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暗転
四
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テストが始まって、問題の冊子をひらいた。
とんでもなく多い文が一瞬にして視界に入ってきた。
こんな長文読んでられないし、そもそも意味がわからない言葉ばっか。
とりあえず分からないところはひたすら飛ばして、選択問題だけ当てずっぽうにこたえていった。
これ、マジでやばくね。
選択問題も合ってるか分からないし、そもそも選択問題以外の問題は全部空欄だし、もう1桁だろ。
京介の方を見る。
(席は俺の方が後ろだから、振り返ってみてるわけじゃないしカンニングにはならない。ただ見てるだけになるはず。あれ、それがカンニングって言うのか?)
勉強したのか、迷いなくすらすら問題を解いていっている。
くそ、俺だってあんなやつに呼び出されなければすらすら問題が解けなくとも、少しは自信を持てたはずだ。
あれもこれも全部戸川のせいだ!
昨日の放課後、戸川は帰ろうとした俺をまた引き止めにやってきた。
戸川に話しかけられている俺を見て、クラスメイトたちは、「またあいつら…」とばかりに見てきていた。
俺のせいじゃねーよ!勝手にあっちが寄ってきてるだけじゃねーか!
今思い出してもムカつく!
「なんだよ、また文句か?」
ひそひそと噂をしているクラスメイトを横目に俺は戸川を睨みつけた。
「文句じゃない、最近頑張ってるなぁと思って褒めに来てやっただけだ」
「お前からの褒めの言葉なんていらねーよ」
カバンを持って教室から出ていこうとする。
「体育の補講」
なんだって?
振り返った俺に、戸川は持っていた紙を押し付けてきた。
紙に視線を落とすと、そこには体育の補講と大きく書かれていた。
「なんだこれ」
戸川に聞いたが自分でなんとなく理解している。
「ん?書いてあるとおりだ。体育の補講が、テストの最終日の午後にある」
「は、最近体育サボってないんだけど」
あれだけ嫌だった体育も最近はきちんと出席しているし、苦手なサッカーもちゃんとやっている。
「今までの分だ。最近はよく頑張ってるけど、今までサボりすぎててこのままじゃ成績が悪くなってしまうとのことで補講を行うそうだ」
なるほど……今まで想像以上にサボりすぎてたってことか。
「テストの最終日だからって浮かれないようにな。あと体育着忘れんなよ」
体育の補講を知らせる紙をポケットに突っ込んで、適当に返事を済ませて、今度こそと教室を出ていこうとする。
「あと、遅刻指導」
「まだあんの?!」
驚きを隠せず勢いよく振り返る。
このまま帰れると思ったのに!
「当たり前だ。これだけじゃないぞ。今日提出締切の課題出てないから今やってもらうのと、遅刻指導行かなかったから来週から1週間朝は早く登校して掃除するように。あとそれの反省文。数IIも単位落としそうだからやったら単位は貰えるプリント10枚、あとは……」
あー!もう頭パンクしそう!!!
「覚えられないから紙に書けよ!!!」
そこから戸川と、今まで何でサボってたのかとかどうでもいい話をしながら課題や反省文を終わらせた。
やっと終わったと時計を見上げる。
もう既に6時過ぎであった。
「ちっ、なんでこんな……」
この時既に約束のことなんて忘れていた。
「みんなやってることだぞ」
「だからってお前が付きっきりとか気持ちわりぃ!」
そう吐き捨てて、課題やプリントをそのままにして帰ったのだった。
昨日のことを思い返していたがやっぱりあいつのせいだ。
俺はテストを投げ出し、机に伏せた。
とんでもなく多い文が一瞬にして視界に入ってきた。
こんな長文読んでられないし、そもそも意味がわからない言葉ばっか。
とりあえず分からないところはひたすら飛ばして、選択問題だけ当てずっぽうにこたえていった。
これ、マジでやばくね。
選択問題も合ってるか分からないし、そもそも選択問題以外の問題は全部空欄だし、もう1桁だろ。
京介の方を見る。
(席は俺の方が後ろだから、振り返ってみてるわけじゃないしカンニングにはならない。ただ見てるだけになるはず。あれ、それがカンニングって言うのか?)
勉強したのか、迷いなくすらすら問題を解いていっている。
くそ、俺だってあんなやつに呼び出されなければすらすら問題が解けなくとも、少しは自信を持てたはずだ。
あれもこれも全部戸川のせいだ!
昨日の放課後、戸川は帰ろうとした俺をまた引き止めにやってきた。
戸川に話しかけられている俺を見て、クラスメイトたちは、「またあいつら…」とばかりに見てきていた。
俺のせいじゃねーよ!勝手にあっちが寄ってきてるだけじゃねーか!
今思い出してもムカつく!
「なんだよ、また文句か?」
ひそひそと噂をしているクラスメイトを横目に俺は戸川を睨みつけた。
「文句じゃない、最近頑張ってるなぁと思って褒めに来てやっただけだ」
「お前からの褒めの言葉なんていらねーよ」
カバンを持って教室から出ていこうとする。
「体育の補講」
なんだって?
振り返った俺に、戸川は持っていた紙を押し付けてきた。
紙に視線を落とすと、そこには体育の補講と大きく書かれていた。
「なんだこれ」
戸川に聞いたが自分でなんとなく理解している。
「ん?書いてあるとおりだ。体育の補講が、テストの最終日の午後にある」
「は、最近体育サボってないんだけど」
あれだけ嫌だった体育も最近はきちんと出席しているし、苦手なサッカーもちゃんとやっている。
「今までの分だ。最近はよく頑張ってるけど、今までサボりすぎててこのままじゃ成績が悪くなってしまうとのことで補講を行うそうだ」
なるほど……今まで想像以上にサボりすぎてたってことか。
「テストの最終日だからって浮かれないようにな。あと体育着忘れんなよ」
体育の補講を知らせる紙をポケットに突っ込んで、適当に返事を済ませて、今度こそと教室を出ていこうとする。
「あと、遅刻指導」
「まだあんの?!」
驚きを隠せず勢いよく振り返る。
このまま帰れると思ったのに!
「当たり前だ。これだけじゃないぞ。今日提出締切の課題出てないから今やってもらうのと、遅刻指導行かなかったから来週から1週間朝は早く登校して掃除するように。あとそれの反省文。数IIも単位落としそうだからやったら単位は貰えるプリント10枚、あとは……」
あー!もう頭パンクしそう!!!
「覚えられないから紙に書けよ!!!」
そこから戸川と、今まで何でサボってたのかとかどうでもいい話をしながら課題や反省文を終わらせた。
やっと終わったと時計を見上げる。
もう既に6時過ぎであった。
「ちっ、なんでこんな……」
この時既に約束のことなんて忘れていた。
「みんなやってることだぞ」
「だからってお前が付きっきりとか気持ちわりぃ!」
そう吐き捨てて、課題やプリントをそのままにして帰ったのだった。
昨日のことを思い返していたがやっぱりあいつのせいだ。
俺はテストを投げ出し、机に伏せた。
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