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第三章 初任務と
第四十話 野営
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布を組み立てた木枠にあわせて張り、テントを作る。
そして、手頃な石を並べて火を炊いた。
その頃にはすっかり日が暮れて、周囲を静寂が包んでいた。
昼とは違う感覚に戸惑いながら、お鍋を焚き火にセットする。
中身は乾燥キノコたっぷりのキノコ鍋だ。
今はヌンキの下月……つまり六月なのはずなんだけど、夜は冷える。
だから、温かいお鍋がしみ渡る。美味しい……!!
みんなで食べ終わると、御者の騎士さんが先に眠る。多分結構ベテランさんなのかな? あんまり喋ってくれないし……顔、兜で見えないけど。とりあえず、体格的に男の人だとは思う。
この騎士さんには、運転してもらうという役割があるため、たっぷり寝てもらう必要があるのだ。
だから見張りは、私、オクト君、リュドヴィックさんの三人で交代になる。
一番手は私だ。うわぁ~緊張するなぁ。
「イグナート。何かあったらすぐに起こせよ?」
「遠慮なくな~!!」
リュドヴィックさんとオクト君がそう声をかけてテントに入って行った。
さっき感じた、夜独特の静寂にくわえて、近くに人がいない寂しさ、それらが私を襲う。
うわぁ……近くに誰もいないって……こんな感覚なんだ……。
一人の寂しさを紛らわせるため、夜空を見上げる。
……私、今日空見てばっかだな……。
まぁ、やることないからしょうがないよね!!
「綺麗……だな」
私は一人呟くと、四つの月を見つめる。
この世界の月は赤、青、緑、黄色の四色があるのだ。大きさもそれぞれ違っていて、黄色が一番大きく、順に青、緑、赤とどんどん小さくなっていく。
もうだいぶ見慣れたけど、やっぱり不思議だ。
ちなみに、月の満ち欠けは黄色い月しかないらしい。
……謎すぎる。
****
「おーし、交代すっぞ~」
時間ピッタリに、オクト君が起きてきた。私はようやく少し気を緩める事ができた。
「ありがとう。じゃ、後はよろしく」
そう言って私はテントに入って行く。
中に入ると、リュドヴィックさんが規則正しい寝息を立てて横向きに寝ていた。
そういえば、リュドヴィックさんとは一緒に寝たことなかったな……。裸の付き合いはあるけど。
なるべく離れて私は横になった。
****
《貴殿は未だ『勇者』の領域に至らず》
またこの声か……。なに?
《『ギフト』を解放されたし》
出来るものならとっくにやってます!!
《否。貴殿はまだ認めておらぬ》
なにをですか……?
《貴殿だ》
……はぁ?
《自覚されよ。認識せよ。目覚めよ》
……ならヒントの一つや二つくれませんか?
《それならば既に……》
「おい……イグナート。起きろ。……起きろ」
この声は……リュドヴィックさんか。私はゆっくりと身体を起こし、伸びをする。以外と寝られたな~と思ってふと視線をリュドヴィックさんと合わせると、心配そうな顔をしていた。
「え、あ、あの?」
「お前、うなされていたが……大丈夫か?」
えっ!?
「そうでしたか? 全然覚えてないです……」
なんかイライラしたのは覚えてるけど……。
「そうか? ならいいが……。片付けをして出発する。準備するから手伝え」
「はい」
まだちょっと心配そうな顔をされたけど私は笑顔で返し、テントから出た。もう起きていた御者の騎士さんとオクト君が既に片付けをはじめていた。
「おー、イグナート! おはよーさん!!」
「オクト君、おはよう! ……あの、おはようございます」
御者の騎士さんにも挨拶してみたけど、挨拶のポーズだけ返された。そんなに声出したくないのかな?
気を取り直して私はみんなと一緒に片付けをし、馬車に乗り込んだのだった。
そして、手頃な石を並べて火を炊いた。
その頃にはすっかり日が暮れて、周囲を静寂が包んでいた。
昼とは違う感覚に戸惑いながら、お鍋を焚き火にセットする。
中身は乾燥キノコたっぷりのキノコ鍋だ。
今はヌンキの下月……つまり六月なのはずなんだけど、夜は冷える。
だから、温かいお鍋がしみ渡る。美味しい……!!
みんなで食べ終わると、御者の騎士さんが先に眠る。多分結構ベテランさんなのかな? あんまり喋ってくれないし……顔、兜で見えないけど。とりあえず、体格的に男の人だとは思う。
この騎士さんには、運転してもらうという役割があるため、たっぷり寝てもらう必要があるのだ。
だから見張りは、私、オクト君、リュドヴィックさんの三人で交代になる。
一番手は私だ。うわぁ~緊張するなぁ。
「イグナート。何かあったらすぐに起こせよ?」
「遠慮なくな~!!」
リュドヴィックさんとオクト君がそう声をかけてテントに入って行った。
さっき感じた、夜独特の静寂にくわえて、近くに人がいない寂しさ、それらが私を襲う。
うわぁ……近くに誰もいないって……こんな感覚なんだ……。
一人の寂しさを紛らわせるため、夜空を見上げる。
……私、今日空見てばっかだな……。
まぁ、やることないからしょうがないよね!!
「綺麗……だな」
私は一人呟くと、四つの月を見つめる。
この世界の月は赤、青、緑、黄色の四色があるのだ。大きさもそれぞれ違っていて、黄色が一番大きく、順に青、緑、赤とどんどん小さくなっていく。
もうだいぶ見慣れたけど、やっぱり不思議だ。
ちなみに、月の満ち欠けは黄色い月しかないらしい。
……謎すぎる。
****
「おーし、交代すっぞ~」
時間ピッタリに、オクト君が起きてきた。私はようやく少し気を緩める事ができた。
「ありがとう。じゃ、後はよろしく」
そう言って私はテントに入って行く。
中に入ると、リュドヴィックさんが規則正しい寝息を立てて横向きに寝ていた。
そういえば、リュドヴィックさんとは一緒に寝たことなかったな……。裸の付き合いはあるけど。
なるべく離れて私は横になった。
****
《貴殿は未だ『勇者』の領域に至らず》
またこの声か……。なに?
《『ギフト』を解放されたし》
出来るものならとっくにやってます!!
《否。貴殿はまだ認めておらぬ》
なにをですか……?
《貴殿だ》
……はぁ?
《自覚されよ。認識せよ。目覚めよ》
……ならヒントの一つや二つくれませんか?
《それならば既に……》
「おい……イグナート。起きろ。……起きろ」
この声は……リュドヴィックさんか。私はゆっくりと身体を起こし、伸びをする。以外と寝られたな~と思ってふと視線をリュドヴィックさんと合わせると、心配そうな顔をしていた。
「え、あ、あの?」
「お前、うなされていたが……大丈夫か?」
えっ!?
「そうでしたか? 全然覚えてないです……」
なんかイライラしたのは覚えてるけど……。
「そうか? ならいいが……。片付けをして出発する。準備するから手伝え」
「はい」
まだちょっと心配そうな顔をされたけど私は笑顔で返し、テントから出た。もう起きていた御者の騎士さんとオクト君が既に片付けをはじめていた。
「おー、イグナート! おはよーさん!!」
「オクト君、おはよう! ……あの、おはようございます」
御者の騎士さんにも挨拶してみたけど、挨拶のポーズだけ返された。そんなに声出したくないのかな?
気を取り直して私はみんなと一緒に片付けをし、馬車に乗り込んだのだった。
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