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♡story♡

1章 急げ! あと1週間耐えるんだ!

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今日から1週間、僕の学校生活は酷いものになるかもしれない。いや、なるかもしれないじゃなく、なる。

僕の名前は波山領真(なみやま・りょうま)。実はさっき、ありえない出来事が起きてしまった。
それは、僕がいつものように朝ごはんを食べていたときだった。両親は早くから仕事なので家には誰もいない。兄も学校に行ってしまった。
そんなとき、机の上に置いてあった見たこともない謎の瓶に目がとまった。なかには、ピンク色の怪しい液体が入っている。
誰が何のために置いたのか分からない。お母さんの忘れ物かと思って、そのままにしておこうと思った……が
瓶には[お前には、これが飲めるか?]と書いてあり、飲んでいいものだと思い、飲んでしまったのだ。
そしたら……あんなにカッコよかった僕の顔は、可愛い女子の顔へと変化してしまった!
つまり、あの謎の薬を飲んでしまったから僕は女子になったということだ。


キャラ紹介

・波山領真(なみやま・りょうま) ナルシストでクラスの女子から大人気。でも、男子はあまり、領真のことをよく思っていない。勉強ができなくて、学力は学年最下位。


後から気づいたが、瓶には見えにくい字で[1週間、そのままの姿ですごせるか]と書いてあった。誰の仕業か分からないが、もしお母さんやお父さん、兄だったら怒ってやろう。
そして、学校に着いた僕は、このままじゃ怪しまれるので転校生として1週間過ごすことにした。
名前は、沢波領子(さわなみ・りょうこ)でみんなの前で自己紹介をした。みんなの前に立てることは、目立つことができたので嬉しかった。
だけど、こんな状況だったので喜べるはずもなかった。
僕が1週間過ごすことになった教室はまさかの自分の教室だった。知ってる人しかいない……
バレないか不安だが、仕方ないな。これから1週間頑張ろう……


時は過ぎ、昼休み……
僕は机に伏せていた。出来ることなら、みんなと話したくなかったから。教室にはほとんど人がいなかった。いるのは、超天才の岸島広樹(きしじま・ひろき)と岩間亜伊(いわま・あい)だけ。
広樹は僕と正反対な学年1位の天才。なのに、性格がとても残念だ。どうしようもない女好きで可愛い女の子にはすぐ声をかける。みんなからも残念だと思われているようだ。カッコいいのにもったいない、と。
まあ、僕の方がカッコいいけどね。
次に亜伊。こいつは広樹の彼女で広樹のことが大好き。亜伊が告白して付き合って2年目らしいが、広樹は嫌々付き合ったんだとか……?
でも、そんなの僕は興味ない。付き合いたくなったら、付き合わなければいいと思った。
だけど、女の目線で広樹を見るとカッコいいかもしれない。いや、でも1番は僕だから!
そんなことを思っていると、誰かに肩をつつかれた。ゆっくり振り向くと広樹がいた。
広樹「なぁなぁ、領子ちゃん…だっけ?」
うっ、声をかけられた……遠くでは亜伊がこちらを睨んでいる。
領子「そ、そうだけど……」
広樹「転校してきてすぐだから、校内分からないでしょ?俺が案内してあげる!」
領子「えっ!わ、悪いからいいよ…!」
断ったつもりだった。でも、強引に手を引っ張られて無理矢理、広樹と校内をまわった。
姿だけじゃなく、声も体も力も全て女子になっている……恐ろしい……
広樹「ごめんな、領子ちゃん」
領子「……大丈夫。でも隣で一緒に話してた女の子はいいの?」
僕は知っている校内を、じっくり案内された。これほど辛いことはない。
っというか、本当は分かってる。どうして強引に僕を校内案内したのか。
亜伊といたくないからだろう。
だいたい校内を回って、また教室に戻ってきた。戻ってきた時、誰も教室にいなかった。
広樹「俺達…付き合っててさ……あっちは俺のこと好きらしいけど、こっちは亜伊ちゃんのことどうも思ってないから一緒にいるの辛くて」
領子「へ、へぇ……」
なんて言えばいいのか分からず、適当に返事を返した。
広樹「だから、これからは領子ちゃんとしばらく一緒にいることにするよ!領子ちゃんの方が可愛いし!」
広樹のその言葉に、なぜか顔が熱くなった。どうしてだろう…きっと暖房のききすぎかな。
広樹「それにしても……今日、領真のやつ休みなのかー」
ん、何だ?僕ならここにいるが。と言いそうになったが、なんとかこらえた。
領子「領真って誰?」
広樹「クラスで有名なやつなんだ。領子ちゃんがいなかった今までは、領真で暇潰して亜伊ちゃんと話さないようにしてたけど。自慢話が多くて疲れるぜ」
確かに、昼休みは何か適当な話をしていたな。でも、そんなにあまり深い友情ではない。
それに、僕の事をそんな風に思ってたなんて……
領子「そうなんだ……会ってみたいなぁ」
広樹「明日とかなら来るかもな!」
そう言って笑った広樹の笑顔はとても輝いていた。

キャラ紹介

岸島広樹(きしじま・ひろき) 頭がいい。学力1位。スポーツもできる。だが、女好きという性格が彼のいい印象を殺している。部活はバスケ部。亜伊から告白されて、嫌々付き合った。これでも2年目らしい。

岩間亜伊(いわま・あい) 広樹の彼女。広樹が大好き。広樹と仲が良い領子を嫌う。領真のことはカッコいいと思っている。美枝(みえ)という同じクラスの女子が嫌い。


5時間目の授業中

僕は広樹のことで少し考え事をしていた。
広樹、と聞くと心のなかであまりいい印象が浮かばない。
……理由は彼とはちょっとした事件があったからだ。これを話せば長くなる。
今年の8月、修学旅行で海に行った。だから…ちょうど4ヶ月前になるか。
その時に、お風呂で事件が起きてしまった。これ以上は言えないけど、結構ヤバイ事件だった。もちろん、僕は望んでやってない。広樹が望んでやったのはありえるけど。
だから、広樹にはあまりいい印象が浮かばないのだ。
簡単に説明すれば、風呂場で滑って……となったのだ。あの時たまたま、クラスでうるさい双美龍二(ふたみ・りゅうじ)がいて、ぎゃあぎゃあ騒がれた。広樹は笑って誤魔化していたが、僕は騒がれていたことを許していた広樹が許せなかった。
どうして自分がバカにされているのに、笑って許すのだろう。僕だったら双美を殴っていた。まぁ、その時は僕も笑って誤魔化していたな……めんどくさかったから。


僕はいつもの癖で、足を組んでいた。
広樹がこちらに目を向けていることも知らず……


キャラ紹介

双美龍二(ふたみ・りゅうじ) 人を茶化すのが好き。授業中はいつもうるさい。しかも馬鹿。亜伊のことが好き?


広樹「領子ちゃ~ん!」
下駄箱で靴を履き替えていると、後ろから広樹の声が聞こえた。
領子「あ、広樹君……」
広樹「そうそう!領子ちゃんの広樹だよー!」
そう言って近付いてくる広樹。
こんなに近付いたのは、修学旅行の時以来だ。
領子「ちょっ、ちょっと……!近いって……!」
なぜかまた、顔が熱くなった僕。
広樹「可愛いなぁ、領子ちゃんは!今から帰るの?」
領子「そ、そうだけど……」
広樹「なら一緒に帰ろ~♪」
なにも言わずに頷く。


だが、僕達は気付かなかった。
亜伊が僕達を見ていることに……
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