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6章 クリスマス会の悲劇!

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あんな事件があってから、3日がたった。
そしてやっと広樹が登校してきた。
この3日間、風邪をひいたらしい。
広樹「あ、領真……」 
いま、教室には広樹と僕の2人しかいない。
領真「やぁ、この姿で会うのは久しぶりだね」
広樹「あぁ……領子ちゃんにもう会えないのかー!辛いぜー」
領真「この僕がいるからいいだろ」
この前の僕が女になってしまった事件で、学年1位と学年最下位の差が大きくできてしまった。少し恥ずかしい。
広樹「あ、そういえば!今年も学校でクリスマス会がある!楽しみだな!」
領真「あの、毎年ケーキを食べる会か……準備がめんどくさいよな」
そう、あと少しでクリスマス会が開かれる。日程は、25日の夜体育館でだ。
今年も那須島先生が考えた面白い企画で盛り上がるといいな、なんて思っている自分がいる。
領真「あと、1週間だな」
広樹「1週間かぁー」
広樹は僕の顔を見ながら、そう言ってきた。
1週間と聞くと僕はこの前のあの事件しか浮かばない。
領真「楽しみなのか、嫌なのか分からないな……」


そしてクリスマス会の準備中

武元「みんな、これを運ぶでござる~!僕だけじゃ大変でござる~!」
武元は1人で重たい机を動かしている。
でも誰も近寄ろうとしない。
広樹「行ってこようかなー」
領真「……やめろよ。変なことされるぞ」
実際、武元に近づくなんてキスしに行っているようなものと同じだ。
広樹「別にいいよ」
領真「なら、僕が止める」
広樹「嘘だよ。でも何でそんなに、俺を……」
龍二「おーい!2人ともー!何サボってんだよー!」
うっ、1番見られたくない奴に見られた。
龍二には、広樹と会話しているところも見られたくない。
武元「そうでござる!僕だけじゃ運べないから2人も手伝うでござる!」
そう言って武元は僕達に近付いてきた。
だが、広樹は僕の手を掴み、舞台裏へと逃げ込んだ。
武元「鬼ごっこでござるか?絶対に捕まえるでござーる!」
追いかけてくる武元。
捕まったらおしまいだろう。
体育館の舞台の幕はいつもおりている。ので、そう簡単には見つからないだろう。
それに、結構暗いし。生徒達に悪戯されないよう、先生達しか照明のつけかたは分からない。僕ももちろん分からない。
広樹「とりあえず、ここに隠れれば見つからないだろ」
小さな声で喋る広樹。これからしばらく、小さな声で喋ることにした。
積み重なっている道具の裏に隠れた僕と広樹。そこは狭くて、僕は広樹の足にまたがっていた。
だから、今の状況を伝えるのだとしたら、広樹は普通に足を伸ばして床に座ってて、僕は広樹の伸ばしてある足の上にまたがっているような感じ……って言えばいいかな。
真っ暗で何も見えない中、僕と広樹の息づかいだけが微かに聞こえていた。
広樹「おい、足痛いからおりろ」
そうだ、広樹は怪我してるんだったな。そう思って僕は広樹の足からおりた。
僕と広樹は普通に正座に近い状態で座っていた。今座っている所が狭くて……広樹と近い……
領真「もうちょっとそっち行けないか?こっち狭い……」
広樹「俺だって狭い……」
そう言いつつも、どいてくれた広樹。
だか、体勢が崩れて僕の方に倒れてきた。
広樹「わ、ごめん……!」
領真「う、うわっ!」
広樹の体重を支えきれなくて、その場に押し倒された僕………まるで、あの時みたいじゃないか……!
広樹が体勢を戻そうとしたとき、運悪く武元が上がってきてしまった。
広樹「ごめん、今体勢戻す」
領真「そ、そのままでいい……」
広樹「え……?」
領真「いま動くと音がなるだろ……」
僕の言葉を聞いて、納得する広樹。
でも、積み重なった道具の裏に僕達はいるのでバレないだろう。
武元「こっちに上がっていったはずでござる……」
武元は結構背が高い。
広樹「やべ、武元の頭が見えた……」
そう言って広樹は体勢を低くする。
そして、僕と広樹の顔は近付いた。
目が慣れてきた今、近寄られたりすると余計にそういうことを意識してしまう。
広樹「本当にごめん……」
領真「……気にしてないよ」
広樹「腕が疲れてきた……」
武元「ここにはいないようでござるね」
そう言って武元はおりていった。
広樹「ごめん」
領真「大丈夫だって。それに……」
少し嬉しかった。
広樹「……?それに?」
領真「何でもない」
こうして、武元との恐ろしい鬼ごっこは終わった。


そしてクリスマス会!

広樹「あぁ……領子ちゃんにもう1回会いたいよぉ~!領子ちゃーん!」
クリスマス会当日、広樹は僕の隣でそんなことを叫んでいた。
領真「おい、うるさいぞ。領子はもう死んだんだ。かわりに僕が来たんだからいいだろ。領子の元は僕だし」
広樹「そうだな!じゃあキスしていい?」
領真「な、何言ってんだよ……!」
広樹の言葉を、まにうける僕。
広樹「嘘だよー!なに、信じちゃってんだし!」
領真「……もう、僕に嘘つかないで」
広樹「え?どういうことだよ?」
領真「はぁ……」
広樹はどうして自分の気持ちに気付いてくれないのか。
美枝「ちょっと!広樹君!領真にあんまり近付かないでよー!」
広樹「う、美枝ちゃん……」
美枝の姿を見て、広樹はそう言った。
美枝「あ、そうだ!あっちにね、美味しそうなケーキがあったの!食べに行こ~♪」
美枝に引っ張られて、僕は連れていかれた。
広樹「なぁ、後で一緒にケーキ食べよー!」
領真「うん」
広樹の誘いを引き受けた。


1時間後……

領真「戻ってきたよー」
広樹「おー、じゃあケーキ食べよー」
そう言うと僕の分までケーキをとってくれた。
広樹「はい」
領真「ありがとう」 
ケーキを受け取った僕は広樹にそう言った。
広樹「お前がありがとうって言うの珍しいな」
領真「ん?そんなこと言ってないよ?」
広樹「認めろよ……」
広樹が呆れる。
だが……これから悲劇が起こる。
武元「見つけたでござるーーー!広樹と領真ーーー!」
武元が走ってきた。
僕と広樹の後ろには大きなケーキが積まれているワゴンが……!
一体どうなる……!? 


数秒後、僕と広樹の頭の上にはケーキが大量に落ちてきた。
もちろん、ケーキのワゴンに突っ込んだ武元の方がヤバイが。
あの後、武元はストップをかけれなかったのかケーキの乗ったワゴンに突っ込んだ。
そして、その下にいた僕と広樹、そして突っ込んだ武元が被害を受けた。
まぁ、武元は自業自得だけど。
美枝「きゃああああああああ!!武元君、なんてことしてるのーーー!領真大丈夫!?」
領真「大丈夫……なわけない……」
広樹「武元てめぇ……!」
武元の胸ぐらを掴む広樹。
だが、武元は嬉しそうだ。
那須島「学校用のお風呂場に行ってきて。さすがにこの状態でクリスマス会を続けられないからねえ……」
那須島先生は苦笑いしながら言った。



学校用のお風呂場では……

武元「さぁさぁ!服を脱ぐでござるー!」
領真「嫌だよ……お前の前では絶対に嫌だ!」
広樹「俺も、嫌だ」
武元はもうすでに裸になっていた。
もちろん、タオルも巻かずに。
武元「なら、僕が脱がせるでござるよ♪」
広樹「それはもっと嫌だ!」
領真「仕方ない……」
そう言って僕はネクタイを取って、シャツを脱いだ。
広樹「お前……」
領真「何だよ、お前も脱げって」
こうして、お風呂に入った僕達。これで武元がいなかったらなぁ、なんて思ってしまう自分がいる。
やめよう、この話は……
武元「もう洗い終わったんで先に体育館に戻ってるでござるね~」
武元はそう言うとそそくさと出ていった。あっさりしてるな……って頭洗うの早くない?
こうして、2人になった僕と広樹。
広樹「なぁ、ずっと聞きたかったことがあるんだけど」
武元が出ていった後、広樹は領真に話しかけてきた。
領真「なに?」
広樹「お前、どうやって女になっちゃったんだよ。変なものでも食べたのか?」
1番聞かれて困ることを聞いてきた。
っというか、その話はやめてほしい。色々嫌なことを思い出すから。


こうして、僕達はお風呂場で2人きりになってしまった。
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