私、男になっちゃった!?~ネナベしようと思ったら、イケメンエルフに転生&騎士団入りして英雄になります!?~【改題版】

河内三比呂

文字の大きさ
上 下
41 / 83
第三章 初任務と

第四十一話 アイナラミに着いて

しおりを挟む
 ルクバトを出発してから一週間後。
 野営にも慣れてきた頃……ようやく目的の町、アイナラミ付近まで辿り着いた。

「ここからは徒歩で行く。境界故に、アスケラ魔道士団との共同作戦になる。気を引き締めろ」

「了解です!!」

「わかりました!」

 オクト君と私が返事をするとリュドヴィックさんが頷き、三人で歩き出す。

 アスケラ魔道士団……か。正直、かなりワクワクしている。というのも、アスケラは魔法都市らしいのだ。ルクバトにも魔法専門部署があったりするみたいだけど、一般的ではないんだとか。ちなみに、魔法が使える魔法騎士はいないらしい……残念。

 しばらく歩くと、アイナラミの町が見えてきた。少し南国っぽい木々や家々が並ぶ、The常夏って感じだ。……ちょっと、いやかなり団員服が暑いけどね!

 町に入ると、町人達が期待半分、不安半分って感じの表情で私達を見ている……気がする。

「リュドヴィックさん、どこに向かっているんですか?」

 私が訊くと、リュドヴィックさんは前を向いたまま答えてくれた。

「集会所だ。そこで、町長とアスケラ魔道士団と合流する予定だ」

 なるほど、集会所か。ん? でもゴブリンで魔道士団まで出てくるなんて……そんなにヤバかったりするの? え? 嘘でしょ?

「どうした?」

 私の態度を不審に思ったリュドヴィックさんが訊いてくる。

「いえ、なんでもありません!!」

「そうか? 早く行くぞ」

「はい……」
 
 ……スミマセン、本当は不安でいっぱいです。

 ****

 集会所に着くと、案内係の人らしい若い女性が現れ、会議室に案内してくれた。

「どうぞ、中で町長がお待ちです」

「対応感謝致します。では、中へ失礼します」

 リュドヴィックさんに続いて私とオクト君もお礼を言って中に入る。すると、そこには壮年の白髪頭の老人……というか多分町長さん? と、藍色のとんがり帽子にローブを纏った、いかにも『魔道士』って感じの人達が三人、綺麗に並べられた長テーブルを挟んで座っていた。

「よくおいで下さいました。私がこの町の町長でございます。そして……」

「我々が『アスケラ魔道士団』である。貴殿らの協力感謝である。我が『アンドレアス・コレット』、上級一等魔道士である。残りの二人が新米共、『ベニー・ブッチャー』と『ダニー・ファウラー』である。よろしくである。」

 赤いロングヘアに、右目に眼帯を付けたイケメンな男の人がそう言って、座っていた椅子から立ち上がり両手をクロスさせて頭を下げた。
 続いて、どっちがどっちなのかわからないけど、残りの二人も同じポーズをとった。
 なるほど、これがアスケラ式の挨拶なのね。

「自分がリュドヴィック・エアラ。ルクバト聖騎士二等騎士です。そして、オクタヴィアン・クレヴリー下級二等騎士とイグナート・アウストラリス下級二等騎士です。今回の任務、よろしくお願い致します」

 そう言って三人でルクバト式の挨拶で返す。アンドレアスさんは私達を見ると、私の方へ視線を向けて来た……気がする。

「ふむ? 片方はともかく、もう片方は妙な魔力であるな? まぁ、良いか。して、町長殿よ。あらためて今回の任務について話して頂きたいである!」

 ……語尾それでいいの? ていうか妙な魔力ってなに!?

 内心疑問だらけだったけれど、立ち上がっていた全員が席に着く。
 それを確認してから、町長さんが話はじめた。

「それでは……あの凄惨な事件から早いもので……」

 えっ、ちょっと待って。凄惨な事件!?

 動揺しているのは私だけではなかったようだ。オクト君と……あと、ベニーさんとダニーさんも驚いていた。

「凄惨な事件ってなんですか?」

 勇敢にもオクト君が訊く。さすが!!

「そのご様子だと、あの村の事件については部下の方々には話されていないのですね?」

 町長さんの確認に、リュドヴィックさんとアンドレアスさんが同時に頷いた。

 二人共知ってたんですか!? なら教えておいて下さいよ!

「コホン。では、あらためてあの凄惨な事件から話させて頂きますね」

 みんなが頷くので、私も頷いてしまったけれど……えっゴブリンってそんなに怖ろしい魔物なの!?
 私の動揺が収まらない中、話は進んで行くのだった――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

処理中です...