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第七章 再びオリヴァー視点〜ダナの最期
第七章 再びオリヴァー視点〜ダナの最期
しおりを挟む悲鳴が聞こえた気がして、オリヴァーはハッと顔を上げた。騎士の勘がビリビリ反応している。
(来る!)
シャッとカーテンを開けた。魔物達が屋敷に襲いかかっていた。魔王ギリェルモが庭で誰かを捕まえている。遠目にもオリヴァーにはそれがシャーロットだとはっきり分かった。
「シャーロット!!」
寝室を飛び出し、剣を取りに廊下を走る。ズドォォォン! 魔物の猛攻撃で、屋敷がガタガタ揺れていた。
(クソッなんでこうなるんだ!)
オリヴァーはズボンのポケットを手で押さえた。四角い小箱の感触。今日完成したばかりの婚約指輪である。
(彼女にこれを渡して、正式にプロポーズするつもりだったのに……)
――急に婚約を辞退するなんて、何か理由があるに違いない。
(シャーロット、君以外に俺の命を預けられる女性はいないよ。愛しているんだ。婚約辞退なんて絶対に認めない)
オリヴァーは何度だってシャーロットに求婚するつもりでいた。
(まずは君を取り返す!)
オリヴァーは剣を取って構えた。
「シャーロット、今助ける!」
下級悪魔や豚頭の怪物達と、彼は戦い始めた。家族や使用人達の悲鳴があちこちから聞こえる。
血を流しながらオリヴァーは魔物を切り伏せていた。その時ダナの声がした。
「お兄様ぁぁ! 助けてえ」
「ダナ、こっちに来ちゃ駄目だ!」
「ゲゲエエエェエェェーッ」
オリヴァーの制止も聞かず、ダナがこちら側に駆け寄ろうとした。瞬間闇のビームが放たれた。下級悪魔の技である。ガラガラガラッと崩れた柱や壁が落ちてきた。
「イヤァァア――……ッ!」
ダナの断末魔だった。彼女は瓦礫に押しつぶされたのである。
「ダナ――ッ!!」
オリヴァーは手を伸ばしたが間に合わなかった。
「くッ、ダナ……!」
無念に拳を握りながら、オリヴァーはシャーロットと魔王ギリェルモが待つ庭へ走り出した。
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