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第一章 女から男に転生!?
第六話 ルクバト聖騎士団支部にて
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入ってすぐに、リュドヴィックさんと同じ騎士団服に身を包んだ数人の人達が見えた。
その人達がリュドヴィックさんの姿を見て、作業していた手を止める。
「リュドヴィック卿、お疲れ様です!」
一人の団員さん……でいいのかな? その人がリュドヴィックさんに向けて声をかけてきた。素面のリュドヴィックさんと違い、兜を被っているから顔はわからないけど声からしておそらくは若い女性だと思う。
私を見て、すぐに訝しむような目をしてリュドヴィックさんに小声で訊いているのがわかった。
「あの、そちらの方は?」
「少々訳ありでな? この者の件で団長と連絡がとりたい。通信室は空いているか?」
訳ありという言葉に、女性と思われる団員さんは真剣な声色になり、リュドヴィックさんに深く頷くと通信室の状況を教えてくれた。
っていうか、ここ一応ファンタジーの世界だよね? 通信って……どうやるの?
だけど、私の疑問は口に出来ず話は進んで行く。
「空いておりますリュドヴィック卿。どうぞ、お使いください。……そちらの方もご一緒で?」
リュドヴィックさんは私の方へ視線を向けると、団員さんに向けて声をかけた。
「ああ、そうだ。では、作業中に失礼したな。通信室を借りさせてもらう」
「お使い下さい、リュドヴィック卿」
やり取りを終えたリュドヴィックさんが慣れた様子で中を進んで行く。私も迷子にならないよう必死に後を追った。
****
建物内は思った以上に広く、何部屋もあった。どこを見ても装飾などが統一されていて綺麗で、思わず視線をあちこちに向けてしまう。
「着いたぞ」
リュドヴィックさんが一室の扉を開けた。ここが通信室らしい。中に入ると、教会で見たのと似ていながらも色が違う淡い水色をした水晶が置かれていた。
リュドヴィックさんがその水晶に右手をかざす。水晶は淡く輝き出して、映像? が浮かび上がって来た。そこに映っていたのは、ウェーブかかった青髪に赤眼の美形な男の人だった。
その人は椅子に座っているらしく、綺麗な動作でお茶かな? カップを置いて目を細めていた。
なんだろう?
なんか、威圧されているわけじゃないのに……凄く緊張する。
男性の背景が、この建物へ入った時に見た豪華な垂れ幕だから?
不思議な感覚を覚えつつ、私は姿勢を自然と正していた。なんか、怒られたりとかしないよね……?
男性は微笑んでいるし、優しそうなんだけど……なんかオーラ? そういうのが溢れている気がするし、気品っていうのかな? そういうのも感じるから余計なのかも……。
そんな感想を抱いている内に、男性とリュドヴィックさんが話始めるのだった。
その人達がリュドヴィックさんの姿を見て、作業していた手を止める。
「リュドヴィック卿、お疲れ様です!」
一人の団員さん……でいいのかな? その人がリュドヴィックさんに向けて声をかけてきた。素面のリュドヴィックさんと違い、兜を被っているから顔はわからないけど声からしておそらくは若い女性だと思う。
私を見て、すぐに訝しむような目をしてリュドヴィックさんに小声で訊いているのがわかった。
「あの、そちらの方は?」
「少々訳ありでな? この者の件で団長と連絡がとりたい。通信室は空いているか?」
訳ありという言葉に、女性と思われる団員さんは真剣な声色になり、リュドヴィックさんに深く頷くと通信室の状況を教えてくれた。
っていうか、ここ一応ファンタジーの世界だよね? 通信って……どうやるの?
だけど、私の疑問は口に出来ず話は進んで行く。
「空いておりますリュドヴィック卿。どうぞ、お使いください。……そちらの方もご一緒で?」
リュドヴィックさんは私の方へ視線を向けると、団員さんに向けて声をかけた。
「ああ、そうだ。では、作業中に失礼したな。通信室を借りさせてもらう」
「お使い下さい、リュドヴィック卿」
やり取りを終えたリュドヴィックさんが慣れた様子で中を進んで行く。私も迷子にならないよう必死に後を追った。
****
建物内は思った以上に広く、何部屋もあった。どこを見ても装飾などが統一されていて綺麗で、思わず視線をあちこちに向けてしまう。
「着いたぞ」
リュドヴィックさんが一室の扉を開けた。ここが通信室らしい。中に入ると、教会で見たのと似ていながらも色が違う淡い水色をした水晶が置かれていた。
リュドヴィックさんがその水晶に右手をかざす。水晶は淡く輝き出して、映像? が浮かび上がって来た。そこに映っていたのは、ウェーブかかった青髪に赤眼の美形な男の人だった。
その人は椅子に座っているらしく、綺麗な動作でお茶かな? カップを置いて目を細めていた。
なんだろう?
なんか、威圧されているわけじゃないのに……凄く緊張する。
男性の背景が、この建物へ入った時に見た豪華な垂れ幕だから?
不思議な感覚を覚えつつ、私は姿勢を自然と正していた。なんか、怒られたりとかしないよね……?
男性は微笑んでいるし、優しそうなんだけど……なんかオーラ? そういうのが溢れている気がするし、気品っていうのかな? そういうのも感じるから余計なのかも……。
そんな感想を抱いている内に、男性とリュドヴィックさんが話始めるのだった。
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