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第四章 新たな任務
第六十話 身体調査
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歩けば歩く程、あの綺麗だったアスケラの町が破壊されているのを嫌でも理解させられた。
私が『パビルサグ』と戦った所より、被害は少なそうだけれど……それでも建物の一部が壊れていたり、町の人々が互いに支え合いながら、怪我人を救助しているのを見ると胸がズキリと痛む。
「む、イグナート殿。どうやら無事……ではなさそうであるな?」
アンドレアスさんの声で、リュドヴィックさんに指示された場所まで辿り着いた事に気づいた。
「あっ……その……」
私が言葉に詰まっていると、アンドレアスさんが近くに寄ってきた。
「ふむ。強化魔法は切れているか……『パビルサグ』三匹でこれとは、困ったものであるな」
その言葉でベニーさんかダニーさんのどちらかが、三匹と報告していた事を思い出した。
「あ、の! 他の二匹は?」
私が訊くと、アンドレアスさんが顔を少し伏せながら教えてくれた。
「あの信号弾が出た後すぐに、二匹は宙を駆けて去っていったである。ただ……」
ただ……?
「被害は思ったより深刻である。死者も……出ているようであるな」
「そ、そんな!」
信じられない。いや、信じたくない。
そんな思いに駆られていると、アンドレアスさんが話を唐突に変える。
「被害については後ほど報告書をまとめるである。それより、イグナート殿は身体の治療及び……調査であるな?」
……はい?
「はなから調査はするつもりであった。まぁ、今は怪我の事もあるでな? 早速調査と行くである。案ずるな、痛くはないのである」
それにしては目が怖いんですけど……。
アンドレアスさんは、指をパチリと鳴らした。どこからかベニーさんとダニーさん? の二人が担架を持ってやって来て、あっという間に私は乗せられ、どこかに運ばれて行ったのだった。
****
「あ、あの~……?」
「案ずるなと言ったである」
そう言われましても……。
私は今、白い上下の服を着させられて大きな魔法陣の上に居させられている。好きな体勢で居ていいとはいわれたけど……私は立ち尽くしていた。
因みに、今いるのはアスケラ魔道士団本部の医務室だ。
幸いな事に、怪我は大した事なくただの打撲程度で済んだ。済んだのだけど……身体調査が……ね? これからなんだけど……怖いんです……!!
「身体調査って……何をするんですか?」
怖いので訊いてみると、アンドレアスさんはあっさりとした口調で説明を始めてくれた。
「なに、その魔法陣には『身体能力』『魔力検出』『種族特定』等の魔法が組まれていてな? ものの数分で対象を詳しく調査出来るのである。というわけで、始めるのである」
「えっ!? ちょっ!?」
待って! 覚悟が!! という言葉を発する前に、魔法陣は起動し、私は……優しい光に包まれていた。
身体がゆっくり宙に浮くのを感じる。
そして、足先からこれまたゆっくりとじんわり光が流れ込んでくる……気がする。
あっ……本当に怖くなかった……。
ホッとしていると、いつの間にやら光から解放され、私は床の上に立っていた。
「だから言ったのである。すぐに終わると」
「あ、はい……その……アリガトウゴザイマス」
バツが悪くて、ついカタコトになってしまった。ごめんなさい。そんな私の態度に、アンドレアスさんは特に気にもせず話を続ける。
「まぁいいのである。さて、調査の結果をまとめるのでな? イグナート殿はリュドヴィック殿達と合流するがよいであるぞ」
「わかりました……」
そう答えると、私はこの部屋へ入る前に通された、更衣室に入って着替えて退室したのだった。
私が『パビルサグ』と戦った所より、被害は少なそうだけれど……それでも建物の一部が壊れていたり、町の人々が互いに支え合いながら、怪我人を救助しているのを見ると胸がズキリと痛む。
「む、イグナート殿。どうやら無事……ではなさそうであるな?」
アンドレアスさんの声で、リュドヴィックさんに指示された場所まで辿り着いた事に気づいた。
「あっ……その……」
私が言葉に詰まっていると、アンドレアスさんが近くに寄ってきた。
「ふむ。強化魔法は切れているか……『パビルサグ』三匹でこれとは、困ったものであるな」
その言葉でベニーさんかダニーさんのどちらかが、三匹と報告していた事を思い出した。
「あ、の! 他の二匹は?」
私が訊くと、アンドレアスさんが顔を少し伏せながら教えてくれた。
「あの信号弾が出た後すぐに、二匹は宙を駆けて去っていったである。ただ……」
ただ……?
「被害は思ったより深刻である。死者も……出ているようであるな」
「そ、そんな!」
信じられない。いや、信じたくない。
そんな思いに駆られていると、アンドレアスさんが話を唐突に変える。
「被害については後ほど報告書をまとめるである。それより、イグナート殿は身体の治療及び……調査であるな?」
……はい?
「はなから調査はするつもりであった。まぁ、今は怪我の事もあるでな? 早速調査と行くである。案ずるな、痛くはないのである」
それにしては目が怖いんですけど……。
アンドレアスさんは、指をパチリと鳴らした。どこからかベニーさんとダニーさん? の二人が担架を持ってやって来て、あっという間に私は乗せられ、どこかに運ばれて行ったのだった。
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「あ、あの~……?」
「案ずるなと言ったである」
そう言われましても……。
私は今、白い上下の服を着させられて大きな魔法陣の上に居させられている。好きな体勢で居ていいとはいわれたけど……私は立ち尽くしていた。
因みに、今いるのはアスケラ魔道士団本部の医務室だ。
幸いな事に、怪我は大した事なくただの打撲程度で済んだ。済んだのだけど……身体調査が……ね? これからなんだけど……怖いんです……!!
「身体調査って……何をするんですか?」
怖いので訊いてみると、アンドレアスさんはあっさりとした口調で説明を始めてくれた。
「なに、その魔法陣には『身体能力』『魔力検出』『種族特定』等の魔法が組まれていてな? ものの数分で対象を詳しく調査出来るのである。というわけで、始めるのである」
「えっ!? ちょっ!?」
待って! 覚悟が!! という言葉を発する前に、魔法陣は起動し、私は……優しい光に包まれていた。
身体がゆっくり宙に浮くのを感じる。
そして、足先からこれまたゆっくりとじんわり光が流れ込んでくる……気がする。
あっ……本当に怖くなかった……。
ホッとしていると、いつの間にやら光から解放され、私は床の上に立っていた。
「だから言ったのである。すぐに終わると」
「あ、はい……その……アリガトウゴザイマス」
バツが悪くて、ついカタコトになってしまった。ごめんなさい。そんな私の態度に、アンドレアスさんは特に気にもせず話を続ける。
「まぁいいのである。さて、調査の結果をまとめるのでな? イグナート殿はリュドヴィック殿達と合流するがよいであるぞ」
「わかりました……」
そう答えると、私はこの部屋へ入る前に通された、更衣室に入って着替えて退室したのだった。
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