スパダリ猟犬騎士は貧乏令嬢にデレ甘です!【R18/完全版】

鶴田きち

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第五章 フィアンセ交代?!

誰、この娘{こ}

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「えっと……確か、『黒ノ猟犬ニ伝エロ。オ前ノ命必ズ頂ク。オ前ノ嫁ノ心臓モ俺様ノ物ダ』と……」
 ダナは魔王ギリェルモの口調を真似て、おどろおどろしい声で言った。

「お前の嫁の心臓……」
「それってダナのことですよねー? どうしよう、怖いですわぁ。守って下さいまし、お兄様ぁ」

 ダナはひしとオリヴァーにしがみついた。
 二人のやり取りを黙って見ていたシャーロットはこう思った。

(ダナさん、大変だったのね。魔王ギリェルモに襲われるなんて考えたくもないわ。さぞ怖かったでしょう……)

 ――それにしてもオリヴァー様とダナさんはとても仲の良いいとこ同士なのね。私が入る隙間は無さそうだわ。ちょっと、妬いてしまう……。

(……って、いけない。そんな心の狭いことを考えている場合ではないわ。傷ついた人には優しくするのよ)

「ダナさん……と呼ばせて下さいね、それは大変でしたね。ご無事で何よりですわ。長旅でお疲れでしょう? 今晩はゆっくり休んで下さい」

 シャーロットは微笑んだ。

「……誰。この娘{こ}」

 ダナが急に低い声になった。

「手紙に書いただろう? 彼女はシャーロット。俺の婚約者だ。――紹介が遅れてすまなかったな、シャーロット。こっちはダナ。俺のいとこだ」

 オリヴァーはダナを降ろすとシャーロットに近寄り、彼女の細い肩を抱いた。側に愛しい相手の体温を感じて、シャーロットはほんのりと頬を染める。

「初めまして、ダナさん。シャーロット・エリザベス・ウォーレンです」
「こ、婚約者……!? 嘘っ、そんなぁ、だって……。おっお兄様、将来はダナを妻にして下さると言っていたではありませんかー!」     
「まだそんなことを言っているのか……。全くダナはいつまでたっても純粋で可愛いな」
「違いますぅ、ダナは本気でお兄様のことが……!」
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