スパダリ猟犬騎士は貧乏令嬢にデレ甘です!【R18/完全版】

鶴田きち

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第四章 オリヴァー(オリヴァー視点)

彼女だけはこの手で守らなくては(オリヴァー視点)

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 特にボスである魔王ギリェルモは、一際攻撃力が高く、また知能も人間に引けを取らない。長い間、名のある騎士の多くが魔王ギリェルモに挑み、無残に散っていった。
 オリヴァーにとって奴は因縁の相手だった。何度も熾烈な戦いを繰り広げている。前回の長期討伐作戦では、魔王ギリェルモを追い詰めなんとか右目を潰したが、しかしもう一歩の所で逃げられてしまった。
 あの時の悔しさを思い出すと、今でも血が沸騰するほど熱くなる。瞳が狩りをする獣のようにぎらりと光った。

(決して奴を許さない。必ずあいつを殺す)

 オリヴァーは拳を強く握ると同時に、こうも思う。

 ――あいつも俺を深く恨んでいるだろう。きっと首を狙ってくる。次まみえたら、どちらかが死ぬことになるだろう。

(そうなったら俺はシャーロットを残して逝くことになる……。まだ正式なプロポーズもしていないのに……)

 オリヴァーの胸がズキリと痛んだ。シャーロットと婚約し、守るものが増えてから、彼は臆病になった。

(しっかりしろ、俺。お前は猟犬騎士なんだ。国を守るのが役目だろう)

 内心自分を叱咤して、オリヴァーは言う。

「ここには一般人がたくさん暮らしている。女性や子供、お年寄りも多い。攻撃されたら彼らも巻き込んでしまう。なんとしても魔物達を王都に入れるわけにはいかない」
「分かっています。特に若い女性は危険です。奴らの好物は美しい娘の心臓ですから」
「ああ……」

 脳裏にシャーロットの顔が浮かぶ。あれ程綺麗な乙女を、魔物達は放っておかないだろう。

(彼女だけはこの手で守らなくては……)

 愛する恋人だけではない。これ以上民を犠牲にしたくなかった。
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