完璧彼氏!!!長尾くん ~と、ポンコツ彼女~

大月 雨海

文字の大きさ
上 下
3 / 9
1.20歳~21歳

どう見てもビッチです本当に残念です

しおりを挟む
幸いにも、両親は寝静まっている時間だ。
そういえば彼は一人暮らしだろうか?
私は思いっきりスネを齧っているが。

ともかく、万が一親が起きてきたら何を言われるかわからない。
まずは下着を、いや、人様に見せられる下着を探すところから始めなくてはならない。
母親はG級バストにも関わらず、どこでどう間違えたのか私の胸囲は驚異の下着いらず。

変なダジャレを考えて一人でじわじわと笑いがこみ上げてきたところで、ようやく上下セットの下着を発見した。
ブラなんか付けたの、数ヶ月ぶりだろう。
近くのコンビニくらいじゃまず付けないし・・・

なんとか装着完了。
後は写真におさめるだけだが、ある意味ここが一番の鬼門である。
何しろ自信の無い顔に貧相な身体つき。
化粧下手でこんな時間から化粧をする気にもなれない。
と言うよりは、化粧しても大して代わり映えのしない程度の顔面レベル。
さぁこれを、下着も映り顔はそこそこ隠しなおかつあまり酷い有様にならないようにするには・・・

考えている間に身体が冷えてきた。
もうここまで準備してしまえばヤケだ、とりあえずスッピンはメガネをかけて誤魔化そう。
体育座りのようになれば下着も見えるし自然と手を顔に持っていける。
のっぺりした顔があまり強調されないように、自撮りの基本斜め上で撮影。

三枚ほど撮ってみて、あまり納得は出来なかったが諦めた。
私のやる気スイッチはいつも途中でオフになってしまう。

適当に明るさ調整だけはしておいた。
デジタルイラスト描きの技術がこんな使い方されるとは、私の右手が泣いていないか心配である。

編集をしながらさっさと下着を外し、足元に脱ぎ捨てられたスウェットに着替える。
支えなければならないほどの乳がない者にとって、ブラはただ肋骨を圧迫する矯正下着のようにしか思えない。
少なくとも私はそう思っている。

イヤホンを耳にねじ込むと、放送はまだ終わりに向かっていた。
撮った画像を送るのは、様子を見て的確なタイミングで送った方が効果的だろう。
どんな効果を求めているのか自分でもよく分からないが、彼に好意的な目線を向けて欲しいような、そんな気持ちでいた。

過去の男運が酷すぎたせいか、それとも、こんな干物でも女として見て欲しい欲求がまだ残っていたのか、そんな事はどうでも良かった。

さりげなく話に耳を傾けていると、30分の放送は一度切れてしまうが、またすぐに放送をすると言っていた。
着替えたり写真を撮ったりしていたおかげで、その間にどんな会話があったのか読めないが、次の放送では彼の好みの女性について語るらしい。

終わりに向けて、コメント数が増えていく。
匿名だらけのこの空間で、真相はわからないものの、見る限りリスナーは女だらけのようだ。
しかも、彼の好みが気になるような女性達で間違いない。

もしも~だったら、という妄想に普段から時間を多く費やしているおかげで、「もしも彼を自分だけの物にするならば」という発想はすぐに出来た。
この猛者達をかき分けて彼の目に留まるなんて事が私に出来るのか。
場合によっては命の危険すら感じる。
女は何をするかわからない、私を含めて。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貴方の事を愛していました

ハルン
恋愛
幼い頃から側に居る少し年上の彼が大好きだった。 家の繋がりの為だとしても、婚約した時は部屋に戻ってから一人で泣いてしまう程に嬉しかった。 彼は、婚約者として私を大切にしてくれた。 毎週のお茶会も 誕生日以外のプレゼントも 成人してからのパーティーのエスコートも 私をとても大切にしてくれている。 ーーけれど。 大切だからといって、愛しているとは限らない。 いつからだろう。 彼の視線の先に、一人の綺麗な女性の姿がある事に気が付いたのは。 誠実な彼は、この家同士の婚約の意味をきちんと理解している。だから、その女性と二人きりになる事も噂になる様な事は絶対にしなかった。 このままいけば、数ヶ月後には私達は結婚する。 ーーけれど、本当にそれでいいの? だから私は決めたのだ。 「貴方の事を愛してました」 貴方を忘れる事を。

婚約者の不倫相手は妹で?

