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第二章 ドキドキの同居生活
トライフル作り
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――オリヴァー様のために、そしてエマ自身の為にも、笑顔を取り戻してあげたい。私に何か出来ることはないかしら……。
その時、静かに扉をノックしてメイドが入ってきた。飲み終わったティーカップやクッキーを片付け始める。
それを見ていたシャーロットはハッとひらめいた。
「オリヴァー様、私に良い考えがあります……!」
「え……っ?」
シャーロットは立ち上がり、オリヴァーの耳に口元を寄せた。内緒話をするような態勢である。
「――というのはどうでしょうか」
「なるほど」
「上手くいくかわかりませんが……」
「いや、やってみる価値はある。すごいぞ、シャーロット。さすがは俺の天使だ」
「はいっ――!」
二人は早速準備に取りかかった。
☆~☆~☆~☆~☆
「エマ。お帰りなさい」
学校から帰ってきたエマをシャーロットが呼び止めた。
「?」
「ささ、こちらへ」
そのまま厨房へと連れて行く。そこにはたくさんのお菓子作りの材料が揃っていた。純白のクリームや、卵色が鮮やかなスポンジや、軽い焼き色のクッキーや、様々なベリーなどである。側にオリヴァーもいた。
「――っ……!」
エマは驚いたように目を輝かせた。
「お誕生日おめでとう! さあ、一緒にトライフルを作りましょう」
トライフルとは〈何でも乗せちゃってオーケー〉という名前のケーキである。飾り付けが簡単で、しかも見栄えがよいので、子供でも作れる。一緒にトライフルを作り、エマに楽しんでもらう、というのがお菓子作りが得意なシャーロットが考えた作戦だった。
「さ、手を洗って」
こくこくと頷くと、エマは流し場に行く。その隣にオリヴァーが立った。どうやら彼も参加するらしい。
「え? オリヴァー様も?」
「いいだろう? 何事も経験だ」
「もちろん、いいですわよ!」
シャーロットはにっこり笑って、メイドに用意してもらった透明なガラスの器を出した。これに層になるように材料を敷き詰めていくのだ。
「どれから入れてもいいけれど、まずはクッキーにしましょうか」
と大小さまざまな形のクッキーを差し出す。シャーロットがあらかじめ焼いておいたものだ。
「粒がバラバラなんだな」
「ええ。こうするとトライフルに入れた時の食感が良くなるんです。〈もみもみクッキー〉というんですよ」
「〈もみもみクッキー〉?」
「はい。粉を百、バター五十、砂糖五十を混ぜて、袋に入れてもみもみします。それを天板にザーッと乗せて、百七十度のオーブンで十五分焼くんです。私、このクッキーが大好きなんです! 普通のクッキーは伸ばしているうちにバターが溶けて美味しくなくなるんですよ」
「へえ。そうなのか。味見してもいいかい?」
「もちろんです。さあ、エマも」
彼と少女は〈もみもみクッキー〉を一つ摘まみ、口に入れた。
「カリッとして甘い。美味しいな、エマ」
コクコク、とエマが同意する。シャーロットも嬉しくなった。
「さあ、続けましょう」
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