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第二章 最悪の下宿生活
ごめんな *
しおりを挟む「うぇっ、ふぇっひくっ、ひっ……く、馬鹿、先生のばかぁ……っ。怖かった、本気で怖かった……!」
真琴は思わずつま先立ちになり、鷹城の首にすがりついた。すると同じくらいの力で抱き返される。服越しに聞こえる鷹城の少し速い鼓動。触れた頬に感じる体温。かすかな汗の匂い。
「お前のうぶな反応が可愛くて、俺も調子に乗りすぎた。ごめんな」
鷹城の美しい漆黒の瞳がそっと細くなる。大きな手のひらで背中をゆっくりさすられると、犯されている最中にも関わらず、暖かな体温に何故かほっとした。
(なんでおれ、この人に酷くされてるのに。どうしてこんなに安心するんだろう……)
「もう少しで俺もイくから、続けていいか?」
鷹城は真琴の髪を静かに撫でながら訊いた。
「痛く、しない……?」
「しない。絶対に」
真琴は目をつぶって頷いた。このまま絶頂を迎えずに放置されて辛いのは同じだ。
鷹城は真琴の片方の太ももを持ち上げると、そのまま秘部にまた肉棒をあてがい、そっと中に入る。そして今度は真琴の弱点を甘く、時にはきつく責めだした。一方真琴のものへの愛撫も忘れず、高みに導いていく。
「ほら息をして。楽になる」
「……は、はぁ……んっ、ぁっ……んんっ」
「そうだ、上手いぞ」
「もうだめ……っ」
「イくか?」
「は、はい……」
「じゃあイきたいって言ってごらん」
真琴は首を横に振った。
「言いたくないのか?」
「う、ん……っ」
「そうか、でも俺は聞きたいよ。お前が気持ちいいのか。ちゃんと感じてるのか。お前の口から……」
「――っ! 先生……き、きもち、いいです……。イ、イきたい……です……!」
「いい子だ、真琴」
鷹城が耳許でとろけそうに甘い声で囁いた。
(今、名前……)
初めて名を呼ばれたと思ったその時、限界まで極まった真琴はとうとう射精した。
「んっ、あんっ、やぁ、あ――……!」
同時に鷹城も奥で精を弾けさせる。
ややあって鷹城が楔を抜くと、白濁が真琴の内ももを伝う。その生々しい感触に崩れ落ちそうになるのを鷹城が抱き留めた。二人分の荒い息が書斎に漂う。
「大丈夫か」
呼吸が落ち着いた頃、鷹城がそっと訊いた。
「はい……」
声が枯れている。
「風呂まで歩けるか」
真琴は痛む喉をかばい、黙って頷いた。そっと鷹城の手から逃れ、壁にもたれて乱れたパジャマを整える。
奇跡的にも自分が放ったもので下着などが汚れていなくて助かった。あれは乾くと洗濯が難儀になる。
(っておれ、何考えて……。とんでもないことが起こったばっかりなのに)
躯はだるく、特に強制的に開かれた蕾(つぼみ)が痛む。頭は霞がかかったようで、しばらく使い物にならないだろう。
(本当に犯されたんだ。鷹城先生に)
乱暴された躯よりも心がズキズキと痛んだ。
「俺はもう少し書いてから寝る。お前はもう寝ろ」
身繕いをした鷹城は涼しい顔で机に向かう。先程の優しさは幻だったのかと思うほど素っ気ない態度だった。
真琴はたまらず鷹城から顔を逸らした。
彼の本を愛していた。新刊の発売を心待ちにしたり、お気に入りのページを暗記するほど読み込んだり、ファンレターだって何度も送ったことがある。
何よりも辛いのは、推理作家になるという夢を汚されたことだ。他ならぬ鷹城の手によって。
(おれはなんでこんな人に憧れていたんだろう)
真琴は、深海のように光の届かない悲しみの中、書斎を出た。
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