーティーでしたけどね。配役もだいぶ異なります。一番の違いは、異世界の記憶持ちが深く関わっているかどうかです」
「卒業記念パーティーの進行如何によっては世界に穴が開いてしまうようなことになると?」
「この世界とは異なる世界の理による力の行使が、どのような結果をもたらすかは予測不可能な部分があります。
単純に素質持ちが魔王に変身するか、世界に開いた穴から化け物が登場するか、全てを吸い尽くすブラックホールでも現れるか」
魔物の集団の方は、あなたの推測通り表示が追いつかなかったため。もっと数が少なかったら合計値の表示が可能だったかもしれないし、特定の魔物に焦点をあてて見ればそれを表示できたかもしれません」
本日のゲームマスターもブライズメイド風らしい。前回が淡いオレンジ色だったのに対して今回は淡いブルーグリーンに本物の葉っぱと小さめな白い花。清楚路線狙いなんだろうか。
「そうだったんですか。それで、ふよふよ浮いているのが二匹に増えたのは、どういうことで?」
前回、ゲームマスターに謁見した際にいたのは屍竜の縮小版だけだったが、今回はフェンリルの縮小版まで追加された。
「あなたの騎獣候補、召喚獣候補、またはその両方。
二体に共通しているのが上限なしの成長型ということで、生半可な人には任せられないのです。
技術担当者や研究機関界隈は、お互いに戦わせてデータを取りたいとうるさく言ってきているのですが、瘴気の大陸にはまだ善良な民が四割近く残っているため、戦闘の場所としては適切ではないとストップをかけています。大陸を沈める直前のタイミングであればありでしょう」
「あのぉ、俺も戦闘に加わることが決定済みなんでしょうか?」
「どうしても嫌だと言うなら強制はしませんが、屍竜に騎乗した状態およびフェンリルと組んだ状況での、強敵との本格的な戦闘経験を積むこと自体はお勧めしたいと思っています」
「シミュレーションとかで代用は……」
「データの収集がまだまだ不完全ですし、あなたを含めて三体とも成長曲線がアレだから、と聞いています。
まあ三つ巴の戦いはもう少し先の話で、直近は婚約破棄のパーティーですよ。
魔王になる素質を持つ人間と異世界の記憶を持つ転生者が、やらかしてくれそうです」
特定の属性と膨大な魔力を持つ人間が闇堕ちして魔王になると前回聞いた。
異世界からの転生者によって、この世界に深刻な悪影響を与えるような穴が、世界と世界の間に開いてしまうことがあるという話も。
「カプセルを渡される人と、その人が出席予定のパーティーとの対応表は前回見せてもらいましたけど、そのうちのどれですか?」
「どれでもありません。
前回リストアップしたのは婚約パーティーと結婚パーティー限定でしたが、婚約破棄の宣言と断罪により魔王が発生する可能性があるのは、リストにはなかった卒業記念のパーティーなのです」
ゲームマスターの言葉に俺は首をかしげる。
「学校の卒業パーティーで婚約破棄とか断罪とか不自然な話ではありませんか。
もともとそういうことをする場ではありませんよね? 強行したとしても効力があるとも思えません」
「それが……この世界の幾つかの国においては、卒業パーティーでの婚約破棄はよくある話で、定番なのです。
王子が婚約者の令嬢に婚約破棄を宣言して、魅了持ちのピンクブロンドの下位貴族令嬢を虐げたと言って断罪し、国外追放や処刑を宣告するというのが典型的な例です」
「ごめんなさい、よくわかりません。
ああ、でも浄化の聖女さんもパーティーで婚約破棄くらっていたんでしたっけ。
魅了の聖女が王様を誑かしたせいで」
「あのときのパーティーは卒業記念パーティーではなくて婚約披露のパーティーでしたけどね。配役もだいぶ異なります。一番の違いは、異世界の記憶持ちが深く関わっているかどうかです」
「卒業記念パーティーの進行如何によっては世界に穴が開いてしまうようなことになると?」
「この世界とは異なる世界の理による力の行使が、どのような結果をもたらすかは予測不可能な部分があります。
単純に素質持ちが魔王に変身するか、世界に開いた穴から化け物が登場するか、全てを吸い尽くすブラックホールでも現れるか」
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