M嬢のM嬢によるM嬢のためのS執事の育て方

采女

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休日の過ごし方

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 ◆ side S ◆
「そういえば、瑞姫は実家に帰省しないの?」
 遅い朝食を食べ終えて、のんびり紅茶を飲んでいる瑞姫に訊ねてみた。
 今日は『昭和の日』で僕も休日だ。
「こんな新幹線乗車率が百パーセントを超える時にわざわざ帰りませんよ。学生の時もいつもバイトを入れてましたし」
「そんなもの?」
「ゴールデンウィークなんかに帰ったら邪魔でしょうしね」
 あはは、と笑う。
「邪魔って……」
「お母さんの彼氏も休みだから、私はいない方がいいんですよ」
 瑞姫はさらっと話すが、なんだかとんでもないことを聞いた気がする。
「え……お父さんではなく……?」
「あ、不倫とかじゃないんですよ? うちはとっくに離婚してるんで。でも、再婚もしてないから、彼氏です。もう長いから、『内縁の夫』かもしれませんけどね」
 ということは、彼女の実家には母親とその彼氏が住んでいるということだろう。それは確かに帰りづらいかもしれない。
「奏輔さんは、実家に帰らないんですか?」
「うちは関東圏だからいつでも会えるし、両親の実家が高知だから両親は高知に帰省しちゃうんで。昔は一緒に行ってたけど、従兄弟もみんな社会人になって、最近は行ってないかな」
「じゃあ、ゴールデンウィークはずっと一緒にいられますね」
 ふふ、と楽しそうに笑っている。
 変なことを聞いてしまったかと思ったが、楽しそうで良かった。

 と、スマホが着信を告げる。
「あ、博己だ」
 通話をタップし、スピーカーに切り替える。
「おう、久しぶり……でもないか。この前偶然会ったしな」
『だな。今大丈夫?』
「家で飯食ってた」
『遅くね? まあいいや。お前さ、五月五日空いてる?』
 ちらりと瑞姫を見る。
 そういえば、瑞姫と誕生日の話をしていない。
「うん、今のところ、空いてるよ」
『じゃあさ、夜飲もうぜ。佑は無理だろうけど、姫ちゃんも誘ってさ』
 目線で瑞姫に確認をすると、こくり、と頷いた。声は出さないので、一緒にいることは言わない方がいいのだろう。
「了解。じゃあ、姫にも聞いてみるわ」
『じゃあ頼むわ。最近、姫ちゃんも奏輔もインしないからさ。仕事忙しい?』
「俺は昨日も一昨日も仕事。明日と明後日も仕事だよ」
『有休使えばいいじゃん』
「既婚者が休むからムリ」
『ははは。ま、じゃあ詳細はまた送るわ』
「おう、了解」
『んじゃまたな』

 通話を終えると、瑞姫が訊ねてきた。
「五月五日、何かあるの?」
「ああ、僕の誕生日なんだ。祝ってくれるんじゃないかな。あいつ意外とマメなんだよ」
「こどもの日で覚えやすいね」
「毎年祝日だしこどもの日のお祝いと一緒にされまくったけどね」
 ふふ、と笑う。
「じゃあ、大人になったから誕生日いっぱいお祝いしなくちゃね」
「瑞姫も祝ってくれる?」
「うん、もちろん。……欲しいものは、ある?」
 一番に浮かんだのは『リボンを結んだ瑞姫』だったけれど、そこは一応思いとどまる。いや、やってくれそうだけれども。
 僕は無難に、「瑞姫がくれるものなら何でも嬉しい」と答えておいた。大丈夫、嘘は言っていない。


 午後は、『気持ちよかったこと』の三つ目を実行することにした。折り畳まずによけてあった『バイブデート』だ。

 いつかと同じように、薄型の乳首ローターをブラジャーの下に着けて、バイブ固定パンツの下にリモコンバイブ、アナルは違和感の少ないアナルプラグに。今日はちょっと長くなりそうだったからその辺は配慮だ。
 服を着てしまえばまったくそんな風には見えないが、何度エッチなことをしても瑞姫は慣れずに恥ずかしそうにしてくれるのがかわいい。

 その状態で、銀座にある瑞姫の好きな紅茶専門店へ行って、その後秋葉原でゲームをいくつか買った。

 紅茶専門店はかなりお洒落なお店なので、瑞姫の羞恥心はかなり上がっていたようだ。
 二階の喫茶にも空きがあったので、ケーキとお茶も楽しむことにしたが、瑞姫は店員が近くに来るたびに緊張しているようだった。

 秋葉原では、先にレトロなゲームソフトを扱う中古店を巡って、最後にエッチなゲームのコーナーに立ち寄った。
 わざと過激なイラストのゲームをいくつか手に取らせて、一本選んでもらった。
 パッケージには縛られている女の子や三角木馬、鞭や蝋燭なんかも描かれているので、レジへ持っていかせると瑞姫は死ぬほど恥ずかしそうだった。
「でも瑞姫、この絵にあることほとんど経験済みだよね?」
と耳元で囁いたときの真っ赤な顔がこれまためちゃくちゃエロ可愛かった。
 なんだかもう、こういうエッチなプレイは僕達の日常になってしまっている。


