33 / 83
第二章 ルクバトにて
第三十三話 目立ちます
しおりを挟む
「それで? お前達は何をしているんだ?」
リュドヴィックさんが興味のなさそうな声で訊いてくる。……相変わらず、ベルちゃんが絡むと辛辣になるなぁ。
そんなことを考えていると、オクト君が変わりに答えてくれた。
「イグナートがルクバトを巡りたいってんで、案内していたところです。……なんでか、商店街は最後でいいとか言うもんで、この時間に……」
言われてみれば、私達、朝からなんにも食べてなくない? やっば! ごめんよ~オクト君!!
「ごめん、私のせいで……」
素直に謝ると、オクト君が笑顔で返す。
「気にすんなって! それよか、やっと商店街に来たんだし、ここいらで飯にしようぜ?」
「あ、ありがとう! そうしようか?」
そんな会話をしていると、ベルちゃんが何か言いたげな視線を送ってきた。なので、私が訊こうとすると、先にオクト君がリュドヴィックさん達に向かって声をかけてきた。
「リュドヴィック卿達も食事一緒にどうですか?」
さっすがコミュ力の塊、オクト君だ!!
「オレ達は……」
「いいんですか!?」
言いにくそうなリュドヴィックさんと嬉しそうなベルちゃん。二人の様子に、申し訳ないけどつい笑ってしまった。
「イグナート、何がおかしい?」
「ゴメンナサイ」
目に殺意が宿っているんですけど!?
「なにかご都合悪かったですか?」
オクト君って鈍感なの? リュドヴィックさんの視線を気にすることなく、訊く彼に私は驚いてしまう。
「オレ達はすでに食事を終えている」
あっ……。
リュドヴィックさんの横で、ベルちゃんがしょんぼりしているのがわかる。それを確認したからか、リュドヴィックさんが口を開いた。
「まぁ、お茶くらいならいいんじゃないか?」
さすがシスコン。義妹のそんな姿に耐えられなかったのか、リュドヴィックさんがそんな提案をしてきた。
「おっ、じゃあそうしますか! 場所はどうします?」
オクト君が訊くと、目を輝かせたベルちゃんが言う。
「じゃ、じゃあ! 喫茶店とかどうでしょうか!?」
ベルちゃんの鶴の一声で、場所が決定した。
****
「ふふふ、楽しいですね!」
嬉しそうなベルちゃんに、オクト君が笑顔で返す。
ってかさ……少しは周りを気にしよう?
私達が入ったのは、可愛らしいアンティーク調の調度品が飾り付けられた、いわゆる『女性が入ったら喜びそうなオシャレなお店』だったのだ。正直、今の私には……かなり……乙女心をくすぐるお店だ!!
待った待った! それよりも問題は視線だ。三人もの大の大人の男が座っているのだ……それも『イケメン』が。つまり、とにかく目立つ訳で……。
「イグナートさん、どうかしましたか?」
コテンと小首を傾げるベルちゃんに、なるべく笑顔で返す。
「いや、こういうお店、緊張しちゃってさ……。あ、ベルちゃんが悪いとかじゃないから! 食事も美味しそうだしね!」
私が必死に弁明すると、ベルちゃんは嬉しそうに返してくれた。
「ならよかったです!」
ホッとしていると、みんなどんどん注文を決めていく。
ベルちゃんは木苺のパフェ、リュドヴィックさんはコーヒー、オクト君はミートソースパスタを。
……思ったんだけど、『前世の私』がいた世界と食べ物たいして変わらなくない? さすがはゲームの世界だ……。
妙な感心をしていると、みんなから視線を感じる。あ、はい。すぐ決めます。
……待って? サンドウィッチがあるのはどういうこと? 『前の世界』のテレビで観たけど、確かサンドウィッチなんとかさんが考案したからサンドウィッチなんじゃなかった? どうなってるの、この世界……。
私は困惑しながらも、好奇心には勝てず、お店自慢の日替わりサンドウィッチを注文したのだった。
リュドヴィックさんが興味のなさそうな声で訊いてくる。……相変わらず、ベルちゃんが絡むと辛辣になるなぁ。
そんなことを考えていると、オクト君が変わりに答えてくれた。
「イグナートがルクバトを巡りたいってんで、案内していたところです。……なんでか、商店街は最後でいいとか言うもんで、この時間に……」
言われてみれば、私達、朝からなんにも食べてなくない? やっば! ごめんよ~オクト君!!
