スパダリ猟犬騎士は貧乏令嬢にデレ甘です!【R18/完全版】

鶴田きち

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第一章 出逢いと再会

没落貴族の貧乏なお嬢サマ

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「それは光栄でございます。必ずお守りいたします」
「やくそくよ」

 女の子はむちむちした小指を出した。

「約束します」

 オリヴァーはそっと自身の長い小指を絡める。二人は見詰め合って笑い合った。
 しばらくして人混みを掻き分けて、女の子の両親と思われる男女が慌ててやって来た。「うちの娘が失礼を……!」とペコペコ頭を下げている。それに優しく対応したオリヴァーは、女の子を両親に返すと、またいつもの無表情に戻ってしまった。
 一部始終を見守っていたシャーロットを始めとする令嬢達は、滅多に見せないオリヴァーの柔らかな笑みに、ほうっと恍惚の溜息を漏らす。

(やっぱり素敵、オリヴァー様。性格も良いし、見た目も文句なしだなんて、ずるいわ)

 彼の妻になりたい女性はたくさんいるだろう。シャーロットだって、叶うならばそうしたい。

(ちょっとだけ……話かけてみようかしら)

 見るだけで良いと言ったのに、いざ彼を目の前にすると欲張りになってしまう。

「あ、あの……」

 その時、ドンッと肩に誰かがぶつかった。

「きゃっ! 冷たい」

 バシャッと相手の持っていたワインがシャーロットのドレスにかかった。はっと顔を上げると、会場に入った時、シャーロットの悪口を言っていた令嬢達がいた。

「あら~、ごめんなさい。人だったのね。カーテンか何かだと思ったわ」

 リーダー格らしい令嬢の一人が、シャーロットのドレスを見て嗤{わら}う。

「貴女、シャーロットよね? 没落貴族の貧乏なお嬢サマ。噂は聞いているわ。今、町人に混じって働いているんですって? みっともないわねえ」
「それに二十歳なんて嫁き遅れでしょ。おばさんじゃない」
「貴女とオリヴァー様じゃ釣り合わないわよ。おあいにく様」

 令嬢達が口々に言った。
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