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第八話 仲間のお願いだよ、グシャート君
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「ねぇねぇ、グシャートたん? 今日のクエストはなんなのん?」
僕とサイルがパーティを組んでから三か月が経った。相変わらず、彼女は僕の悪評なんかまったく、これっぽっちも気にせず、着々とレベルを上げていた。
正直、そんなマイペースな彼女に救われている部分は大きい。
だけど……さ。
「なぁ……サイル? そろそろ……クラスチェンジして、称号を頂いたらどうなんだい?」
クラスチェンジ。例えば、僕がクラス・剣士の称号・騎士と言ったように、この世界には職業に必ずプラスして称号が付与される。特に僕達みたいな戦闘職に就いている者にとって、称号はとても栄誉あるものだ。……勇者も聖女も称号だからね……。
ちなみに、僕は一からスタートな訳なんだけど、称号は剥奪されていない。というのも、称号の付与の権利は冒険者ギルドではなく、各職業のギルド長から与えられるものだからだ。そこのギルド長が剥奪しなかったため、僕は騎士でいられている。
「うぅ~……」
僕の問いに、サイルは唸るだけで答えを返してはくれなかった。なんなんだろうか? まさか称号が欲しくないのか!?
「サイル! まさかとは思うけれど……!」
彼女はゆっくりと息を吐き、僕の方へ視線をやった。その目は揺れていて……怯えているようでもあった。
「……のん」
意を決して話そうとする彼女の答えを待つ。まぁそうだよな。クラスチェンジってけっこう不安に駆られるし、称号を決めるのも各職業ギルド長の采配だからなぁ……。自分が望む称号じゃなかったら……嫌なタイプなのかな?
案外早く戻って来た僕の冷静さ。よしよし、そんな調子だ。年上の貫禄を……。
「ウチ、竜騎士になりたいのん! でも、その条件満たしてないのん! だからグシャートたん! ウチの相棒になってくれる竜たん探ししてほしいのん!」
「な、な、なんだってぇぇぇぇぇぇ!?」
貫禄なんて吹き飛んで、僕は思わず大声を上げた。竜騎士。つまり、竜とともに戦う騎士。確かに槍術士からのクラスチェンジでなれるものの一つではあるけれど! めちゃくちゃ難易度が高いんだぞ!?
さすがに、勇者や聖女のような超レア称号とまではいかないけれど……それでも竜騎士になれるものなんてごくわずかだ。
「さ、サイル? キミ、難易度わかっていっている……んですよねー……。そっかぁ……竜騎士……。えぇぇ……」
僕がこんなにも取り乱しているのには理由がある。人と竜は長きにわたって争いを繰り広げて来た歴史があり、長い闘争の末、共存する道を選んだ人と竜の絆の証が竜騎士という称号なのだが。
当然、完全に両者にわだかまりがなくなったわけではなく、討伐対象として竜が入ることもある。互いに未だに殺し合っているところがあるのだ。
故に、竜騎士なんて相当運が良くてかつ、竜に認められる素養がないと無理なのだ。僕がどうしようか悩んでいると……強い声色でサイルが感情をぶつけてくる。
「ウチはお金がほしい強欲だけど! ちゃんとした思いがあるのん! グシャートたん! お願い! 相棒となる竜たん探し……してほしいのん!!」
彼女のどこまでも希望を抱くその声に……僕は答えるしかなかった。
「……わかったよ……行こう!」
今の僕達でどこまでやれるかわからないけれど。
希望は、自分の力で勝ちとるものなんだと――僕はそれを知っているから。
僕とサイルがパーティを組んでから三か月が経った。相変わらず、彼女は僕の悪評なんかまったく、これっぽっちも気にせず、着々とレベルを上げていた。
正直、そんなマイペースな彼女に救われている部分は大きい。
だけど……さ。
「なぁ……サイル? そろそろ……クラスチェンジして、称号を頂いたらどうなんだい?」
クラスチェンジ。例えば、僕がクラス・剣士の称号・騎士と言ったように、この世界には職業に必ずプラスして称号が付与される。特に僕達みたいな戦闘職に就いている者にとって、称号はとても栄誉あるものだ。……勇者も聖女も称号だからね……。
ちなみに、僕は一からスタートな訳なんだけど、称号は剥奪されていない。というのも、称号の付与の権利は冒険者ギルドではなく、各職業のギルド長から与えられるものだからだ。そこのギルド長が剥奪しなかったため、僕は騎士でいられている。
「うぅ~……」
僕の問いに、サイルは唸るだけで答えを返してはくれなかった。なんなんだろうか? まさか称号が欲しくないのか!?
「サイル! まさかとは思うけれど……!」
彼女はゆっくりと息を吐き、僕の方へ視線をやった。その目は揺れていて……怯えているようでもあった。
「……のん」
意を決して話そうとする彼女の答えを待つ。まぁそうだよな。クラスチェンジってけっこう不安に駆られるし、称号を決めるのも各職業ギルド長の采配だからなぁ……。自分が望む称号じゃなかったら……嫌なタイプなのかな?
案外早く戻って来た僕の冷静さ。よしよし、そんな調子だ。年上の貫禄を……。
「ウチ、竜騎士になりたいのん! でも、その条件満たしてないのん! だからグシャートたん! ウチの相棒になってくれる竜たん探ししてほしいのん!」
「な、な、なんだってぇぇぇぇぇぇ!?」
貫禄なんて吹き飛んで、僕は思わず大声を上げた。竜騎士。つまり、竜とともに戦う騎士。確かに槍術士からのクラスチェンジでなれるものの一つではあるけれど! めちゃくちゃ難易度が高いんだぞ!?
さすがに、勇者や聖女のような超レア称号とまではいかないけれど……それでも竜騎士になれるものなんてごくわずかだ。
「さ、サイル? キミ、難易度わかっていっている……んですよねー……。そっかぁ……竜騎士……。えぇぇ……」
僕がこんなにも取り乱しているのには理由がある。人と竜は長きにわたって争いを繰り広げて来た歴史があり、長い闘争の末、共存する道を選んだ人と竜の絆の証が竜騎士という称号なのだが。
当然、完全に両者にわだかまりがなくなったわけではなく、討伐対象として竜が入ることもある。互いに未だに殺し合っているところがあるのだ。
故に、竜騎士なんて相当運が良くてかつ、竜に認められる素養がないと無理なのだ。僕がどうしようか悩んでいると……強い声色でサイルが感情をぶつけてくる。
「ウチはお金がほしい強欲だけど! ちゃんとした思いがあるのん! グシャートたん! お願い! 相棒となる竜たん探し……してほしいのん!!」
彼女のどこまでも希望を抱くその声に……僕は答えるしかなかった。
「……わかったよ……行こう!」
今の僕達でどこまでやれるかわからないけれど。
希望は、自分の力で勝ちとるものなんだと――僕はそれを知っているから。
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