私、男になっちゃった!?~ネナベしようと思ったら、イケメンエルフに転生&騎士団入りして英雄になります!?~【改題版】

河内三比呂

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第四章 新たな任務

第五十二話 戦果と魔法具と夢

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「おぉーい! イグナート!」

 私が馬車の所まで戻ると、既に倒し終えたらしいオクト君がこちらに手を振ってくれた。私も振り返しながら、オーガの角を見せる。

「おっ! お前も角か! やっぱそーなるよな!」

 オクト君も切り取ったオーガの角を見せてくれた。……私が倒したのよりちょっと大きくない?

 劣等感を少し感じながら、二人してリュドヴィックさんに角を提出する。

「二人共倒したか……。角の確認は完了だ。この袋に入れろ」

 そう言われて、私とオクト君が袋を見る。それは革のような素材で出来た、両手で持てるくらいの大きさの袋だった。

「あの……これ、入らないんじゃ?」

 私が訊くと、リュドヴィックさんが教えてくれた。

「これは『魔法具』という種類の道具の一種だ。この中に入れると、本部の『管理部』に転送される。……以前教えなかったか?」

 圧が強いです……リュドヴィック先生。でも、教えられたっけ? 毎日が目まぐるしくて覚えてないです……。

「スミマセン……」

 私が謝ると、リュドヴィックさんはため息を一つ吐く。

「まあいい。……今後はよく覚えておくようにな?」

 『次はないぞ?』という圧を感じながら、私達は再び馬車に乗り込んだ。

 ****

 それから私達は幾度となく、魔物達と遭遇するようになった。
 その度に馬車を降りては戦い、戦果を袋に積めるというのを繰り返す。
 さすがに慣れてきた。……きたけど……こんなに魔物が多いなんて……。

 本当に活性化してるんだなぁ……と嫌でも体感させられる。

「魔物自体は雑魚ばっかだけどよー、こんなに多いんじゃアスケラまで後どれくらいかかんだよー! なぁ?」

 オクト君に話を振られて、私も頷く。

「そうだね。予定してた日数より、遅れそうではあるかな……?」

 そんな会話をしていると、リュドヴィックさんが口を挟んできた。

「間違いなく予定より遅れるだろう。……雑魚だからと抜かるなよ? 侮りが最悪の被害をもたらすこともある」

 冷静に、だけどどこか悲しげに言われ、私とオクト君は口をつぐむ。

 ……確かに雑魚だから……そう思い始めていたかもしれない。その結果を……私は知ったはずだ。なのに……。

 後悔と自分の浅はかさに落ち込んでいると、横に座っていたオクト君が私の左肩を軽く小突く。

「まぁ。俺も、お前もこれからつーことでさ! 頑張ろうぜ!」

 こうやって、元気付けてくれるオクト君が眩しい。

「うん……。だね!」

 そう返事を返すと、私達はまた静かに馬車に揺られるのだった。

 ****

 ……夢を見た。

 焔を纏ったが、数多の魔物達を焼き尽くしていく夢。

 その焔はどんどん強く、熱くなっていく。

 ――そして、俺の身体は……燃え盛る――。

「はっ!!」

 思わず声を上げてしまった。リュドヴィックさんとオクト君が驚いた顔でこちらを見てくる。

 なんの夢だったかわからないけど、凄く……変な夢だった気がするな……。

「イグナート大丈夫か?」

 オクト君が心配そうに声をかけてくれる。

「あ、うん……ありがとう」

 そう答えると私は顔を伏せる。もう考えないようにしよう……。

 ……また夜を迎える。魔物に警戒しながらの夜が――。
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