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虐めて、愛して

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 普通の女の子なら、迷わずベッドだったのだろう。
 そもそも僕が普通なら、瑞姫に聞くまでもなく、ベッドに連れて行っただろう。

 でも、僕達は拘束椅子を選んだ。
 つい先刻同じところに彼女を座らせた時には、そんなに興奮もしなかったけれど、今度はめちゃくちゃ興奮する。

 まずは、手を顔の横にあるベルトで固定する。
 きゅっと締めると、それだけで「んっ」と気持ち良さそうに目を細める。
 脚も足首から順に固定していくと、「あっ、んっ、」と少しずつ呼吸を荒くしていった。
 動けなくなった彼女の片方の乳首を舐めながら、もう片方の乳首を指で捏ねるように触る。
「やっ、ああっ、ん、ふっ、ん、ああんっ!」
 声を抑える必要がないからなのか、先の奴隷ごっこで敏感になっていたからなのか、気持ち良さそうに喘ぐ。
 軽く歯を立てて引っ張ると、さらに「ああああっ!」と哭いた。
 手で触っている方も、ぎゅっと摘んで捻るようにしながら引っ張ってやる。
 めちゃくちゃ気持ち良さそうだ。

 顔を秘部へと移動させると、彼女は「や、あ……」と恥ずかしそうに声をあげた。
 手で広げると、ピチャ、と音がして糸が引き、さらに中からはつう、と愛液がこぼれ落ちた。
「瑞姫、もうこんなにぐちゃぐちゃなの? いつから濡れてたのかな?」
 ちゅ、と濡れた割れ目にキスをすると、「んっ、」と声を漏らし、お腹にきゅっと力が入る。
「ねえ、いつから濡れてたの?」
 今度は、ペロリと舐めてやる。
「んっ、あっ、はぁ、……キス、してた、とき……」
「え、瑞姫、キスだけでこんなにしちゃったの?」
 驚いて、少し素に戻ってしまう。
 瑞姫は真っ赤だ。
「だって……奏輔さん、激しいんだもん……」
「そっか、瑞姫はキスだけで濡れちゃう淫乱さんなのかぁ」
 言いながら、僕はちょっと嬉しかった。SMの行為ではなく、僕自身に興奮してくれた証のような気がした。
「キスしながら、エッチなことを考えてたの? それとも、いじめられることを考えてたのかな?」
 今度は耳元で訊いてみる。
 ついでに耳も舐めると、また甘い声がする。
「そんな、んっ、こと、考えて、な……やっ、んんっ、た、だ、気持ち、よくって……」
 どうやら瑞姫は、耳も弱いらしい。
「キスだけで濡れちゃうなら、もう他は虐めなくてもいいのかな。こことか、こことか、こことか……」
 乳首、秘部、お尻、と触りながら訊くと、少女のようにただ可愛かった恥じらいの表情が、急に淫靡な影を落とした。
「や……だ……」
「嫌じゃわからないな。姫は僕にどうしてほしいのかな?」
 瞳は潤み、頬は紅潮して、半開きの唇からは熱い息が漏れている。
「……いじめて、ほしい……」
「気持ちいいことじゃなくて、虐めて欲しいんだ」
「う……いじわる……」
「虐めて欲しいなら、合ってるんじゃない?」
「や……だ……身体も、いじめて……」
「うーん、どうしようかな。僕はこのまま、エッチな椅子に縛られて動けない瑞姫を眺めてるだけでも楽しいんだけど? 充分いい眺めだしね」
 放置を示唆されると、瑞姫はいっそう淫猥な空気をまとい、切なそうに喘ぐ。
「や……おねが、い……」
「僕にお願いすると、痛いことも恥ずかしいこともいっぱいするよ?」
 こくり、と頷く。
「痛いこと、して……?」
「ねえ、瑞姫。ここって、SMルームなんだよ。こんなとこでそんなこと頼んだら、どうなるかわかってる?」
 今度は、ごくり、とツバを飲み込む。
「痛いことも、恥ずかしいことも、いっぱい……して、ください……」

 瑞姫の言葉は、僕の嗜虐心を煽った。が、僕は彼女をじわじわと虐めたかった。
 彼女の切なく懇願する顔を、もっと見ていたい。

 僕は、ゼリー飲料のついていない洗濯ばさみを取り、彼女の乳首につけた。
 それだけで、彼女は声をあげて歓ぶ。
 拘束を全て解いて立たせると、鉄格子のついた檻へと連れて行く。
 檻の中には磔台があって、そこに手だけを固定した。
 バイブを持ってきて、下の口に咥えさせる。
「じゃあ、これから姫の本気を見せてね。僕に虐めて欲しいなら、まずは自分で頑張らなくちゃ」
 そう言って、バイブの電源を入れる。
「自分でバイブを外しちゃう子には、何もしてあげないよ?」

 牢屋を閉じると、ものすごい背徳感だ。
 磔にされて、乳首に洗濯ばさみを付け、バイブを必死で咥えている女の子を、鉄格子越しに見るなんて。

 しばらく放置して、牢屋を開ける。
 まだバイブを咥えてはいるが、だいぶ落ちかかっていた。
「こんなに出しちゃってるってことは、瑞姫はさぼってたのかな?」
 ふるふると、懸命に頭を振る。
「本当に、僕に虐められたいの?」
「いじめられたい、です……」
「そっか。じゃあ、瑞姫が自分で、お仕置きを決めなさい」

 これまででいえば、お仕置きといえばお尻叩きだ。最長で連続二十六回。
 けれど、今日の瑞姫は……

「……鞭で、十回、打ってください……」

 なんとなく、僕もそう思っていた。
 ここにあるのはバラ鞭で、プレイ用に常設されているものだから、もちろん痛いのだろうけれど、傷にはならなさそうだった。さっきの『奴隷ごっこ』で確認できている。
 そもそも、『奴隷ごっこ』では、多少痕や傷になってもやると覚悟を決めていた。彼女はすでにゴールデンウィークなので、明日の月曜日も休みだから、腫れてもいい、と。
 だから、「思っていたよりは大丈夫だったけれど手より痛い」鞭を選ぶのだろう、と。

 瑞姫を檻から連れ出すと、まるでギロチンの処刑台のようなものの前に連れてきた。
 首と手首を穴に嵌め込むと、頭も手も抜けない代物だ。
 そこに瑞姫をセットすると、膝立ちでお尻を突き出すような姿勢になった。
 鞭を手に取って、彼女のお尻に振り下ろす。
 「あああああ!」と、さすがに痛そうな声があがる。しかし、「やめる?」と訊ねると、「や……お仕置き、して……」とねだった。
 二回、三回、四回、……十回を叩き終えると、見事に真っ赤に染まっていた。手とは違い、広範囲に赤い。

 ギロチンから開放して立たせると、もう彼女は恍惚とした表情を浮かべ、僕を見つめてくる。
(ああ……この顔……虐めたくなる……)

「よく頑張ったね。じゃあ、今度は僕が虐めてあげる。変態な瑞姫が気持ちいいことを、いっぱいしよう」

 お尻の痛そうな瑞姫を立たせたまま、僕はロープで彼女を後ろ手縛りにした。
 息を吸うたびに胸のロープが絞まるようで、「んっ、はぁ……」と声を漏らしている。
 先刻と同じように、天井のフックに吊るしたが、『奴隷ごっこ』の時とはまるで違った。
 彼女の苦しそうな気持ち良さそうな恍惚とした表情が、たまらなくエロい。

 次に、乳首に留めたままの洗濯ばさみに紐を通して、繋ぐ。
 その糸を、彼女に咥えさせた。
 糸は短いので、自分で自分の乳首を引っ張っているような形になる。
「ちゃんと咥えてないと、またお仕置きだよ?」
 こくり、と頷いたばかりに、自分で乳首を引っ張ってしまい、「んっ!」と感じているのがまたかわいい。

 「次はこっちだね」と、お尻の割れ目に指を差し入れる。が、きゅっとお尻に挟まれてしまう。
「このままじゃ触りにくいね」
 痛そうなお尻にはできるだけ触れないようにしたい。
 そこで、片方の太腿を縛って思い切り吊り上げた。さすがに、完全に宙吊りにするには知識がなさすぎる。
 太腿にぎゅっとロープが食い込み、局部を露わにして、片足でぷるぷると立つ姿は、やはり先刻とはまるで違う。

 丸見えになったお尻の穴にローションをつけて揉みほぐす。
 ローターをぽこり、と一つ入れる。
 さらに、新しく買ったローターも出して追加する。
「んっ、んんんん!」
 洗濯ばさみに繋がっている糸を咥えているのでよく聞こえないが、どうやら「二つも」と言ったようだ。
「大丈夫、バイブも入れてあげるよ」
 リモコンバイブを持ってきて、もう滴るほど濡れている秘部に入れる。そのまま何度か抜き差しすると、ぐちょぐちょと大きな音が聞こえた。
 身体が揺れてロープが食い込むのだろう、「んんっ!」と官能的な声が降ってくる。
 一度抜いて、バイブ固定用のショーツを持ってきた。お尻の布は少ないので大丈夫だろう。
 まず、立っている方の足をあげるように言った。つまりは、一瞬宙吊りになれということだ。
「んんんんん!」
 ロープに自分の全体重がかかって身悶える。
 ショーツを通して、足を下ろす許可を与えた。
「ああ、ごめんね。こっちの脚を解かないと履けないよね」
と、反対の脚のロープを解いた。
 「先にこっちを解いていれば、宙吊りにならなくてよかったね」と当たり前のことを言いながら、バイブとバイブ固定用パンツを履かせた。

 と、部屋の電話が鳴った。
 そろそろ時間だというので、帰り支度を考えて、一時間の延長を申し出た。
 後半の一時間は、驚くほどあっという間だった。

 瑞姫が咥えている乳首の糸を外してやって、「あと一時間だけど、何がしたい?」と訊いた。
 姫は、「お風呂に入りたい、かな」と笑った。
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