85 / 96
最終章 未来へ
俺には分かる *
しおりを挟む
「でも、先生は、すごい……ひとだから……、んっ……。おれなんかじゃ、全然だめ、だと思ったから……っ、あ、」
「おれなんか、って言うな。お前じゃなきゃダメなんだから。――あのな、びびってんのが自分だけだと思うなよ。歳の差とか、将来とか、気にしてんのは俺の方だ」
鷹城が空いた手で完全に勃起した真琴のものをつかみ、乱暴にしごき出す。みだらな音が浴室に響いて、耳まで犯された気分だった。
「っあ……んっ、ど、どういう意味ですか……!」
「聞きたいか」
「……んっ、はい……っ」
ふっさりとした陰嚢(いんのう)を指でくすぐられながら真琴は頷く。子猫みたいな甘え声しか出ないのが恥ずかしいのに、押し寄せる愉悦のせいで構っている暇がない。
「お前を俺のにしたら、お前の未来を閉ざしちまうみたいで怖いんだよ」
鷹城は切なげに続ける。
「お前なら、俺よりももっとましな相手がいるだろ……? 性格も職業も、ちゃんとしたまともな相手が。男でも、女でもいい。お前は俺の中では、普通に大学を卒業して、夢叶えて作家になって、いい相手見つけて、普通に結婚する。んで、優しい父親になる、はずなんだ。だから、そういうあったかい未来が待ってるんだと思うと、俺がその道を曲げていいのか……って思っちまう」
本心を吐露しているせいなのか、口調は冷静なのに、鷹城の手つきは落ち着きがなかった。的確なテクニックで、真琴の性器の先端から裏筋をたどり、根元をきゅっと締めつける。
そんないやらしい仕方で何回か往復した後、また先端に戻り、甘い汁を垂れ流している鈴口を親指の先で開いた。とぷっと漏れる蜜に、真琴は「んっ」と身悶えてしまう。
たっぷりとそこを苛(さいな)んだあと、とうにゆるみ始めた蕾に鷹城は指を侵入させた。
「あ……っ、そんな先の、こと……わか、分からない……」
「俺には分かるんだよ。通ってきた道だからな」
確かに三十を超えた鷹城にとっては、予想できるのかもしれない。
真琴だって鷹城と会うまでは、自分は大学を卒業したら、作家になるか、どこかの会社に就職して、平凡に暮らすのだ、と思っていた。
でも結婚について想像したことはなかった。こんなネガティブ思考の自分に、人生の伴侶が現れるとは思っていなかったのである。
だからむしろ鷹城と出会ったことは幸運だった。この人だ、と思う相手に巡り会えたのだから。
しかし鷹城はそう思ってはいないらしい。彼の言葉をかりれば、真琴は〈普通に結婚し、優しい父親になる〉ことになっている。
(でも、さきに先生に出会ったんだから仕方ない。こんなに恋しちゃったんだから……)
真琴はなんとか鏡から片手を離し、あごに添えられた鷹城の手をとった。そしてその長い指に優しく口づける。形のよい爪や、節だった指の側面に唇で触れ、手のひらに頬を寄せた。
目を細め、愛おしいものに頬ずりする仕草に、はっとしたように鷹城が息をのんだ。激しい愛撫がいったん止まる。
「先生はばかです……」
真琴は言った。
「なっ……」
「未来なんて誰にも分からないのに、今からそんなこと気にして……。おれより、ずっと、ずうぅっとばかです」
「おれなんか、って言うな。お前じゃなきゃダメなんだから。――あのな、びびってんのが自分だけだと思うなよ。歳の差とか、将来とか、気にしてんのは俺の方だ」
鷹城が空いた手で完全に勃起した真琴のものをつかみ、乱暴にしごき出す。みだらな音が浴室に響いて、耳まで犯された気分だった。
「っあ……んっ、ど、どういう意味ですか……!」
「聞きたいか」
「……んっ、はい……っ」
ふっさりとした陰嚢(いんのう)を指でくすぐられながら真琴は頷く。子猫みたいな甘え声しか出ないのが恥ずかしいのに、押し寄せる愉悦のせいで構っている暇がない。
「お前を俺のにしたら、お前の未来を閉ざしちまうみたいで怖いんだよ」
鷹城は切なげに続ける。
「お前なら、俺よりももっとましな相手がいるだろ……? 性格も職業も、ちゃんとしたまともな相手が。男でも、女でもいい。お前は俺の中では、普通に大学を卒業して、夢叶えて作家になって、いい相手見つけて、普通に結婚する。んで、優しい父親になる、はずなんだ。だから、そういうあったかい未来が待ってるんだと思うと、俺がその道を曲げていいのか……って思っちまう」
本心を吐露しているせいなのか、口調は冷静なのに、鷹城の手つきは落ち着きがなかった。的確なテクニックで、真琴の性器の先端から裏筋をたどり、根元をきゅっと締めつける。
そんないやらしい仕方で何回か往復した後、また先端に戻り、甘い汁を垂れ流している鈴口を親指の先で開いた。とぷっと漏れる蜜に、真琴は「んっ」と身悶えてしまう。
たっぷりとそこを苛(さいな)んだあと、とうにゆるみ始めた蕾に鷹城は指を侵入させた。
「あ……っ、そんな先の、こと……わか、分からない……」
「俺には分かるんだよ。通ってきた道だからな」
確かに三十を超えた鷹城にとっては、予想できるのかもしれない。
真琴だって鷹城と会うまでは、自分は大学を卒業したら、作家になるか、どこかの会社に就職して、平凡に暮らすのだ、と思っていた。
でも結婚について想像したことはなかった。こんなネガティブ思考の自分に、人生の伴侶が現れるとは思っていなかったのである。
だからむしろ鷹城と出会ったことは幸運だった。この人だ、と思う相手に巡り会えたのだから。
しかし鷹城はそう思ってはいないらしい。彼の言葉をかりれば、真琴は〈普通に結婚し、優しい父親になる〉ことになっている。
(でも、さきに先生に出会ったんだから仕方ない。こんなに恋しちゃったんだから……)
真琴はなんとか鏡から片手を離し、あごに添えられた鷹城の手をとった。そしてその長い指に優しく口づける。形のよい爪や、節だった指の側面に唇で触れ、手のひらに頬を寄せた。
目を細め、愛おしいものに頬ずりする仕草に、はっとしたように鷹城が息をのんだ。激しい愛撫がいったん止まる。
「先生はばかです……」
真琴は言った。
「なっ……」
「未来なんて誰にも分からないのに、今からそんなこと気にして……。おれより、ずっと、ずうぅっとばかです」
1
お気に入りに追加
110
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】
NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生
SNSを開設すれば即10万人フォロワー。
町を歩けばスカウトの嵐。
超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。
そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。
愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。
潜入した僕、専属メイドとしてラブラブセックスしまくる話
ずー子
BL
敵陣にスパイ潜入した美少年がそのままボスに気に入られて女装でラブラブセックスしまくる話です。冒頭とエピローグだけ載せました。
悪のイケオジ×スパイ美少年。魔王×勇者がお好きな方は多分好きだと思います。女装シーン書くのとっても楽しかったです。可愛い男の娘、最強。
本編気になる方はPixivのページをチェックしてみてくださいませ!
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21381209
少年ペット契約
眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。
↑上記作品を知らなくても読めます。
小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。
趣味は布団でゴロゴロする事。
ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。
文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。
文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。
文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。
三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。
文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。
※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。
※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる