私、男になっちゃった!?~ネナベしようと思ったら、イケメンエルフに転生&騎士団入りして英雄になります!?~【改題版】

河内三比呂

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第三章 初任務と

第四十四話 【怒焔の矢】

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「【怒焔の矢イグナイト・アロー】……!」

 俺がそう唱えた瞬間、両腕から焔の矢が形成される。

「な!? まさか『ギフト』か!?」

 また誰かが何か言ったが、俺には関係ない。
 とにかく今は……アイツらを焼き殺す!!

 俺は形成した矢をゴブリン共に向けて放った。

「何してんだよ!? 人質……が?」

 また誰かが言ってんな……大丈夫だ。俺の矢は標的しか焼かねぇからな……!!

「焼けろ。焼けろ。焼けて。焼けて。焼き殺されろ……」

 俺はブツブツと呟きながら、ゴブリン共に接近していく。
 ヤツらは俺にビビったのか散り散りになろうとしやがる。

 ……させるか!
 奪った生命の分を償え!
 壊した全てのもの達に詫びろ!!

 俺はヤツらが逃げないように、【怒焔の矢】を囲むように放つ。
 周りは焼けず、ただその焔に当たったゴブリン共だけがダメージを負う。

 肉の焼ける臭いがする。酷い悪臭だ。だが、それがいい。

 焼けろ。焼ケロ。ヤケロ。

 コバエみたいに俺に向かってくるゴブリン共もいるが、全部焼いた。

 焼いて。焼いて。焼いて。焼いて。焼イテ。ヤイテ。

 全てを焼き殺した後も、灰になるまで焼いた。それでも足りなくて、もっと焼こうとしたら……首あたりに衝撃を受けて……俺は意識を失った。

 ****

「ううん?」

 ……あれ? 私……?

 気づけば私は、何時ぞやのような見知らぬ天井を見つめていた。

「お? 気がついたか~! はぁ~……全く! 心配かけんなよぉ~!!」

 声のする方へ顔を向けると、オクト君が少しホッとしたような顔をして椅子に座っていた。

「あ、あの、私?」

「お前、なんも覚えてねぇのか? やばかったんだぜ? つか、両腕痛くねぇか? 大丈夫か?」

 両腕? 言われて見ればなんか違和感……が!?

「いだぁ!?」

 両腕が重い! そして筋肉痛以上の痛み!!

「まぁだろうな! お前、両腕から火出してたんだぜ!! それもなんか……矢みたいな!」

 ……え? なにそれ怖いんだけど!?

「矢? あ、というか任務はどうなったのかな?」

 私が訊くとオクト君は静かに答えてくれた。

「それなら、お前の力でゴブリンは全滅。周囲に被害もねぇしで……いや、まぁ、お前が暴れまくったこと以外は問題なかったぜ?」

「う……スミマセンデシタ」

 そんなに酷い暴走してたの? やだ、記憶に全然ないよ~!

 そんなやり取りをしていると、扉の開く音がした。
 そこで私は、ようやくここがどこかの一室であることに気づいた。

「オクタヴィアン卿、イグナートは?」

 この声はリュドヴィックさんか……迷惑かけたんだろうな……。

「ああ、リュドヴィック卿! いいタイミングで!」

「リュドヴィックさん。すみませんでした……」

「起きたのか!?」

 早足で私に近づいてくるのがわかる。リュドヴィックさんは私の顔を確認すると、渋い表情をして口を開いた・

「身体に異常は……ありそうだな……」

「はい。両腕が痛いです……そして身体中だるいです……」

「そうか。イグナート、ここはアイナラミにある病院だ。……お前は一週間眠っていた」

 えぇ!? 一週間!?

「そう、ですか……」

 答えた瞬間、お腹がものすごい音で鳴った。

「まぁ一週間も、なんも食ってなきゃそうだわな」

 オクト君のフォローが痛い……。

「とにかく食事だな。オレが手配してくるから、引き続きオクタヴィアン卿、イグナートを頼む」

「了解です!!」

 そう言ってリュドヴィックさんが部屋を出ようとしてから、もう一度私の方へ向き直った。

「イグナート」

「はい……」

「お前、回復したら始末書と……それから一ヶ月の謹慎処分だ」

 やっぱり処分か……。
 私は妙な気分になりながら、静かに罰を受け入れる事にした。
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