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第八章 涙のプロポーズ
幸福の口づけ *
しおりを挟む(激しすぎて、声が……!)
「……っぁ、……っ! ……っ!」
喉が枯れてしまったみたいだ。ぱんぱんと肌同士がぶつかっている。ぞくぞくと快感が絶え間なく続き、おかしくなりそうだった。
(もうだめ、またイってしまうわ……!
)
「あっあっふ、あっ……ひ、ぁ、ああっ……イ、イきそう……です……っ、はぅ、あ、ひぃっ、ふあぁっ」
「シャーロット……、俺もイきそうだよ……」
「イって、イって下さい……あっ、ああっ」
「くそっ……。もっと君を可愛がりたいのに……限界だ」
オリヴァーの腰の突き上げが一段と強烈になった。蜜壺を容赦なくえぐってくる。
「オリヴァー様……! ああーっ! あっ、あっあああぁぁぁ――っ……!」
シャーロットが背をしならせて絶叫した。
「……愛してる、シャーロット……!」
オリヴァーが奥歯を噛んだ。彼女が絶頂を迎えたのと同時に、熱い精を肉壺に放つ。子宮に炎の奔流を受け止め、シャーロットはビクンビクンと痙攣した。
「……はぁっ、はぁ……オリヴァー……さ、ま……」
「シャーロット……」
二人は互いの唇を吸い合った。舌を絡ませ、お互いの呼吸すら飲み込んでしまう。
長い口づけを終えて、二人は見詰め合った。未来を誓い合った夫婦は、愛する相手の美しい瞳の色を覗き込む。
「俺の愛するシャーロット……」
「オリヴァー様……」
シャーロットとオリヴァーは黙って笑い合った。彼の瞳が糸になる。エメラルドの双眸がきらっと輝いた。
(愛されるって、こんなにくすぐったいものなんだわ……)
シャーロットは胸がいっぱいだった。オリヴァーの肩に額をつけると、染みついた煙草の香りがする。彼女が最も好きな匂いだった。
愛しい男の肌には、大小様々な古傷がある。その中で一番深いのが魔王と戦った時に出来たものだ。自分を守ってくれた彼に、感謝しかない。
(私が生きていられるのはオリヴァー様のお陰よ)
また最愛の猟犬騎士が生き残り、こうして再び抱き合うことが出来た。その幸運に天にお礼を言いたい気分だった。
(神様、ありがとう。オリヴァー様を助けて下さって。彼がいないと、私は生きている意味が無いのよ)
たくさんの奇跡が重なり、こうして自分は幸福を手にした。シャーロットの心は湯のような暖かい感情で満ちている。
(お父様、お母様……。シャーロットは幸せです)
――世界で一番の幸せ者ですわ。
シャーロットは静かに目を閉じた。つぅー……っと涙が一筋流れる。
(愛する人と共に生きていける。これ以上の喜びはありはしないのよ……)
二人はしばらく抱き合っていた。彼がそっとシャーロットの頭を撫でていた。
しかし、優しい静寂を破ったのは、オリヴァーの情けない声だった。
「痛てっ……イテテテテテテ」
「オリヴァー様?!」
「どうやら無理をしすぎたようだ……」
オリヴァーは苦笑しながらクッションに沈んだ。
「ごめんなさい。私もハメを外してしまいましたわ」
「シャーロットのせいじゃない。俺が誘ったんだ。ということで、今回のことは医者に秘密にしないかい?」
オリヴァーがにやっと唇の端を引き上げた。
「……ふふふっ。分かりましたわ。今回だけですわよ」
シャーロットがにっこりと笑った。
「さすが、心が広いな、俺の天使は。愛してる」
「ん……私もですわ。オリヴァー様」
二人は幸福の口づけを交わす。
角度を替え、愛を囁きながら、何度も、何度も。
(好きです、愛しています。オリヴァー様……)
繋がりを解き、ローブを羽織っただけの姿になっても、二人の接吻は終わらなかった。
結局、甘いキスは往診に来た医師と看護婦に見つかるまで続いた。オリヴァーはこっぴどく怒られた。
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