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第四章 新たな任務
第五十一話 魔物との遭遇と戦い
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ルクバトを出て五日。
今、私達は森を迂回するルートを進んでいた。というのも、森には魔物達が沢山いるからなんだとか。
ちなみに私は、基本的には馬車での移動と休憩、そして野営を繰り返し、その合間にブリアック卿から双剣の扱い方を学ぶ……そんな一日を過ごしている。
正直、ブリアック卿の教え方はかなり上手い。剣の振り方、間合いの取り方等々。
まぁ、必要最低限の会話しかしてもらえないけど……それが緊張感を増して、逆にありがたい。
突然、予定外のタイミングで馬達が止まる。
「何事だ?」
リュドヴィックさんがブリアック卿に訊く。
「……魔物、前方より」
「魔物の数は何体だ? 種族等わかるか?」
リュドヴィックさんが冷静に再度尋ねると、ブリアックさんが鼻をピクりと動かした。
「その数、三。種族、オーガ」
静かにそれだけ告げた。
「オーガっつうと、結構デカいなー。どうするんです? リュドヴィック卿?」
オクト君が訊く。彼も冷静だな……。動揺してるの私だけか……。
オーガと言うのは、ゴブリンがよく小鬼と称されるのとは対処的に、大鬼と称される三メートルはあるだろう図体をした魔物のことだ。
この世界の図鑑を読ませてもらって、初めて知った違いだったけれど……それが今、目前に迫っていると思うと……緊張するし、怖い……。
「仕方ないか……。総員戦闘準備!」
リュドヴィックさんの号令で、私達は馬車から降りる。ブリアック卿は馬達を守るため、お留守番だ。
私達は武器を構え、迫ってくるオーガ達の前に出る。予想以上に大きい!
リュドヴィックさんとオクト君が長剣に盾で、私だけ双剣で応戦する。
「各自、散開してオーガを倒すぞ!」
「了解です!!」
「わ、わかりました!」
オクト君が右、リュドヴィックさんが真ん中、私が左に散開する。オーガが大きな棍棒を振り回してくる。
私目掛けて振りおろされた棍棒を慌ててかわすと、オーガの間合いに入り、右脚に狙いを定めて、回転しながら双剣で切りつける。
双剣は手数が命だ。だから、一回で終わると思わず、何度も攻撃しろとリュドヴィックさんにも、ブリアック卿にも言われていた。
私は、オーガの大振りな攻撃を必死にかわしつつ、何度も右脚を狙って切りつける。
「ウガガガッ!!」
苛立ちげにオーガは叫ぶと、左手で私を掴もうとしてくる。……これは……ヤバい!?
私は必死にオーガの攻撃をかわしながら、どうにか間合いに入れないかと模索する。だけど、隙がない!
どうしよう!? いや、落ち着け! こういう時は!
気づけば私は、森近くの木々が後方に迫っていた。
……これだ!
私を追い込んだと思ったのだろう。ニヤニヤ笑いながら、オーガが棍棒を振りおろしてきた。なので、それを合図に木の枝に飛び乗ると、私は上からオーガの首筋……頸動脈目掛けて双剣で勢いよく切りつけた。
「グッ!?」
どうやら頸動脈の部分は急所かつ皮膚も薄かったらしい。気持ちの悪い声を上げながら、オーガは倒れた。念の為、トドメの一撃を加える。
「はぁ、はぁ……!」
オーガ一匹にここまで神経をすり減らす自分と、 正直……トドメを刺せるくらいには冷酷になれた自分に驚いた。
……私も戦いに慣れてきたのかな……。
どんな感情でいればいいのかわからない。だけど、とにかくオーガを倒した証明を……と、あらかじめ渡されていた携帯用のナイフで角を一本根元から剥ぎとり、みんなと合流するため歩き出した。
今、私達は森を迂回するルートを進んでいた。というのも、森には魔物達が沢山いるからなんだとか。
ちなみに私は、基本的には馬車での移動と休憩、そして野営を繰り返し、その合間にブリアック卿から双剣の扱い方を学ぶ……そんな一日を過ごしている。
正直、ブリアック卿の教え方はかなり上手い。剣の振り方、間合いの取り方等々。
まぁ、必要最低限の会話しかしてもらえないけど……それが緊張感を増して、逆にありがたい。
突然、予定外のタイミングで馬達が止まる。
「何事だ?」
リュドヴィックさんがブリアック卿に訊く。
「……魔物、前方より」
「魔物の数は何体だ? 種族等わかるか?」
リュドヴィックさんが冷静に再度尋ねると、ブリアックさんが鼻をピクりと動かした。
「その数、三。種族、オーガ」
静かにそれだけ告げた。
「オーガっつうと、結構デカいなー。どうするんです? リュドヴィック卿?」
オクト君が訊く。彼も冷静だな……。動揺してるの私だけか……。
オーガと言うのは、ゴブリンがよく小鬼と称されるのとは対処的に、大鬼と称される三メートルはあるだろう図体をした魔物のことだ。
この世界の図鑑を読ませてもらって、初めて知った違いだったけれど……それが今、目前に迫っていると思うと……緊張するし、怖い……。
「仕方ないか……。総員戦闘準備!」
リュドヴィックさんの号令で、私達は馬車から降りる。ブリアック卿は馬達を守るため、お留守番だ。
私達は武器を構え、迫ってくるオーガ達の前に出る。予想以上に大きい!
リュドヴィックさんとオクト君が長剣に盾で、私だけ双剣で応戦する。
「各自、散開してオーガを倒すぞ!」
「了解です!!」
「わ、わかりました!」
オクト君が右、リュドヴィックさんが真ん中、私が左に散開する。オーガが大きな棍棒を振り回してくる。
私目掛けて振りおろされた棍棒を慌ててかわすと、オーガの間合いに入り、右脚に狙いを定めて、回転しながら双剣で切りつける。
双剣は手数が命だ。だから、一回で終わると思わず、何度も攻撃しろとリュドヴィックさんにも、ブリアック卿にも言われていた。
私は、オーガの大振りな攻撃を必死にかわしつつ、何度も右脚を狙って切りつける。
「ウガガガッ!!」
苛立ちげにオーガは叫ぶと、左手で私を掴もうとしてくる。……これは……ヤバい!?
私は必死にオーガの攻撃をかわしながら、どうにか間合いに入れないかと模索する。だけど、隙がない!
どうしよう!? いや、落ち着け! こういう時は!
気づけば私は、森近くの木々が後方に迫っていた。
……これだ!
私を追い込んだと思ったのだろう。ニヤニヤ笑いながら、オーガが棍棒を振りおろしてきた。なので、それを合図に木の枝に飛び乗ると、私は上からオーガの首筋……頸動脈目掛けて双剣で勢いよく切りつけた。
「グッ!?」
どうやら頸動脈の部分は急所かつ皮膚も薄かったらしい。気持ちの悪い声を上げながら、オーガは倒れた。念の為、トドメの一撃を加える。
「はぁ、はぁ……!」
オーガ一匹にここまで神経をすり減らす自分と、 正直……トドメを刺せるくらいには冷酷になれた自分に驚いた。
……私も戦いに慣れてきたのかな……。
どんな感情でいればいいのかわからない。だけど、とにかくオーガを倒した証明を……と、あらかじめ渡されていた携帯用のナイフで角を一本根元から剥ぎとり、みんなと合流するため歩き出した。
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