「ごめん、私のせいで……」
素直に謝ると、オクト君が笑顔で返す。
「気にすんなって! それよか、やっと商店街に来たんだし、ここいらで飯にしようぜ?」
「あ、ありがとう! そうしようか?」
そんな会話をしていると、ベルちゃんが何か言いたげな視線を送ってきた。なので、私が訊こうとすると、先にオクト君がリュドヴィックさん達に向かって声をかけてきた。
「リュドヴィック卿達も食事一緒にどうですか?」
さっすがコミュ力の塊、オクト君だ!!
「オレ達は……」
「いいんですか!?」
言いにくそうなリュドヴィックさんと嬉しそうなベルちゃん。二人の様子に、申し訳ないけどつい笑ってしまった。
「イグナート、何がおかしい?」
「ゴメンナサイ」
目に殺意が宿っているんですけど!?
「なにかご都合悪かったですか?」
オクト君って鈍感なの? リュドヴィックさんの視線を気にすることなく、訊く彼に私は驚いてしまう。
「オレ達はすでに食事を終えている」
あっ……。
リュドヴィックさんの横で、ベルちゃんがしょんぼりしているのがわかる。それを確認したからか、リュドヴィックさんが口を開いた。
「まぁ、お茶くらいならいいんじゃないか?」
さすがシスコン。義妹のそんな姿に耐えられなかったのか、リュドヴィックさんがそんな提案をしてきた。
「おっ、じゃあそうしますか! 場所はどうします?」
オクト君が訊くと、目を輝かせたベルちゃんが言う。
「じゃ、じゃあ! 喫茶店とかどうでしょうか!?」
ベルちゃんの鶴の一声で、場所が決定した。
****
「ふふふ、楽しいですね!」
嬉しそうなベルちゃんに、オクト君が笑顔で返す。
ってかさ……少しは周りを気にしよう?
私達が入ったのは、可愛らしいアンティーク調の調度品が飾り付けられた、いわゆる『女性が入ったら喜びそうなオシャレなお店』だったのだ。正直、今の私には……かなり……乙女心をくすぐるお店だ!!
待った待った! それよりも問題は視線だ。三人もの大の大人の男が座っているのだ……それも『イケメン』が。つまり、とにかく目立つ訳で……。
「イグナートさん、どうかしましたか?」
コテンと小首を傾げるベルちゃんに、なるべく笑顔で返す。
「いや、こういうお店、緊張しちゃってさ……。あ、ベルちゃんが悪いとかじゃないから! 食事も美味しそうだしね!」
私が必死に弁明すると、ベルちゃんは嬉しそうに返してくれた。
「ならよかったです!」
ホッとしていると、みんなどんどん注文を決めていく。
ベルちゃんは木苺のパフェ、リュドヴィックさんはコーヒー、オクト君はミートソースパスタを。
……思ったんだけど、『前世の私』がいた世界と食べ物たいして変わらなくない? さすがはゲームの世界だ……。
妙な感心をしていると、みんなから視線を感じる。あ、はい。すぐ決めます。
……待って? サンドウィッチがあるのはどういうこと? 『前の世界』のテレビで観たけど、確かサンドウィッチなんとかさんが考案したからサンドウィッチなんじゃなかった? どうなってるの、この世界……。
私は困惑しながらも、好奇心には勝てず、お店自慢の日替わりサンドウィッチを注文したのだった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる