溶けだす頃に

羅刹十鬼

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暗転

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「だと思ったよ」
ため息混じりの言葉を発した京介に俺は頭も上がらずずっと土下座をしていた。
「もー…」
結局あれから誰の家の都合も合わず、勉強会をひらけず、テストの前日の昨日にやっと京介の家で勉強会ができることが決まった。
しかし、またもや戸川の呼び出しがあり、放課後居残ることになってしまい、帰ったのが6時過ぎであった。
約束もすっかり忘れて帰宅して、思い出したのが夜中だった。
終わった…と頭が真っ白になってそのまま気付いたら朝になっていた。どうやら眠ってしまったらしい。
今日の朝、慌てて謝罪のメッセージを送ったが、2人とも既読をつけただけでメッセージは返ってこなかった。
「ほんとごめん、まじで、ほんとに反省してる。昨日の夜も謝らずそのまま寝てしまった、ごめんなさい」
なにやってんだ?とクラスメイト達のひそひそ話す声が聞こえてくる。
「いいって。頭上げろって」
周りを気にしたのか、京介に腕を掴まれて無理矢理立ち上がらされる。
それでも申し訳なさからまた土下座をしたくなった。
「戸川に呼び出されてたんだろ?仕方ないじゃんか」
昨日戸川に呼び出されたことは朝、メッセージで送ってあった。
「もし呼び出しから帰った後約束を忘れてなくて、俺の家に来てたとしても少ししか勉強会できなかったと思うし気にしなくていいって」
京介~~!お前ってやつは~~!
「もう俺お前しかいない!まじで!お前だけだよ~~~!」
思い切り抱きつく。この際噂とかどうでもいい。
「わかったって。都合良い奴だな。あと離れろ」
周りの目が痛い気がするけどまぁいいや。
「はるかは怒ってなかったか?」
恐る恐る聞いてみるが、
「実は、3人じゃないなら勉強する必要ないっす~とか言ってまた前みたいに帰っちゃったんだよな」
と返ってきた。
そうだったのか。どうせなら2人で勉強すればよかったのに。はるかも、せっかく頭いい人に勉強を教えてもらう機会があったのに、なんで帰ったりするんだろう。
それくらいテストを諦めてるってことか。
「あいつはあいつで、教科書ぱらぱら見るだけで今日挑むらしいぞ。お前も最後の抵抗でもすれば?」
「んー、そうだな」
まもなく、テストが始まる。
俺もはるかみたいに教科書ぱらぱら見るだけにしようと思ったが、そもそも教科書がどこにあるかも分からない。
おそらくロッカーだが、今まで配られたプリントが無理矢理押し込まれているので探すのがめんどいし、そういうごちゃごちゃしたものも今は見たくない。
もう赤点とっても仕方ないな、これは。
半ば諦め気味でテストが開始されるのを待った。
しばらくしてから、監督の先生が入ってきて、テストが配られた。
赤点絶対とれないとか焦っていたのに俺は一体何をやっているんだ。
改めて自分に絶望した。
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