 で、今は買ってきたエッチなゲームを起動したところだ。
 もう今夜は夕飯も食べたし、お風呂にも入って、あとは適当な時間に寝るだけだ。

 ちょっと凌辱系っぽいので、僕にしても瑞姫にしてもストーリーが刺さるかはわからなかったが、とりあえず買ったので一緒に見てみることにして、どちらかが嫌悪感を抱くようならばそこでやめてフリマアプリで売ってしまおうということになっている。

 主人公は、とある国の王室で雇われた教育係だった。なんでも、その主人公が教育係になると、どの貴族令嬢も美しく淑やかな淑女になれると評判なのだという。で、噂を聞き付けた国王も自分の娘たちを教育して欲しいと招いたわけだ。
 で、その教育のカラクリが性的な飴と鞭ってことらしい。

「姫を教育するんだって。瑞姫も姫だから一緒だね」
 そう言うと、瑞姫はぱっと顔を赤くして目が泳ぐ。

 最初の攻略対象は、一番わがままで高飛車な次女だ。
 そもそも国王の命令すら聞かず、主人公と顔を合わせようともしない次女をどうするのかと思ったら、いきなり薬を盛って眠らせ、両手首を縛ってベッドに固定している。起きて騒がないように、口には猿轡付きだ。
 さらに、抵抗しまくる次女を鞭で叩く。むぐむぐと猿轡のまま抗議する次女に、
『国王陛下に訴えますか? 残念、陛下には鞭の使用許可を得ておりますからね』
と言い放つ。
 こういうのはもう少し易しめの行為から入るものだと勝手に思っていたが、わりと最初からハードだ。
 さらにハードなことに、涙目になって多少大人しくなったところで貞操帯を履かせる。排泄穴のないタイプで、
『明日からはきちんと教育を受けてくださいね。ああ、そのままでは排泄もできませんので、お手洗いへ行きたいときには私に声を掛けてください』
などと、一晩で矯正教育体制を敷いてしまった。
 ううむ、確かにやり手の教育係だ。

 瑞姫の様子を窺うと、少し眉間にシワを寄せながらも、嫌悪感はなさそうで、話の続きが気になっているようだ。

「瑞姫も、教育しなきゃいけないかな?」
 ぴったり横に座って腰を抱きながら訊くと、ぴくり、と反応する。
「同じようにしてみる? 手首縛って、ベッドに固定して、お尻叩いて……鞭と貞操帯はないけど……トイレに行きたいときには許可をもらわないといけないの」
 想像してみたのだろう。少し息が荒くなっている。
「明日と明後日はまた仕事だから、明々後日の土曜日かな……ゲームと同じにするなら、金曜の夜からか。連休だから、たっぷり教育してあげられるよ」
「そんな、の、恥ずかしい、よ……」
「大丈夫、瑞姫の嫌いな『汚いこと』はしないよ。恥ずかしいことだけ。瑞姫は恥ずかしいこと、大好きだもんね」
「や……そんな、こと……」
「そっか、お仕置きは今日からしなくちゃいけないのか。嘘をつく子は、お仕置きだよね?」
「あ……ん……ごめん、なさい……」
「恥ずかしいこと、好きだよね」
「は、い……好き、です……」
 もうお仕置きされたいのか、腰をもじもじと揺らしている。
「ふふ、お仕置きは後でね。もう少しゲームを進めてみようか」

 そうしてゲームを進めていくと、思ったより凌辱より羞恥プレイ寄りの内容で楽しめるものだった。
 途中で貞操帯の中には『知り合いの魔導師に作ってもらった』という、バイブやローターに代わるものが仕込まれていって、言うことを聞かなかったり、淑女らしからぬ言動をしたりすると、それらが動作するなんていう話もあった。貴婦人同士のお茶会の席で動いたりすると、プライドの高い次女は必死に我慢して取り繕ってみせる。
 高飛車な次女には、羞恥プレイが合っているのかもしれなかった。
 別に瑞姫は高飛車ではないけれど、羞恥に耐える描写は瑞姫好みだ。

 あとは、ゲームのシステムで各種パラメータを上げていかなければならないので、毎夜自由に選択できるお仕置きタイムが用意されていた。
 パラメータが上がっていくと、使える道具やできること、耐えられる時間が増えていくお楽しみタイムになっているらしい。最初は鞭や手枷くらいしか使えなかったものが、バイブやローター(のような魔道具)なども使えるようになっていく。『???』と伏せられているコマンドがかなりたくさんあるので、どんなものが増えていくのかちょっと楽しみだ。

 僕も瑞姫もわりとハマってしまったが、残念ながら僕は明日終日仕事だ。
 十二時を回ったところでゲームを中断し、ベッドへと移動した。
 そのまま寝ようとする瑞姫を四つん這いにさせて、ショーツを脱がせる。
「嘘ついたお仕置きは、今日しておかないとね」
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