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第五章 フィアンセ交代?!

第五章 隠れるシャーロット

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「素晴らしい試合だった。優勝おめでとう、ブランドン」

 国王の手によって、オリヴァーに優勝杯が渡される。今にも泣き出しそうな鉛色の秋空の中、王立騎士団の公式試合は幕を下ろした。愛する恋人の七連覇である。

「ありがとうございます」

 彼は嬉しそうに微笑んだ。鋼で出来た胸当てを装備し、腰に剣を携え、深紅のマントを身につけたオリヴァーは、一際勇ましく見える。空気が冷たいので、汗が蒸発して白く立ち昇っていた。
 彼の一段下にはカートランドという同僚がいて、悔しそうに唇を尖らせていた。

「これから魔王ギリェルモとの決戦は最終局面になる。我が国と民を守り、一日でも早く平和をもたらして欲しい。また今日試合に敗れた他の騎士達も、ブランドンの元でみな力を合わせよ。魔王ギリェルモの討伐を必ず成し遂げるのだ。期待している」

 国王が言った。

「命に替えましても」

 オリヴァーが敬礼をした。それを聞いていた仲間の騎士達も彼に倣{なら}う。国王が退席すると、男達やその応援団からウオーッと歓声が上がった。

「さすがオリヴァーさんだ! 七連覇なんて前人未踏だぜ。すげえや、格好良いなあ」
「カートランドも惜しかったよな。あとちょっとだったのに。やっぱり一番隊隊長の名は伊達じゃないぜ。あいつと同期で俺は誇らしいよ」
「いやぁ、本当に素晴らしい試合だったよ。ブランドンに任せておけば王立騎士団は安泰だ。魔王ギリェルモもきっと倒せる。期待しているぞ、猟犬よ!」

 大きな拍手に包まれてオリヴァー達は退場した。騎士達は皆彼やカートランドに羨望の眼差しを向けている。
 そんな興奮冷めやらぬ試合会場の隅に、シャーロットはいた。大きな樹の影に隠れるように佇んでいる。お付きの者は誰もいない。

「オリヴァー様、優勝おめでとうございます……」
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