54 / 83
第四章 新たな任務
第五十四話 アンドレアスとの再会
しおりを挟む
リュドヴィックさんが手続きを終えたらしい。私達を見つけると、近くまでやって来た。
「これからアスケラ魔道士団本部に行く」
そうつげると私達を連れて役所を出たのだった。
****
役所の裏門から出ると、半円形の建物が丸い大きな建物を囲むように三棟並んでいた。
「えーっと、どれがアスケラ魔道士団本部です?」
「三棟に囲まれている大きな建物の方だ」
私が困惑しながら訊くと、リュドヴィックさんが教えてくれた。
「んじゃ、早速中に入る感じでいいんですよね?」
今度はオクト君がそう訊くと、リュドヴィックさんは頷く。
「ああ。中でアンドレアス殿と合流する予定だ」
アンドレアスさんかー……迷惑かけちゃったんだよね? どうしよう……正直、会いづらい……。
だけど私情を挟む訳にもいかず、私は大人しくみんなの後に続いて、アスケラ魔道士団本部へと足を踏み入れた。
中は、壁一面に本がこれでもかというくらい、みっちりと並んでいて、町中と同じような格好をした職員さん? がせわしなく動いていた。
入口付近の受付にまたリュドヴィックさんが向かおうとした瞬間だった。聞き覚えのある声が響く。
「良いのである。お待ちしていたぞ、ルクバト騎士団の諸君」
声のした方へ全員が顔を向ければ、頭上でホウキに乗ったアンドレアスさんがいた。
「久しいのである。我々の本部へようこそ。改めて歓迎するのである」
相変わらずの口調に安心したのもつかの間、アンドレアスさんは私を見て心配そうな声を発した。
「そやつは大丈夫なのであるか? あの暴走っぷりには手を焼かされたのであるが……?」
……申し訳ない気持ちが溢れてくる。本当にやらかしたんだな……私……覚えてないけど。
リュドヴィックさんが見上げたままで、アンドレアスさんに向かって口を開いた。
「その件も含めてお話を。……場所をお借りしても?」
「なるほどである」
そう一言呟くと、アンドレアスさんはホウキから降りて、私達の目の前に降り立った。
「着いてくるのである。部屋に案内するのである」
「感謝致します。アンドレアス殿」
リュドヴィックさんが代表してお礼を言うと、アンドレアスさんは小さく頷く。
「良いのである。では、参るのである」
****
私達が通されたのは大きくて広い、大会議室? って言えばいいのかな? とにかく、そんな感じで、木製の黒い長テーブルと椅子がズラリと並んでいた。
その一番奥の席にアンドレアスさんが座る。
「座ってどうぞである」
「では、失礼します。皆、着席だ」
リュドヴィックさん、ブリアック卿、オクト君、私の順番で、アンドレアスさんの対角上に座る。
それを確認すると、アンドレアスさんが口を開いた。
「では、本日の議題に早速入るのである。議題は『魔物達の活性化の原因について』であるな?」
「はい。そして……可能であれば、このイグナート・アウストラリスの身体調査もお願いしたいのですが?」
……はい? 今、身体調査って言った? 検査じゃなくて? っていうか、え?
「ちょ、えっ?」
思わず声を上げる私を、リュドヴィックさんが制する。
「イグナート、落ち着け。お前の『ギフト』についての調査だ。説明しなかったのは謝る。だが、必要な事だ。それに……この調査を受けて頂けるかは……アンドレアス殿及びアスケラ魔道士団に……」
私達のやり取りに、アンドレアスさんが割って入る。
「判断が委ねられるであるな。その件については、後回しで。こちらにも、そして……そちらにも時間が必要であると考える。よって、先ずは」
そこで一呼吸置くと、静かに話し出した。
「魔物達の凶暴化についてである。良いな?」
「これからアスケラ魔道士団本部に行く」
そうつげると私達を連れて役所を出たのだった。
****
役所の裏門から出ると、半円形の建物が丸い大きな建物を囲むように三棟並んでいた。
「えーっと、どれがアスケラ魔道士団本部です?」
「三棟に囲まれている大きな建物の方だ」
私が困惑しながら訊くと、リュドヴィックさんが教えてくれた。
「んじゃ、早速中に入る感じでいいんですよね?」
今度はオクト君がそう訊くと、リュドヴィックさんは頷く。
「ああ。中でアンドレアス殿と合流する予定だ」
アンドレアスさんかー……迷惑かけちゃったんだよね? どうしよう……正直、会いづらい……。
だけど私情を挟む訳にもいかず、私は大人しくみんなの後に続いて、アスケラ魔道士団本部へと足を踏み入れた。
中は、壁一面に本がこれでもかというくらい、みっちりと並んでいて、町中と同じような格好をした職員さん? がせわしなく動いていた。
入口付近の受付にまたリュドヴィックさんが向かおうとした瞬間だった。聞き覚えのある声が響く。
「良いのである。お待ちしていたぞ、ルクバト騎士団の諸君」
声のした方へ全員が顔を向ければ、頭上でホウキに乗ったアンドレアスさんがいた。
「久しいのである。我々の本部へようこそ。改めて歓迎するのである」
相変わらずの口調に安心したのもつかの間、アンドレアスさんは私を見て心配そうな声を発した。
「そやつは大丈夫なのであるか? あの暴走っぷりには手を焼かされたのであるが……?」
……申し訳ない気持ちが溢れてくる。本当にやらかしたんだな……私……覚えてないけど。
リュドヴィックさんが見上げたままで、アンドレアスさんに向かって口を開いた。
「その件も含めてお話を。……場所をお借りしても?」
「なるほどである」
そう一言呟くと、アンドレアスさんはホウキから降りて、私達の目の前に降り立った。
「着いてくるのである。部屋に案内するのである」
「感謝致します。アンドレアス殿」
リュドヴィックさんが代表してお礼を言うと、アンドレアスさんは小さく頷く。
「良いのである。では、参るのである」
****
私達が通されたのは大きくて広い、大会議室? って言えばいいのかな? とにかく、そんな感じで、木製の黒い長テーブルと椅子がズラリと並んでいた。
その一番奥の席にアンドレアスさんが座る。
「座ってどうぞである」
「では、失礼します。皆、着席だ」
リュドヴィックさん、ブリアック卿、オクト君、私の順番で、アンドレアスさんの対角上に座る。
それを確認すると、アンドレアスさんが口を開いた。
「では、本日の議題に早速入るのである。議題は『魔物達の活性化の原因について』であるな?」
「はい。そして……可能であれば、このイグナート・アウストラリスの身体調査もお願いしたいのですが?」
……はい? 今、身体調査って言った? 検査じゃなくて? っていうか、え?
「ちょ、えっ?」
思わず声を上げる私を、リュドヴィックさんが制する。
「イグナート、落ち着け。お前の『ギフト』についての調査だ。説明しなかったのは謝る。だが、必要な事だ。それに……この調査を受けて頂けるかは……アンドレアス殿及びアスケラ魔道士団に……」
私達のやり取りに、アンドレアスさんが割って入る。
「判断が委ねられるであるな。その件については、後回しで。こちらにも、そして……そちらにも時間が必要であると考える。よって、先ずは」
そこで一呼吸置くと、静かに話し出した。
「魔物達の凶暴化についてである。良いな?」
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる