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王立魔術学園編

17話 サマーパジャマパーティー

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 談話室から自室へと退散したイブ達はパジャマに着替え、4つ並んでいるふかふかの大きなベッドの一つで輪になっておしゃべりをしていた。

 「こうしてベッドでおしゃべりしているとエーコちゃんの家にお泊まりした時思い出すなぁ。今日はギギちゃんもいて、さらにワクワクするね!」

 「パジャマパーティーというやつね、ギギちゃんはパジャマパーティー知ってるかしら?」

 「ソレハナニスルパーティ? イツヤル?」

 「パジャマになってお菓子を食べたり、ゲームをしたり、色々おしゃべりもするの。ケイ君やローム君とか男の子の目を気にせずにいつもは言えないようなことも相談できるし、とても楽しいんだよ、ね、エーコちゃん」

 「オオ、ソレハ楽シイ! パジャマニナッタラ普通ハ寝ルダケ、後半戦?」

 「そうね、さっきの後半戦ね。それにしてもケイはギギちゃんのことといい、決勝戦の時といい、何か一人で背負いこむ癖があるのよね」

 エーコはやれやれといった感じでお茶を入れたカップをベッドテーブルの上に並べる。それにイブも強く頷く。

 「ギギギちゃんのことも早くいってくれたら良かったのにね、決勝の時だって危険は全部一人で背負いこんじゃって、こっちの気は知らないんだよね」

 「ギギギノコトハ、紹介シヨウ言ッテクレテタケド、ギギガ怖ガッテシマッタ、ケイハ気遣ッテクレタ。決勝ハ見テタケドアレハヤバイ、亜人ノギギデモ捌ケナイ。後イブトエーコノハンマーニハ感動シタ! アレコソ芸術」

 「へえ、そうだったのね、まあ友達の友達がいいやつとは限らないものね。ギギちゃんがためらうのも当然よ。最初イブちゃんとケイが連れて来た時には私もびっくりしたけど、話してみてギギちゃんはすぐにいい子だってわかったわ! もっと早く知り会いたかったけど、その分はこれからよね?」

 「そうだね、これから一緒に色々勉強したり、部活動したりしようね! あ、ギギちゃんは先輩だから教えてもらうが正解?」

 「オウ、エーコ、イブ、アリガトオ。不束モノデスガヨロシクネ。ギギ教エラレルノダンジョンダケ、ソレ以外ハカラキシ残念」

 両手を肩まで上げてお手上げポーズをするギギギにエーコとイブはおかしくなって笑ってしまう。それにつられてギギギも笑い、なんで笑ってるのかわからなくなった3人は余計におかしそうに笑い声を上げた。

 笑いが収まるとお茶とお菓子をかじりながらエーコがイブとギギギを愉快そうに見つめて質問する。

 「ところで昼間といい、さっきといい、ギギギちゃんはケイに猛烈アタックしてるということは好きなのね?」

 イブは心臓を鷲掴みにされたように表情を固まらせた。ギギギは自然体で答える。

 「ケイハ今ノトコロ一番好キダ、ギギノ初メテノ人間ノ友達ダカラナ。」

 イブはホッと胸をなでおろすが、エーコはそれを許さなかった。

 「それは、人間のツガイが一緒にいたいなぁって思う感じの好きなのか、それともギギちゃんが肉に抱くような好きなのかどっちかわかる?」

 「ソレハ……ウーン、ドッチダロウ。ケイトハ一緒ニイタイシ役ニ立チタイカラ、前ノ方カナ。デモイブ達モ、同ジニ一緒ニイタイカラ後ロカ?」

 「そうね、まだこれからよね、ギギちゃんは皆が大好きということかな! そうだ麻雀やりましょ? 馬車の中で教えるってギギちゃんに約束したしね!」

 エーコがうまく丸め込むと、ギギギは安心したようにニカっと笑った。イブだけは脳内会議で忙しいのか空になったカップをすすっていた。パジャマパーティはこうして夜遅くまで続いていくのだった。

 

~*~*~*~


 その頃、談話室でロームと人生初の晩酌を終えたケイは自室のベッドへと転がされていた。ロームが酒を差し出した後、礼も言わずに注がれるままに飲み続けたケイは、フラフラと眠りに落ちたのだった。

 ケイはその晩、夢を見た。
 緑の丘の様なところで、見たこともないおじいさんと二人で話しをしていた。おじいさんの言うことは聞きづらく、断片的にしかわからなくてケイをイライラとさせた。聞こえて来たのは

 “大型モンスター、亜人、最速の男” そして“フラワーシティ、壊滅”だった。
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