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第六章 聖なる夜に(後編)
謝るな *
しおりを挟む「お前のおかげで、アドレナリン出まくりだよ」
「ごめんなさい」
「謝るな」
鷹城は続ける。
「もう、お前のやることを止めはしない。でも、頼むから、今夜のことで謝るな。それだけは勘弁してくれ」
敗北を認めたようでもあり、覚悟を決めたようでもあった。
「せんせい……」
「勘違いするなよ。お前と抱き合うのが嫌なわけじゃない。むしろ夢みたいなんだ」
「はい……」
「最高の夜にしてくれ」
真琴の胸がぎゅっと締めつけられた。
(ぜったいに、せんせいを悲しませたりしない……)
真琴はボクサーパンツのゴムに手をかけた。そっと引き下ろすと、ぶるりと鷹城のものが飛び出した。
「――っ……」
久々に見る赤黒い楔。真琴はそれに胸を高鳴らせながら、先端に唇を寄せた。
つるりとした表面を軽く吸い、舌でなぞった後、そっと口にふくむ。
「……んっ、ふ……んん……っ」
まだ先端をくわえただけなのに、口腔がいっぱいになった。息苦しさを我慢しながら舌で愛撫を続け、上目づかいに鷹城を見る。
「……なんだ?」
鷹城は目を細め、薄く唇を開いていた。とても色っぽい表情だ。
「きもちいいところ、おしえて」
と楔から口を離して言った。
「無理しなくていいんだぞ」
「やりたいの」
真琴は言った。
「……本当にいいのか?」
「うん」
「じゃあ……もっと、深くくわえて」
真琴は言う通りに、先ほどよりも奥に楔を頬張った。しかし半分もおさまらない。
(おっきい……)
一気に苦しさが増したが、不思議と止めたいとは思わなかった。
「そう……。で、先を舐めて」
「ふ……っ、んぅ」
「次は、吸ってくれ」
「んっ……んん、」
「入らないところは、手で……」
「……んっ、ふ……ぅん……」
粘ついた音が辺りに響いた。
頑張って指示通りにやろうとするが、しかし上手く出来ない。助けを求めて目だけで鷹城を見ると、大きな手のひらが伸びてきて、頭を撫でた。
「いい子だな。すごく、上手だよ……」
「ん……んんっ、く、ふぅ……ん……っ」
子供みたいに褒められて、じんと心が濡れた気がした。
(もっと、もっとしてあげたい……)
以前無理やり抱かれていた時は、今のように相手を快(よ)くしようという質問は、お互いの間にほとんど無かった。
鷹城はただ真琴に口淫をさせていただけだし、真琴も彼を気持ちよくさせようなどと考えたことはない。とにかく鷹城が射精すればいいとさえ思っていた。
しかし今は違う。鷹城が望むように、最高の夜にしてあげたかった。
(もっと感じてほしい……。なんでも、してあげたい)
愛情の伴うセックスの良さを、真琴はようやく知り始めていた。
例え気持ちが通じ合っていなくても、鷹城を愛おしく思う心は本物だ。その真の優しさが、自然と愛撫に現れているのかもしれない。
「……っん、ふ……はぁ……ん……」
懸命に舌を絡めていると、鷹城のものがぐんと力を増した。鈴口から苦みのある先走りが溢れ、唾液と混じって茎を濡らしてく。
「……っ、おい。もうやばいぞ。離せ」
切羽詰まった鷹城の声がした。
「……っぷは、……やだ」
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