【第2章開始】俺とお前は親友のはずだろ!? ~姉の代わりに見合いした子爵令息、親友の聖騎士に溺愛される~

田鹿結月

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第1章

第27話 熱い(R)

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 以前見てしまった夢とは大違いなほど拙いキス。
 こんなに色男で、女に困ったことなんてなさそうなエディがするにしては子供っぽい、レイにもその拙さが伝わるそれを必死で続けながらエディはレイの身体に回した手を動かし、服の下には触れず全身を撫でた。
 エディになら、あのゴリラ相手みたいに尻を撫でられても恐怖はない。ほんの少しだけ混ざる不快感は、自分が加害者なのだからと飲み込んだ。
 こいつもやっぱり身体に触れたかったのか。心配させて、泣かせそうになってしまったから今は受け入れるけれど、騎士様とはいえ男だったということ。

「んっ……」

 治癒をかけたが、まだ治したてだからだろうか脇腹を撫でられぴくりと身体が反応する。いつの間にやら自分の上に馬乗りになっていたエディは、犬のようにエディの唇を食み、舌で舐めながら執拗に脇腹を撫で始めた。

「ふっ、……ぅ、あ」

 唇を開き、思わず艶やかな声を上げてしまうとレイは待っていたと言わんばかりにまた唇を食み、歯列をなぞり舌先をエディの舌と絡めた。ざらついた感触はレイだって初めて経験するもので、拙さはまだ感じるけれどそれよりも味わったことのない感覚に身体が勝手に反応してしまう。

「ん……っ、ぅ」

 思わず膝を立ててしまったレイの大腿に、ぐりと何かが当たる。キスの合間にちらりと見下ろせば、それはバスローブ越しに見えないエディの昂る欲望だった。
 興奮されているのか、このキスで。それはそうだ、好きな相手とキスして押し倒して、身体を撫で回しているのなら自分だってそうなる。
 発情、したのか。この薄っぺらいだけの身体に。

「あんまり見ないで」

 エディに顎を掬われ、バスローブの厚い生地を持ち上げてしまっていたそれから視線を逸らされる。
 超至近距離で、エディに囁かれた。

「レイも勃ってる」
「……キスとか、生まれて初めてなんだからしょうがねえじゃん」

 相手がエディだからじゃなくて、キスが初めてだから。見ないようにしていた自分の身体の変化を口にされ、レイはふいと顔を逸らした。
 エディは、そんなレイの腰を撫でぐりぐりと自分の昂りを同じ反応を示すそこへ押し付けた。

「……っ、おい!」
「軍みたいに、今日のことは事故だって思ってほしい。転移でも結構魔力使ったから、それの所為だと思って」

 ぐり、ぐりと押し付けるそれが次第にバスローブの袷の隙間から溢れ頭を擡げる。
 初めて見た、他人の昂り。己持っているそれよりも太く長いものに、レイは視線を奪われた。

「見ないでって。……レイ、擦るだけだから直接触っていい? レイもこのままじゃ辛いでしょ」

 カリカリと爪でパンツの上から刺激され、レイはひくりと腰を跳ねさせた。そこだって、物心ついてからは誰にも触らせたことのないところだ。自分以外は見ることすらない場所。
 紐を解き、下穿きをもずり下げエディの手が下腹部を伝いレイの昂りに指先を触れゆっくりと外へと出す。羞恥で目を逸らすが、自分以外の誰かがそれを触っているという事実が、相手が親友のはずであっても興奮材料になってしまう。
 他の誰かなら、男相手なら吐き気を催していたかもしれない。だが、相手はエディだ。ずっと学生の頃から自分を好きだったと言っている、レイのことを今や家族よりも理解している男。
 自分を誰よりも理解している男に、全てを暴かれてしまう。レイは背徳感も混ざり、興奮に思わず腰を軽くくねらせてしまった。

「レイ、ごめん。すぐ終わるから」

 レイが珍しく、こんなことをされても大人しくいるから誤解したのだろう。エディはレイのこめかみにキスを落として宥めてくる。
 違う、早く終わらせてほしいのは事実だけれど謝罪が欲しいわけじゃない。
 かつて、女と遊んでばかりの同級生が言っていたことを思い出す。他人に触れられるのは、自分で処理するだけよりも断然良いと。自分の意思とは関係なく動かれ、脳が焼き切れるのが堪らないと。
 知識欲が少しばかり人より多いレイは、思春期ということもありそれに当時興味を抱いていた。そして、それが今実行されようとしている。
 バスローブの紐を外し、前を開いたエディの鍛え上げられた身体が視界の端に映る。学生時代よりももっと鍛えたのだろう、水浴びの時にちらりと見た時なんかよりももっと筋肉がつき、締まっている。自分の細いだけで頼りなさしか感じない身体とはえらい違いだ。
 そんな身体が、自分の上に覆い被さる。

「ごめん。もう少しだけ脱がせるね」

 ただ昂りだけを露出させられるだけの格好になっていたのが、膝まで下衣をずり下ろされてしまった。片足は完全に抜き去られ、ほぼ裸の状態にさせられた上でエディを跨ぐように足を広げさせられてしまう。
 まるで、これから本当の行為をするみたいに。
 エディはぐいと腰を近付け、レイの昂りと自分のものを片手で纏めて掴んだ。
 圧倒的なサイズ差に、ごくりと唾を飲む。その反応を恐怖と勘違いしているのか、エディは今度は頬や顎に何度かキスをしあやすように優しく声をかけてきた。

「すぐ終わるから、それまで我慢して」
「……っ、ぁ、あ」

 二人分の先端から溢れる透明な体液が、エディの指の滑りを良くする。上下に軽く擦り、腰を緩く振られレイは初めて与えられる快感に上擦った声を上げた。
 こんなの、自分一人で処理するとき感じたことがない。エディの熱い手と昂りがぴったりと自分に触れて、溶けてしまうほどに熱くて。

「え、でぃ……っ」

 レイはエディに腕を伸ばし、ぎゅうと抱き寄せしがみつく。驚き動きを止めてしまったエディのそれに擦り付けるように腰を浮かせ揺らしてしまいながら、エディの耳許で熱い吐息を吐き出した。

「あ、つ、あつい、えでぃ……っ」
「っ」
「……っ、ふ、なんで、もっときもちよかったのに、なんれ?」

 まだ、擦り合っているだけなのに嬌声が止まらない。自分の腰だけが揺れている状況では何故快感が足りないのか疑問を口にしてしまいながら擦り付けていると、その両膝をエディががっしりと掴んだ。

「えでぃ……?」
「すぐ終われなくなっちゃった。大丈夫、抱きはしないよ」

 まだ心が通い合ったわけじゃない。今はエディにあてられてレイもその気になっているだけと、エディ自身が理解している。
 だから抱くまではしない。けれど、明らかに火がついた瞳は真っ直ぐにレイを見下ろす。

「こんな感じになるなら、もっと早く手を出すべきだったかな」
「……?」

 快楽に弱いなんて、学生時代知るはずもないから。
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