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暗転
一
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「おはよ!」
京介に肩を叩かれた。
が、それどころじゃなかった。
結局あの後、放心状態で帰宅し、お風呂を済ませ何も口にしないまま布団に入った。
しかし、物事を悪い方向に考えすぎて一睡もできず、気付けば外は明るくなっていた。
布団に入ったのは結構早かったはずなのに、時間の経過がとても早かった。
今も軽く放心状態だけど。
「うわ、お前目の下やば、黒っ」
ジロリと睨んだが首を傾げて、なに?と言わんばかりに見つめ返してくる。
こいつは鈍感だから人の様子を見てなにかを察することができない。
「なんだよ、ってかどうしたんだよ?なんか変だぞ?」
ちなみに親には、失恋したのではないかとか散々言われていた。
全くもって違うのである。
だが親に直接理由を聞かれるようなことがあっても、失恋以外の理由はない。学校の欠席数がやばいなんて本当のことを言えばきっと親は鬼のように豹変するに決まってる。
「もしかして怒ってるのか?昨日勝手に帰ってすまなかったな!」
「違う。今後に絶望しているだけだ」
次の日になれば気持ちも落ち着くと思ったが、もっと悪化してないかこれ。
と、ここで教室に戸川が入ってきた。
俺がいることを確認して一瞬笑った気がした。
あれは絶対馬鹿にした笑いに決まっている。
ホームルームが終わり、戸川が近づいてきた。
気づかないフリをして机に伏せる。
「今日もちゃんと来てるんだな。偉いな」
昨日散々口うるさくサボるなって言って来た奴はどこのどいつだ!
顔を上げて思いっきり、うるせー!と言ってやりたかったが我慢、我慢だ自分。
「さっきから見てたけど、寝不足か?もしかして考えすぎて寝れなかったのか?」
ここで言い返しても絶対今までみたいに馬鹿にされるだけだ。
利口な奴っていうのはここで言い返さない、言わせておくんだ。
そう自分に言い聞かせた。
「にしても、俺が言ったこと、ちゃんと響いたみたいだな。良かった良かった。もうこれで今日からサボることはなさそうだな」
どうやら俺の参った様子を見て確信しているようだった。
「あ、そうだ。追い詰めるようなことを言って申し訳ないが、今度の1週間後のテスト、赤点とったらやばいってこと、一応伝えておくな」
ん?今なんて......
「じゃあ」
え、赤点なんていつも3つはとってるけど!
「は?!そんなん無理!」
勢いよく顔を上げたが、もう戸川の姿は見えなかった。
また京介が、戸川に目付けられて可哀想にというような目で見て来たがそんなんどうでも良かった。
やばい、俺のメンタルがどんどん削られていく......
ってか1週間後ってもう何もできない、勉強しても遅すぎる。
もっと早く言ってくれよ!
全部自分のせいだと分かっていても、やり場のない怒りが自然と戸川に向けられるのであった。
京介に肩を叩かれた。
が、それどころじゃなかった。
結局あの後、放心状態で帰宅し、お風呂を済ませ何も口にしないまま布団に入った。
しかし、物事を悪い方向に考えすぎて一睡もできず、気付けば外は明るくなっていた。
布団に入ったのは結構早かったはずなのに、時間の経過がとても早かった。
今も軽く放心状態だけど。
「うわ、お前目の下やば、黒っ」
ジロリと睨んだが首を傾げて、なに?と言わんばかりに見つめ返してくる。
こいつは鈍感だから人の様子を見てなにかを察することができない。
「なんだよ、ってかどうしたんだよ?なんか変だぞ?」
ちなみに親には、失恋したのではないかとか散々言われていた。
全くもって違うのである。
だが親に直接理由を聞かれるようなことがあっても、失恋以外の理由はない。学校の欠席数がやばいなんて本当のことを言えばきっと親は鬼のように豹変するに決まってる。
「もしかして怒ってるのか?昨日勝手に帰ってすまなかったな!」
「違う。今後に絶望しているだけだ」
次の日になれば気持ちも落ち着くと思ったが、もっと悪化してないかこれ。
と、ここで教室に戸川が入ってきた。
俺がいることを確認して一瞬笑った気がした。
あれは絶対馬鹿にした笑いに決まっている。
ホームルームが終わり、戸川が近づいてきた。
気づかないフリをして机に伏せる。
「今日もちゃんと来てるんだな。偉いな」
昨日散々口うるさくサボるなって言って来た奴はどこのどいつだ!
顔を上げて思いっきり、うるせー!と言ってやりたかったが我慢、我慢だ自分。
「さっきから見てたけど、寝不足か?もしかして考えすぎて寝れなかったのか?」
ここで言い返しても絶対今までみたいに馬鹿にされるだけだ。
利口な奴っていうのはここで言い返さない、言わせておくんだ。
そう自分に言い聞かせた。
「にしても、俺が言ったこと、ちゃんと響いたみたいだな。良かった良かった。もうこれで今日からサボることはなさそうだな」
どうやら俺の参った様子を見て確信しているようだった。
「あ、そうだ。追い詰めるようなことを言って申し訳ないが、今度の1週間後のテスト、赤点とったらやばいってこと、一応伝えておくな」
ん?今なんて......
「じゃあ」
え、赤点なんていつも3つはとってるけど!
「は?!そんなん無理!」
勢いよく顔を上げたが、もう戸川の姿は見えなかった。
また京介が、戸川に目付けられて可哀想にというような目で見て来たがそんなんどうでも良かった。
やばい、俺のメンタルがどんどん削られていく......
ってか1週間後ってもう何もできない、勉強しても遅すぎる。
もっと早く言ってくれよ!
全部自分のせいだと分かっていても、やり場のない怒りが自然と戸川に向けられるのであった。
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