性犯罪専用刑務所

但馬憂姫

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415番、田中太直③

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「へへっ、俺は元陸上選手だぜ。3分もハンデあって逃げ切れねーはずがねーよ。ちょろいな」

太直は勝利を確信して、走りながらも笑みをこぼした。
時折後ろを振り返るが、追ってくる気配はない。
それからしばらく走り続けたが、市街地に入っても自分が居住しているマンションが見えてきても追っての姿は見えないままだった。

「へっ、口ほどにもねーな」

念の為、エレベーターは使わず、階段を駆け上がり、勝利を確信して自室の扉を開けようと伸ばした腕を背後から掴まれた。そのまま後ろに引かれ、腕を掴まれたまま、今度はドアに押し付けられる。
抵抗する間もなく押さえつけられた太直は、混乱しながら不自由な体制ながらも後ろを振り返った。
インカムを付けた見知らぬ少年が、にっこりと微笑んでいた。

「はーい、確保、っと。あと一歩だったのに残念だったねー」
「てめっ!! 何なんだよっ!!」
「あれー? さっきゴッツいオッサンが言ってたでしょ? 3人の刑務官が追いかける、って」
「ウソだっ!! 追いつかれるような距離には誰もいなかったはずだっ!!」
「当たり前じゃない。スタートの合図からきっちり3分後にココに直行したんだから。えー、もしかして同じスタート地点から一斉によーいドン、すると思った? いやー、そこまでバカじゃないよねー?」
「なっ、ふざけんなっ!! そんなの反則じゃねーかっ!!!」
「えー、なんで? ルール違反なんてしてないし。3人の刑務官が、って言った時点でどこからスタートかとかちゃんと確認しなかった君の落ち度じゃない?」
「うっ……」
「あー、テステス。こちら相模。ターゲット確保したよー」
「おい、こら、相模! 全部聞こえてたぞ!」
「あーごめーん。まあ、間違ったことは言ってないしいいじゃんー。それより、あとどのくらいでこっち来れんの、武蔵サン?」
「そうだな、色々準備物もあるから30分ってところか」
「オッケー。甲斐さんも合流?」
「甲斐はJのサポートして来れたら、だな」
「オッケー。んじゃ、一足先に楽しませてもらうわー」
「ほどほどに、な?」
「はーい♫ さてと。んじゃ、とりあえず中、入りましょうかね、415番クン」

相模と言った刑務官は物騒に笑いながら、太直を片手で押さえながら器用に扉を開け、太直共々扉の向こうへと消えていった。
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