岡暁舟
恋愛
 公爵令嬢マリーの婚約者は第一王子のエルヴィンであった。しかし、エルヴィンが本当に愛していたのはマリーの妹であるアンナで…。一方、マリーは幼馴染のアランと親しくなり…。

元妻からの手紙

きんのたまご
恋愛
家族との幸せな日常を過ごす私にある日別れた元妻から一通の手紙が届く。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。 これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。 それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

(完結)夫と姉(継母の連れ子)に罪を着せられた侯爵令嬢の二度目の人生ー『復讐』よりも『長生き』したい!

青空一夏
恋愛
 私はカッシング侯爵家のアナスターシア。カッシング侯爵家の跡継ぎ娘であり、お母様の実家マッキンタイヤー公爵家の跡継ぎでもある立場なの。なんでって? 亡きお母様のお兄様(マッキンタイヤー公爵)が将軍職をまっとうするため、独身を貫いてきたからよ。ちなみにマッキンタイヤー公爵の初代はユーフェミア王女で聖女様でもあったのよ。私はその血も引いているわ。 お母様は私が5歳の頃に病で亡くなったわ。でも、まもなくお父様はサリナお母様と再婚したの。最初は嫌な気持ちがしたけれど、サリナお母様はとても優しかったからすぐに仲良くなれた。サリナお母様には娘がいて、私より年上だった。ローズリンお姉様のことよ。ローズリンお姉様も良い方で、私はとても幸せだった。 チェルシー王妃主催のお茶会で知り合ったハーランド第二王子殿下も優しくて、私を甘やかしてくれる味方なの。でも、お母様のお兄様であるマッキンタイヤー公爵は厳しくて、会うたびにお説教を言ってくるから嫌い。なるべく、伯父様(マッキンタイヤー公爵)に関わらないようにしていたいわ。そうすれば、私は幸せに気楽に生きることができる。ところが・・・・・・ この物語は夫となったハーランド第二王子の裏切りとローズリンの嘘で罪を着せられたアナスターシアが、毒杯を飲ませられるところで奇跡を起こし、二度目の人生をやり直すお話しです。アナスターシアが積極的に復讐していくお話ではなく、ハーランド第二王子やローズリンが自業自得で自滅していくお話しです。アナスターシアの恋もちりばめた恋愛小説になっています。 ※この物語は現実ではない異世界のお話しですから、歴史的や時代背景的におかしな部分が多々あると思いますので、ご了承ください。誤字・脱字多いかもしれませんが、脳内で変換していただけるか、教えていただけると嬉しいです💦 聖女や聖獣などのファンタジー要素あり。 ※完結保証。すでに執筆が終わっておりますので、途中で連載がとまることはありません。安心してお読みくださいませ。

【完結】公爵令嬢は、婚約破棄をあっさり受け入れる

櫻井みこと
恋愛
突然、婚約破棄を言い渡された。 彼は社交辞令を真に受けて、自分が愛されていて、そのために私が必死に努力をしているのだと勘違いしていたらしい。 だから泣いて縋ると思っていたらしいですが、それはあり得ません。 私が王妃になるのは確定。その相手がたまたま、あなただった。それだけです。 またまた軽率に短編。 一話…マリエ視点 二話…婚約者視点 三話…子爵令嬢視点 四話…第二王子視点 五話…マリエ視点 六話…兄視点 ※全六話で完結しました。馬鹿すぎる王子にご注意ください。 スピンオフ始めました。 「追放された聖女が隣国の腹黒公爵を頼ったら、国がなくなってしまいました」連載中!

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...