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不②
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数分で朝倉が呼んだ警察官達がやって来た。二人を襲撃してきた男の件で召集されてきたのだ。真剣な表情で現場検証をしている鑑識官等を見つめながら、識は朝倉と並んで事情を説明していた。一通り説明し終えると、朝倉が識に向かって声をかける。
「進藤さん、ここは彼らに任せて行きましょうか」
「行くのは構わないですが、どこに向かうんです?」
「そうですねぇ。どこかで話をまとめたいですし……進藤さんがよろしければ、そちらの事務所をお借り出来ますか?」
「は……?」
突然の申し出に困惑する識だが、朝倉は至って本気のようだった。諦めたように息を吐くと、識は了承した。
「ありがとうございます」
朝倉から礼を言われたが、何も感じなかった。歩きながら、自分の胸に手を当て、識は思う。
(俺はまだ、この刑事を信用出来ていない……)
「どうされました? 進藤さん」
「いえ……車はどうしますか?」
「そうですねぇ。進藤さんのお車を置いたままなのは申し訳ないですしねぇ」
「では、俺の車を取りに行っても?」
「そうしましょうか。そこまでは私の車でお送りしますよ」
「お願いします」
朝倉が車を停めた方面に向かって歩き出す。識も後に続きながら、思考を巡らせていた。
(洋壱は、明らかに何かトラブルを抱えていた。それは間違いないだろう……問題は、どんなトラブルだったのか? だな)
そうしている内に、朝倉の車までたどり着いた。朝倉がロックを解除したので、来た時と同じ座席に座る。それを確認すると、朝倉は識の車がある公園まで自身の車を走らせた。道中、朝倉が音楽をかけていたが識には興味がない類の物だった。
もっとも、当の朝倉本人は音楽に合わせて歌詞を口ずさんでいるが。
(これもわざとか? それとも性格か? いずれにせよ……やっぱ合わねぇな)
窓に視線をやりながら、再び思考を巡らせる。だが、浮かぶのは洋壱のあの不穏な言葉だけだった。
しばらくして公園の駐車場に入り、朝倉の車から識の車へと乗り換える。朝倉は遠慮する事なく、助手席に乗り込む。
(まぁ、この刑事ならこうするだろうな……)
識は気にするのをやめ、朝倉がシートベルトを着けた事を確認すると車を走らせた。再び見慣れた光景が視界に広がる。安全運転で走らせていると、後ろから車間距離の近い車がやって来た。
(嫌な予感がする……)
案の定、煽り運転を始めた後続の車にどう対処するか迷っている時だった。更に後ろからパトカーのサイレンと声が響く。
『そこの危険運転している黒い車! 止まりなさい!』
その声に反応し、後続の車は……識達の乗る車を無理矢理追い越して走って行く。パトカーがそれを追いかけて行くのが見えた。
「ふむ、やはり狙ってきましたか。根回しをしていて正解でした」
「あの車……もしかして俺達を襲った?」
「推測になりますが、同一人物でしょうね。あまりにもタイミングが良過ぎます」
(つまり、俺か? 俺を狙っているのか? 理由はなんだ?)
「進藤さん。貴方の身を守る必要が出てきましたねぇ」
「俺は……今更降りるつもりはありません」
覚悟を決めた声でそう言い切れば、朝倉は表情こそ変えなかったが心なしか嬉しそうに声を発した。
「いいでしょう。その覚悟に応じ、事務所に着いたら私が手に入れた情報を開示します」
(隠してた事があるってわけか……)
「わかりました」
こうして、二人は識の事務所へと向かいたどり着くと車を駐車場に入れる。識の案内で階段を上がって行き、事務所内へと朝倉を招きいれた。
「お邪魔します」
朝倉は一声そう告げると、中に入る。それを確認して、識は事務所の扉を念入りに施錠した。万が一の事を考えての事だ。
こうして、二人でソファーに腰掛けるとテーブルに朝倉がファイルを置く。
「では、始めましょう。推理の時間を……ね?」
「進藤さん、ここは彼らに任せて行きましょうか」
「行くのは構わないですが、どこに向かうんです?」
「そうですねぇ。どこかで話をまとめたいですし……進藤さんがよろしければ、そちらの事務所をお借り出来ますか?」
「は……?」
突然の申し出に困惑する識だが、朝倉は至って本気のようだった。諦めたように息を吐くと、識は了承した。
「ありがとうございます」
朝倉から礼を言われたが、何も感じなかった。歩きながら、自分の胸に手を当て、識は思う。
(俺はまだ、この刑事を信用出来ていない……)
「どうされました? 進藤さん」
「いえ……車はどうしますか?」
「そうですねぇ。進藤さんのお車を置いたままなのは申し訳ないですしねぇ」
「では、俺の車を取りに行っても?」
「そうしましょうか。そこまでは私の車でお送りしますよ」
「お願いします」
朝倉が車を停めた方面に向かって歩き出す。識も後に続きながら、思考を巡らせていた。
(洋壱は、明らかに何かトラブルを抱えていた。それは間違いないだろう……問題は、どんなトラブルだったのか? だな)
そうしている内に、朝倉の車までたどり着いた。朝倉がロックを解除したので、来た時と同じ座席に座る。それを確認すると、朝倉は識の車がある公園まで自身の車を走らせた。道中、朝倉が音楽をかけていたが識には興味がない類の物だった。
もっとも、当の朝倉本人は音楽に合わせて歌詞を口ずさんでいるが。
(これもわざとか? それとも性格か? いずれにせよ……やっぱ合わねぇな)
窓に視線をやりながら、再び思考を巡らせる。だが、浮かぶのは洋壱のあの不穏な言葉だけだった。
しばらくして公園の駐車場に入り、朝倉の車から識の車へと乗り換える。朝倉は遠慮する事なく、助手席に乗り込む。
(まぁ、この刑事ならこうするだろうな……)
識は気にするのをやめ、朝倉がシートベルトを着けた事を確認すると車を走らせた。再び見慣れた光景が視界に広がる。安全運転で走らせていると、後ろから車間距離の近い車がやって来た。
(嫌な予感がする……)
案の定、煽り運転を始めた後続の車にどう対処するか迷っている時だった。更に後ろからパトカーのサイレンと声が響く。
『そこの危険運転している黒い車! 止まりなさい!』
その声に反応し、後続の車は……識達の乗る車を無理矢理追い越して走って行く。パトカーがそれを追いかけて行くのが見えた。
「ふむ、やはり狙ってきましたか。根回しをしていて正解でした」
「あの車……もしかして俺達を襲った?」
「推測になりますが、同一人物でしょうね。あまりにもタイミングが良過ぎます」
(つまり、俺か? 俺を狙っているのか? 理由はなんだ?)
「進藤さん。貴方の身を守る必要が出てきましたねぇ」
「俺は……今更降りるつもりはありません」
覚悟を決めた声でそう言い切れば、朝倉は表情こそ変えなかったが心なしか嬉しそうに声を発した。
「いいでしょう。その覚悟に応じ、事務所に着いたら私が手に入れた情報を開示します」
(隠してた事があるってわけか……)
「わかりました」
こうして、二人は識の事務所へと向かいたどり着くと車を駐車場に入れる。識の案内で階段を上がって行き、事務所内へと朝倉を招きいれた。
「お邪魔します」
朝倉は一声そう告げると、中に入る。それを確認して、識は事務所の扉を念入りに施錠した。万が一の事を考えての事だ。
こうして、二人でソファーに腰掛けるとテーブルに朝倉がファイルを置く。
「では、始めましょう。推理の時間を……ね?」
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